見出し画像

【エッセイ】ライオンキング

少しずつ暑さが和らいできたものの夜は残暑を感じる。我が家ではリビングの窓を開けて風を入れるのが習慣だ。当たり前だが、夜に窓を開ければ虫が入ってくる。

虫を見つけると愛猫は興奮する。
天井や壁に虫が止まるとじっと見つめ、届きもしないのに捕まえようと標準を定める。小さな蟻でもカナブンでも、じーっと見つめて臨戦態勢に入る。

しかし、今日は虫がいるのに気づかなかった。

珍しいなと思っている最中、いきなり晩酌中の彼がリビングのテーブルの上に乗った。70kg超えが乗るんだもの、天板は当然たわむ。ホームセンターで買ったお求めやすい価格だったテーブル。余計に心配だ。

「ちょっと、何してるの!?」

見上げると愛猫を持ち上げていた。

「ほらピーちゃん、虫さんだよ! あーたが好きな虫さんよ! なんで気づかないの⁈」


虫に気づかせるために天井に愛猫を近づけた彼。目の前には映画『ライオンキング』の名シーンを彷彿させる光景があった。

生まれて間もないプライドランドの王子・シンバを祈祷師のヒヒ・ラフィキが天に向けて抱きかかえるあのシーン。

『イッツァサークルオブラーイフ』

頭の中であの名曲が流れる。

愛猫がシンバに見えることがあるだろうか。シーリングライトがまるで太陽に見える。

さんざん天井を見せつけられた愛猫だが、微動だにしない。ましてや突然持ち上げられて不服な様子。


愛猫と日々は笑いと愛に満ちている。

この記事が参加している募集

#猫のいるしあわせ

21,975件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?