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逆上、孤独、エリカの散り様。

あけましておめでとう.今年もkyokaことほころびを宜しく頼む.新年一発目から思想マシマシのnoteになるがご容赦願いたい.

そのまま原液を味わうとキツいと思うので,最近同居人が家で流しているBGMでも聴きながら斜め読みすることをおすすめする.(南雲さん,こんな記事で紹介してごめんなさい)




I. 前提

最初に断っておくが,私は一応はバイ(女も男も好き)だし,実際に男と付き合ったこともある.しかしそいつと別れて2歳下の今の彼女(以下 N と呼ぶ)と付き合い始めてからというもの,次第に男に対する興味を失っていったので,過去について深く触れる必要が特にない場合にはレズであるというようにしている.したがって私は完全なレズかと言われると疑問符が残る点だけは留意されたい.

あとレズという呼称について私がどう思っているかについてはこちらを参照.まあ要は「私と私の愛する人が良ければ別に差別されようが知ったこっちゃねーし伝わりやすいからレズって呼ぶわ」ってこと.

ただ,その「私の愛する人が良ければ」という前提が崩れかかる事態になるとそうもいかない.N も大体私と同じ意見で,自分たちが平穏無事に過ごせるなら他人になんと言われようが構わないと言っている.しかしそれにも限度がある.日常の一部が足元から崩れるような事態になると我々とて黙っているわけにもいかない.今回はそんな話である.


II. アウティングに遭った話 (本題)

2023年12月18日,私は誕生日を迎え,22歳となった.21歳は大まか幸せで充実した一年だったと言えよう.22歳もそうなると良いが……初日から先が思いやられるような出来事があった.

レズであることを不本意に暴露された.

大まかな経緯を話そう.私が大学で入っているサークルは2つある.どちらもNと一緒に入っている.(というか N が私を追って勝手に入会してきた.)今回問題なのは片方の英語系のサークルである.一般に4回生となるとほぼサークルには顔も出さないことが多かろうし,私の周りも実際そうなのだが,私に関しては就活も単位取得もとっくに終わっているうえに卒試がなく,院進するつもりもなく,バイトもそこまで忙しくない(家庭教師をやっているのだが,平日の18時以降か休日がほとんど)ため,平日の大学がある時間帯はほぼ暇なのである.邪魔にならない程度に顔を出していた.

このサークルでは4回生の誕生日が来るたびに本人を呼びつけて誕生日会が開かれる.大体やることは「当人が所望する飯とケーキをなんとしてでも用意して食わせる」「プレゼントを用意して押し付ける」「あとはプレゼントを開けながら適当に駄弁る」の3つである.

大体みんな3,000円程度,高くても1万は行かないくらいのプレゼントを持ってくる.しかし1つだけ明らかに高いものがあった.某○℃のネックレスである.安くても1.5万程度はするだろう.

この誕生日プレゼントだが,誰が送ったものかはわからないようになっている.集まった人から順に,三役で用意した黒いクソデカポリ袋に,中身を見ないようにしつつ自分の持ってきたプレゼントを入れる.当人以外が集まってプレゼントも入れ終わったら,ポリ袋の封を解いて中身を机の上に出す.誰が持ってきたか分かると安いものを持って来づらいだろうということで決められているルールだ.無論,開けているときも誰が持ってきたかは(梱包の仕方や中身で大体察しはつくものの)言わないのがお約束である.

しかしこの○℃の贈り主が誰なのか,この時の私には全く予測出来なかった.知らず知らずのうちに私が思うよりも慕われていたのかと思ってその場は流し,次のプレゼントを開封した.

プレゼントも開け終わり,用意してもらったケーキと飯も平らげ,後はいつも通りの時間まで適当に駄弁るわけだが,私はネックレスがどうしても気になった.プレゼントの値段を調べるとは非常に無礼な行為であることは重々承知の上でもどうしても気になり,途中でトイレに行くと言って教室を抜け出して調べた.戦慄した.1.5万どころかその倍の3万だった.てっきりジルコニア(擬似ダイヤ)だと思っていた石は本物のタンザナイトとダイヤモンドらしい.

