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『TOKYO一坪遺産』坂口恭平

JULY 7, 2018 Instagram掲載

この本は"ワンダー"に溢れている。坂口さんの驚きと喜びに。こんな発想があったのか、こんなことしてる人がいるんだ、ヤバいなぁ、すごいなあ、嬉しいなあ、オラ、わくわくすっぞ、そんな気持ちが全編に満ちている。

彼が町で出会っておや?と思った人のインタビュー&訪問記。隅田川のほとりにある、拾ったもので作られた路上生活者の家や(外部からの侵入を防ぐため、ドアからノブという概念をなくしている)、東京駅に忽然と現れ、そして消える靴磨き職人のブース。(工夫に満ちたミニマムで最高な仕事道具とは?駅で仕事して大丈夫なの?) 表紙にある、ギターの内側に作られたドールハウスを世田谷ボロ市で見た坂口さんはインタビューの約束をとりつける。彼は17才で作った1/5のピアノ(音が鳴る)を皮切りに、色々なミニチュアを作っている調律師だ。ランボルギーニは1/3縮尺で、車体はグラスファイバー製、バッテリー搭載、もちろん動く。作った理由は、欲しかったから。

他にも、折りたたみ式の宝くじ売り場、中野で隙間を大いに活用して植物を育てまくるご夫婦など、工夫や生き様を、窮屈な東京で視点を替えて最大限に活かし実現している人たちが登場する。大久保の仙人がすごかった…村上春樹の小説に出てきそう…

大阪だったらもっとわかりやすく変わったものに出会えるかもしれない。熊本だったら、より大きな土地で自分を表現しているかもしれない。狭くて口うるさい東京では、一見わからない奥まったところで、個人の「好き」や「情熱」を表現して生きている人たちがいる。生き辛くて、でも情熱が溢れている坂口さん(MacのCMにでている)だから彼らを見つけられたんだろう。自由と称賛、そして希望の1冊。

31. 『TOKYO一坪遺産』坂口恭平

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