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正直不動産

在宅勤務により家にいる時間が増え、色んなことを考えた。私はこのまま家賃を払い続けてよいのだろうか。独り身の私は資産となる家を買うべきだろうか。そもそも私は家を買うことができるのだろうか。気軽にスーモカウンターの予約を入れたら(当日は満席だった。今、多くの人が今住まいについて考えているらしい)あれよあれよと、3件の物件見学予定が入った。

3件目の物件は明らかに予算オーバー。営業マンは手元で電卓を叩いて言った。「大丈夫ですよ。月々このくらいでいけます。」あれ、内訳教えてくれませんか?固定金利か変動金利かも口に出さなかったけど、けっこう月々の支払い変わるよね?2件目の物件はここより安いけれど、月々の支払が予算オーバーだった。総額費用はここが高いのに、お金が消えるわけがない。何かおかしい。人生で最も高い買い物、定年後まで続く35年ローンを組むっていうのに、なんだかやべぇぞ、不動産。丸腰じゃまずい。

わからないことがあればマンガで予備知識を入れるのがこの私。ちょうど東洋経済オンラインで『正直不動産』が何話か無料公開されているので読んだ。(←超お勧め)うわー面白い。うわーやばい世界。このマンガを知っているか知らないかでは大違い。すぐに最新刊まで購入して読んだ。

主人公は吉祥寺にある登坂不動産のエース営業マン永瀬財地(35)。売上を上げるためなら、都合の悪いことはだまっておき、口車に乗せて契約を結んでいく。そんな誠実とは程遠い男だが、ひょんなことから嘘がつけなくなってしまう。自分はもちろん、会社にとって、客にとって都合の悪いことまで洗いざらい話してしまうようになる。

法律、手数料、ローンや転売、手抜き工事、売主と不動産屋、買主の関係…などがエピソードごとに色々なテクニックや情報とともに紹介される。最近話題になった武蔵小杉のタワーマンションや、離婚が増えている昨今におけるペアローンのリスクなど具体的で非常にわかりやすい。不動産業界で公正な売買を妨げるとも言われる「両手」についての説明を接客で何回か聞いたけれど、結局理解できたのはこのマンガの解説のおかげだ。

不動産についてよくわからなかったとしても、登場人物たちの生きざま、ストーリーが面白い。自社/他社のライバルがしのぎを削る、不動産業界を舞台にしたバトルマンガだ。あの客を横取りするには。あの物件の買主をどうやって見つけるか。地主を先んじて口説き落とすにはどうしたらいいか。そしてそれぞれの男たちが背負う過去、大切にするものとは。

知的好奇心を満たすという点でも、ストーリーマンガとしても非常に面白い。そして巻末のコラムにも書いてあるように、私は不動産屋さんで言いました。「わたし、『正直不動産』を読んでいるんです」と。この一言、効き目があると思います。

マンガ455-463.『正直不動産』 1 -9 大谷アキラ, 夏原武, 水野光博

東洋経済の無料記事

楽天Kobo:期間限定の1、2巻お試し版あり。
(下記は電子版購入。期間限定があるかどうかは検索してみてください。)
正直不動産 1

2020年読んだ本(更新中)
2020年読んだマンガ(更新中)
2019年読んだ本:77冊
2019年読んだマンガ:86冊
2018年読んだ本:77冊
2018年読んだマンガ:158冊

#正直不動産 #マンガ感想文  #読書 #読書感想文 #不動産

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