変な汗が噴き出した.3万ものプレゼントを渡してくるくらいの関係値の後輩がいただろうか.サークルにはうちの同居人もとい彼女がいるが,彼女からは本命のプレゼントは夜渡して,サークルでは作ったお菓子を贈ると事前に訊いていたため,まずあり得ない.正体不明のパトロンに若干の恐怖を抱きつつ,教室へと戻った.

19時半になってお開きになり,大量のプレゼントを例の黒袋ごとサンタクロースのように持って建屋から出ると,LINE が届いた.

「他の人に内緒で×××教室に来てください」

相手は3回生の後輩男子の W くん.英語については至極真面目に取り組む勤勉な子なのだが,如何せん空気が読めず,デリカシーがなく,そもそも致命的に性格が終わっていて,私含めメンバーほぼ全員から嫌われていると断言できるような輩であった.先刻の高額プレゼントも相まって,まさか,と思いつつ,×××教室で待っている彼をそのまま待たせるのも悪かろうとその教室へと向かった.

大体想像は付くだろう.告白された.それはそれは情熱的な口上で.当然,そもそも私には付き合っている彼女がいるわけで,仮にいなかったとしても,男に興味はないし,平生の彼の姿を思い起こしてみても付き合うなんてありえないし,振るという選択は確定事項だった.

しかし,仮に私が振ったことによって気まずくなると W がサークルを辞めてしまうかもしれない.そうなると私としてはかなり後味が悪い.それに,振るにもその場では上手く言葉がまとめ切れなかった.私は彼に詫びて一晩返事を待ってもらうことにした.

そして翌朝.極力傷つけないように優しい嘘も織り交ぜつつ振ったのだが, W はかなり粘ってきた.これから就職して忙しくなるからというと「月1かそれ以下の頻度でも大丈夫」と返すし,私は付き合うとしたら毎週会いたいというと「毎週予定を開ける」と返すし,就職を気に神奈川に引っ越す(嘘)というと「バイト頑張ってお金を貯めるのでry」と返すし,意外と私重い女だよというと「それでも構わないです,受け入れます」と返す.

何を言ってもこの調子なので,相手がいることを伝えねば諦めてくれないだろうと思った.仕方なく,実は既に交際相手がいることを打ち明けると,それでも W は調子を崩さず自分が如何に優れた人間かを語り始めた.

確かに,W の優れた面を挙げるのは容易い.活動に対する意欲もさることながら,財力,学力,容姿など,「性格の悪さを除けば」彼氏にするには贅沢過ぎる相手なのだ.そう,「性格の悪さを除けば」である.それほどに彼の性格の悪さは目に余る.

自分の良い点を述べ終えた W に対しそれでも断りを入れると,彼は遂に私の相手がどのような人間かを問うてきた.最初はのらりくらりと適当な嘘で誤魔化していたが,質問を重ねるのちに私の答弁に矛盾が生じたところを突かれ,いよいよ私は本当のことを言わざるを得ないと腹を括った.

これまでレズであることは,私と N と W を除いても40人ほどいるサークルのメンバーの中でも2人にしか言っていなかった.とはいえ家にはたまにサークルの人間が遊びにくるので N と同居しているのは隠し切れないため,その2人を除いては表向きにはシェアハウスという体にしていた.

基本的に普段はレズを隠す必要なんてないと考えているのだが,「N もいるサークル」という点がネックだった.私はレズであることで迫害されようとも構わないし,N 自身もそうは言っているものの,私のせいで彼女に不利益が出るのは嫌だったし,逆に N も N のせいで私に不利益が出るのは嫌だったということで,黙っていた.それに仮に皆がレズを受け入れなかったとき,私はもうじき卒業するのに対して,N はまだ2回生だ.これ以降の彼女の大学生活が私のせいで灰色になるのは避けたかったというのもある.

しかしこう追い詰められてしまってはもう終わりだ.私は渋々 W にすべてを打ち明ける.勿論,バイだけど男に興味がなくなってレズになったなんて部分まで正直に言ったらそこに食いつかれて「また興味を沸かせてみせる」とか言い出しそうだったので,その点は伏せた.

