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『ロマンス小説の七日間』三浦しをん

Instagram 2019 January 20掲載

ウォリックはぶしつけにならぬように気をつけながら、アリエノールを見つめた。「約束の地」にふさわしい、神の御使いのごとく輝ける女性だ。彼女を目の前にしては、目をそらすことなんてできそうにない。ウォリックはそんな自分を嗤った。

X文庫やコバルト文庫は読んだことがあるけれど、ハーレクインは読んだことがない。だけどわかる。ロマンス小説の独特の文体やお約束が!

ロマンス小説の翻訳者であるあかり28歳。長年付き合ってきた恋人がいきなり仕事を辞めてきて・・・という現実と、あかりが翻訳を手掛けるお姫様と騎士によるロマンス小説の世界が入り混じっていく。

ベタな恋愛小説や漫画、ドラマで話の展開が読めてしまうことはありませんか。心優しいお姫様のところにやってくる結婚相手のWildな騎士。なんだかんだ心配しようと、お姫様も騎士も見目麗しく、心も優しくて相思相愛。でも一瞬の不和を悪い奴が狙ってピンチに!でも騎士がうまいことやってハッピーエンド的な。そんなロマンス小説にツッコミを入れながら翻訳するあかりちゃん。一方、あかりちゃんの仕事や恋、つまり実生活はお話のようにはスムーズにいかない。

三浦しをんの『星間商事株式会社社史編纂室』(2009)も現実と同人誌のお話がクロスオーバーしていく話。2003年発売この小説は『星間・・・』よりシンプルで、同人誌界隈のことがあまりわからなくても楽しめるはず。作者の盤石なロマンス小説知識あってのエンターテインメント。そしてロマンス小説の枠には収まらない「真の」ヒロインあかりちゃん。好きだなあ。

81 『ロマンス小説の七日間』三浦しをん

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