「 ここから広がる波の先 」
嘘をつかないことが、正直に正々堂々と貫くことが、良いことなのだろうか。
最善なのだろうか。
正しいのだろうか。
その選択が、自分の意図通りに他者に届くとは限らない。
その尺度は人それぞれであって重なるとは限らない。
そのズレはとても怖い。
どんなに怖くても慎重に選び取ったとしても、そしてどんなに静かに息をひそめていても、私の小さな動きによって自分を中心にして、遠く波が広がっているということ。
間違ってしまったと強く後悔しても、もう広がる波は止められない。
それは想像以上に深く、遠く、複雑に、そして確かに影響を及ぼす。
凄く怖い。もうじっとしていたい。
それでもいつも沢山の分岐点に立っている。
きっと私のできる「想像」だなんて本来の些末な一片に過ぎないのだろうけど、今の私にできる精一杯全力で波の広がる先に心を砕いていきたいと思う。波がどう届くのはもちろん。多面的に考えてみる。その先のすべてに前向きにhappyに受け取ってもらうことは不可能だ。でも波が広がっていることを自覚することができたらと思う。できる限り。
良いも、正しいも、優しいも、それを選べる自分でいたいけど、そもそもなのだ。その選択が生んだ波の先で、同じ尺度で、同じ解釈で、受け取ってもらえるかはわからない。
東野圭吾 手紙を読んだ。
「家族」は選べない。「過去」は変えられない。他人からの己の見え方は決められない。
でも知らんぷりしないこと。それは、手放すことのできない離れることのできないもの。責任を持っていきたい。考えていきたい。
「差別からは逃げられないという前提で、どう生きていくかを模索し、努力しなければならない。」
どんなに辛い理不尽な状況でも、悲劇のヒロインにはならない。やっぱり責任を負うことからは逃げられない。
「かわいそうな自分」というままでは何も始まらない。
かわいそうので原因は消えない自分の力ではどうしようもできないそういく類であるならば「前提」にしなくてはいけない。
悲観するのではなくて、そこをスタートにする。
学校に上手く通えなかった過去。
別居している両親。
「普通」になじめない心の傾き。
人を傷つけてしまった過去。
ちぐはぐで華やかさに欠ける容姿。
ジレンマだらけで気難しい思考。
全てを「前提」とする。重くてもしんどくてもそれをしっかり抱えて立ち上がる。歩み進める。
「本当の死と違って、社会的な死からは生還できる。
こつこつと少しずつ社会性を取り戻していくんだ。他の人間との繋がりの糸を1本ずつ増やしていくしかない。君を中心とした蜘蛛の巣のようなつながりができれば、誰も君を無視できなくなる。」
私は関係を作ることが苦手だ。他人と深く関わっていくということに凄く恐怖心がある。
自分でも上手くコントロールできない、大きく揺れ乱れてしまう心に付き合わせること巻き込んでしまうことに申し訳なさがある。
壊してしまうのなら、もういっそいらないと思ってしまう。
でもやっぱり1人では生きていけない。時間が掛かるかもしれない。その数は少ないかもしれない。丁寧に作った物を壊してしまうかもしれない。それでも。
「逃げずに正直に生きていけば、差別されながらも道は拓けてくるー君たち夫婦はそう考えたんだろうね。若者らしい考え方だ。しかしそれはやはり甘えだ。自分たちの全てをさらけ出して、その上で周りから受け入れてもらおうと思っているわけだろう?仮に、それで無事に人と人との付き合いが生じたとしよう。心理的に負担が大きいのはどちらだと思うかね。君たちの方か、周りの人間か。」
「いつもいかなる時も正々堂々としているというのは、君たちに問って本当の苦渋の選択だろうか。私にはそう思えないな。分かりやすく、非常に選びやすい道を選んでいるとしか思えないが。」
正論が正解ではない。圧がある。1人よがりで、全てをシャットアウトする。自分を守る手段でしかない。
「正々堂々というのは自分たちを納得させているだけだ。本当はもっと苦しい道を選ばなくては行けなかったんだ。」
「君は間違っていないよ。人間として正しくあろうとしただけだ。でも実際のところ。なにが正しいかなんてことは、誰にもいえんのだよ。
君が選んだ道は、簡単な道ではないよ。ある意味では、これまでよりもっと辛いかもしれん。何しろ正々堂々といった旗印がない。すべての秘密を君が1人で抱え込み、仮に問題が生じた場合でも、1人で解決しなければならないんだ。」
正論とか、論破とか、手放していけたら。
私は正論に逃げがちだ。だからこそ沢山の考え方に触れる必要があるのかもしれない。
自己満足。気休め。そうなのかもしれない。それでも、そういう面も孕んでいると知りながら選び取って進んでいかなくては行けない。
立ち向かうってなんだろう。正解ってなんだろう。優しさってなんだろう。1個ではい。多面的に考えたい。沢山の中から選びとれたらいいな。
「人が選んだり、手放したりできるものは本当のところつまらないものだ。」
「自分の手ではどうしようにもできないものに立ち向かたときはじめて人は生まれ変わる」
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