これでやっと諦めるだろう……と思っていた私が愚かだった.それでもWは粘ってきた.男と付き合ってみたら意外と良いかもしれないじゃないですか,と.そして,

「それに,N って……w あんな頑固で胸のない子の何が良いんですか?」

ブッッッチィィィ.お前そういうとこやぞ.確かに頑固だし胸がないのも事実だが,彼女の頑固さは「絶対的に正しい」と考えられるものについてのみ発揮されるものだし(例えば教室を借りるのにも本来は許可が必要なのだが,私は面倒がって許可を取りにいかないのに対し彼女は許可を取れと口酸っぱくいってくる),胸がないのは……まあ私の好みである.私が普通よりも大きい方なので相手も大きいとハグしたときに邪魔なのだ.大体お前みたいな下卑た人間には N の良さなんて100年経っても理解出来ねえよ一昨日来やがれ.

ということを思いつつ,流石に私としても N の悪口を言われるのだけは看過出来ず,一線を越えた発言を前に遂に私の堪忍袋の緒が切れ,彼に対する不満が堰を切ったように溢れ出した.少々言い過ぎた感もあるが,大まかには,W がサークルの皆から嫌われていることや,その原因たる W の性格の悪さやデリカシーのなさを余すことなく懇切丁寧に教えた.

すべて言い終わると W は逆切れしてそのまま教室を出て行った.ここまで気持ちいいクズっぷりを露呈してくれたならもう辞めてくれても後味が悪くなくこともないと少し心が軽くなった.しかし,W に N のことを教えてしまった以上,N に何らかの影響があるのは必至で,その分心が重くなったことを勘案すると,結局その日私に降りかかる重圧は普段よりも重たかった.そして W の凶行の可能性も恐れ,その日私はずっと護衛のように N と行動を共にした.

結局,特に W が凸ってくるわけでもなく無事5限まで終わり,サークルに合流した.10分しない内に他のメンバーも揃ったが,W はいなかった.気まずくなったのだろうか.まあ暴露する気がないなら良かったと胸を撫で下ろした.そう思って皆と歓談して W の話を忘れかけていた.

しかし活動終了間際になって教室の戸を大きな音を立てて開けた乱入者がいた.W である.入ってくるなり彼は私を口汚く罵り,挙句の果てに皆のいる前で私と N の関係を暴露した.

終わった……と思った.無論,こういうジェンダーマイノリティの尊重に厳しいこのご時世,皆が口々に W の批判をし出したのは当然のことだろうが,恐らく今日これ以降メンバーたちは N と私を腫れ物扱いするのだろうと思った.

そう思っていたら何やら話がどんどん変な方向に進んでいった.最初はWの愚行を窘める旨のものだったのが,次第にWの批判に変わっていき,最終的にはWを取り囲んで説教して謝るまで帰さないとまで言い出した.やっと謝ったと思ったら W は教室をそのまま追い出された.(ちなみにWは翌日の活動のときに協議が行われて除名処分となった.)

その後の会員らの反応は予想していたものとはかなり異なった.質問攻めに遭い,馴れ初めなり普段の過ごし方なり付き合い方なりセクシュアルマイノリティ特有の感覚なりを訊かれた.まあ要は我々2人を中心とした恋バナである.

我々が腫れ物扱いされるという危惧は杞憂だったようだ.むしろそれ以降は通常のカップル然として冷やかされている.堅物なイメージを持たれていたNについても「私(kyoka)」という会話のとっかかりを得てかなり馴染めたようで,結果オーライといえば結果オーライだった.


III. 今回のことを受けてのお気持ち

今回はこのような形で良い結果に収まったものの,今一度私は性的少数者のカミングアウトについて再考することとなった.

「LGBTQ+ を差別しないのが美徳であり,万人は彼ら彼女らに対して関心を持たねばならない」という現代の価値観は少し的外れであると思う.私は無関心こそあるべき姿だと思うのだ.したがってその主義に則ればカミングアウトなんてものは「ないべき」なのである.しかし世界の大多数(およそ9割と言われている)が異性愛者 (heterosexual) であってシスジェンダー (cisgender) なのである.世界のイデオロギーの大多数を占める民主主義の原理,すなわち多数決に委ねるならば,「異性愛者でありシスジェンダー」なのはこの世界のデファクトスタンダードと言えよう.

となれば我々少数側はイレギュラーな例であるわけで,まずもって我々が出会う人の大半はそういうマジョリティなわけだから,知らぬ相手でも高い確率でそのステレオタイプに嵌る人間だと推測するのが妥当だろう.そこで少数側は必要に応じて自身の属性を「カミングアウト」する必要があるのだ.

ただカミングアウトとはおいそれと出来るものではない.少なくとも若年層は小中学校の頃からこの手の問題を学校で何らかの形で教わる上,ネットを頻繁に使う世代が故に、性的少数者に対する理解が相対的に深く,我々のような存在については受け入れる場合が多い.

しかしそれ以上となると,次第に不快感を示したり,そもそも理解してくれない人が増えてくる.それに若年層に関しては割合的に受容者が多いというだけで人によっては嫌悪感を示す人も普通にいる.また,性的少数者に対する嫌悪というよりは,男性蔑視 (misandry) や女性蔑視 (misogyny) に起因して,その侮蔑ないし嫌悪からくる批判のダシにこういう「性的少数」という属性を持ち出して論う場合もある.今回の W のアウティングはこういう侮蔑の意に起因するものだろう.他にも宗教的な理由からこの手の存在を拒絶する人もいる.

そして,そのような人がいるかどうかは見ただけでは分からない.地雷原のようなものだ.それが今回の W のような,役職も持っていない上集団の中での地位も然程高くないような人物だったら影響は少なかろうが,これが集団の中でそこそこの地位を有している者であったなら,日本人の同調圧力という悪い癖が出て我々のような存在は一瞬にして疎外され,迫害される.

したがってカミングアウトというものは,した方がいいのだが,簡単にしたくても踏み切れない場合が未だ多い.現に私は W にカミングアウトしたことで不利益を被りかけた.

N と同棲を始めるときも家族の反応が怖くて,当初は同棲という名目ではなくシェアハウスという名目で同居生活をスタートさせた.(ちなみにその後1か月もしないうちに N 宛ての LINE をアイコンの似ている妹に誤爆したことで意図せず交際がバレた.筋金入りの腐女子一家だったのが幸いしたのか特に冷ややかな目を向けられることがなかったのは本当に良かった.)

触らぬ神に祟りなし.余程のことがない限りは訊かれれば答えるが,訊かれてもいないのならば自供はしない.リアルで会う人間を相手にするときは,よほど仲がよくない限りそういうことにしている.

今回の話に結論はない.ただこういう肩身の狭い思いをしている人間もいるのだということを記した,一人称視点の観察日記とでも思ってほしい.


IV. おまけ:「LGBT」は「LGB」と「T」に分けるべき

以下,今回のカミングアウトとアウティングとは関係ない話だが,こういう話題なのでついでに言いたいことをば.

LGBT とか,LGBTQ+ とか,LGBTI とか,LGBTA とか,QUILTBAG(キルトバッグ)とか,SOGI(ソジ)とか,性的少数者をまとめて指し示す単語は多々あるが,私はいずれもやめてほしいと思っている.

いわゆるLGBT法が可決されたのは記憶に新しいが,成立に至るまで議論が紛糾したのはいずれもT,すなわちトランスジェンダーに関する問題であった.そして今もなお Twitter ……もとい X で懸念されているのはトランスジェンダー,特に MtF(Male to Female; 身体が男,性自認が女)のいわゆる「トランス女性」と呼ばれる存在である.

無論,「本当に」性自認と身体の性の不一致に悩む人は須らく救われねばならない.しかし,いかんせんこれは精神の問題であるが故に証明が難しく,「言ったもん勝ち」になっている節がある.故に,言い方は悪いが,LGBT の社会的印象が不当に下げられていのは(真のトランスジェンダーの人には申し訳ないが)「トランスジェンダーのせい」であると言わざるを得ない.

そこで私がかねてから言っているのが,「LGB」と「T」に分けろということである.LGB,すなわち女性同性愛 (Lesbian),男性同性愛 (Gay),両性愛 (Bisexual) は,「どのような性別を好きになるか」という問題である.そして法律的に結婚できないという大きな制約を課されている.一方で T,すなわちトランスジェンダーは,「自分の性別をどう思うか」という問題である.手術してしまえば法的に性別を変えることが出来る.少数たる原因が相手の性別にある LGB と,自分の性別にある T を,一緒の仲間としてまとめて考えるのは烏滸の沙汰である.

言い方がかなり悪いが,日本で同性婚が一向に認められないのも,トランスが足を引っ張っている節があると思う.(誤解なきよう繰り返し強調するが,問題なのは真に悩むトランスジェンダーの人々ではなく,トランスジェンダーを騙ってそれを免罪符にして好き勝手する人々の方である.)

ちなみに LGB といったが,この手の性指向に関する語は他にも色々あって,
・全性愛 (Omnisexual): どんな性別でも好き(男・女を好きな両性愛 Bisexual とは異なり,男女の枠に収まらない性別も対象となる)
・全盛愛 (Pansexual): 好きになるのにそもそも性別を意識しない(この場合も同様に男女の枠に収まらない性別も対象となる)
・無性愛 (Asexual): 他者に対して恋愛的/性的に惹かれない
・多性愛 (Polysexual): 3種類以上の性別が好き(全性愛 Omnisexual/Pansexual は多性愛の一種)
などが挙げられる.

一方でT側(性自認)にも色々あり,ジェンダークィア (Genderqueer) と総称されるのだが,
・インタージェンダー (Intergender): 中性(男と女の中間)
・バイジェンダー (Bigender): 両性(男でもあり女でもある)
・Aジェンダー (Agender): 無性(性別がない)
・トライジェンダー (Trigender): 三つの性(男でもあり女でもありその他の性でもある)
・クエスチョニング (Questioning): 不定性で,性自認を探している
などがある.

こんなもんなので,LGBT という単語だけでは他の性的少数者を無視している!と文句をつけた人が次々と略語を作りだした.単に他にもあることを示すために+をつけて LGBT+ とか,Q(uestioning/ueer) をつけて LGBTQ・LGBTQ+ とか,I(ntergender) をつけて LGBTI とか,A(sexual) をつけて LGBTA とか,全部並び替えて QUILTBAG(キルトバッグ)とか.しかしいずれも列挙になっており,他の少数者への配慮が欠けるとして生まれた語がある.

SOGI(ソジ)ないし S&G である.Sexual Orientation and Gender Identity,すなわち「性指向と性自認」である.性的少数者を一撃で表すのに現状最適な語はこれだと思う.列挙による定義ではなく集合としての定義であるため取りこぼしがない.(余談で,sex(ual) と gender の両方に「性」の訳が与えられているが,sex は生物学的/医学的な性別を指すのに対し,gender は社会的・文化的・心理的な性別を指す.)

ただ,これもやはり「性指向」と「性自認」の問題を一緒くたにしている感があって,私は嫌いだ.私としては「SO」と「GI」で分けるべきだと思う.

なお,性指向と性自認の他にも指標があって,性表現 (Gender Expression; どういう性別にみられたいか) や恋愛指向 (Romantic Orientation; どういう性を好きになるか.この場合,性指向 Sexual Orientation はどういう性に対して性的魅力を感じるかを指す) などがある.

したがって,「生物学的性別 Biological Sex」「性自認 Gender Identity」「性表現 Gender Expression」「性指向 Sexual Orientation」「恋愛指向 Romantic Orientation」の5指標に細分化出来るわけだ.例えば私だと「生物学的にはメス,性自認は女性,性表現は女性~中性,性指向はレズビアン,恋愛指向はガイノロマンティック (Gynoromantic; 女が恋愛対象) となる.ちなみに英語だと恋愛指向を形容詞にして性指向の前につけるので,私は Female, Woman, Feminine or Neuter, and Gynoromantic Lesbian となる.

ここまで細分化すると SOGI ないし S&G という呼び方すら不足があることになる.こういう鼬ごっこになるのも,何でもかんでも総称にする欠点の1つだろう.

まあ話はとっ散らかったが,結局のところこの補足で言いたいのは,「性指向」と「性自認」をまとめて論じるのはどうか止めてほしい,ということだ.

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