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当事者×元教師×療育 自閉スペクトラム症(ASD)の「一歩深い」解説

今日は朝マックへ♪

朝8時近辺はお店もいいすき具合。

コーヒーを楽しみながら、
心地よく作業でき、
いいスタートを切れました。


共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


「空気が読めない」
「こだわりが強い」
「好き嫌いが激しい」

そんなイメージをもっている人もいるであろう自閉スペクトラム症。

ASDの子どもがいる時、
周囲は

「何とか社会性を育もう」

とします。

なぜなら、

「社会性を育まなければ将来困るのでは?」

と往々にして思うからです。

一方で、当事者たちに聞いてみると、
社会性に困っているのではなく、
意図しない体の動きや、
過敏性に対しての困り感の方が圧倒的に多いというデータがあります。

つまり、
支援者と当事者の困り感がマッチしていない

よって、
本人が困っていないのに、
勝手に周囲から支援されるという状況が発生する。

それは、
ASDという特性の本質をつかんでいないことや、
偏った情報ばかりが流れてしまっていることによる弊害であるとも言えます。

そこで、この記事では、

ASDとADHD当事者でもあり、
元教師として数々のASD児を支援してきたこともあり、
特別支援教育士という発達心理検査ができる資格を取得中(もうすぐ取得できます♪)の筆者が、改めて、

「自閉スペクトラム症」

という特性を解説します。

もう知っているという人も、
自分の認識との整合性を検証しながら、
読んでもらえると有難いです。



自閉スペクトラム症の概要

特性の説明の前に、
筆者のスタンスをお伝えします。

筆者は、アメリカの精神医学会や、
日本精神神経学会が提唱している考えを基にしています。

「発達障害」

という定義は既に変わっており、

「神経発達症」

となっているという考えです。

よって、

「自閉スペクトラム症」

も「発達障害」でも、
「障害」でもなく、
脳の特徴の1つとして捉えています。

この特性をもつことによって、
社会に適合できずに二次的な障害が起こってしまう状態を、

「適応障害」

と捉えています。

よって、自閉スペクトラム症の特徴は、
誰しもがもっていると考えてもらいながら、
その濃淡がどれだけあるのかという視点でこの記事を読んでもらえると有難いです。

さて、
自閉スペクトラム症の特徴は、
大きく分けて以下の3つ。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

Ⅰ 社会的困難
Ⅱ こだわり
Ⅲ 感覚の困難

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

それぞれを具体的に解説していきますね。


Ⅰ 社会的困難

社会的困難としてあげられるのは、
コミュニケーションの障害、
言葉の裏が分からない、
空気が読めないといった問題です。

そもそもASDの子どもは、
言語の能力に困難を抱えているケースが非常に多いのです。

様々な困難を引き起こす主たるものが、

「言語の未熟性」

です。

ここがあまり認識されていないことが多い。

定型発達の子どもは、
4~5歳で相手の立場になって考える力が育まれていきます。

「心の理論」

と言われるものです。

対して、
自閉スペクトラム症の子どもが、この

「心の理論」

を獲得するのは、
平均で9歳というデータがあります。

それだけ言語が遅れている。

そして、言語が遅れるということは、
多くの問題を助長します。

例えば、

アラビア語が全く分からない状態で、
アラビア語圏内にいきなり放り出されたらどうなるでしょうか。

そわそわしてしまったり、
大きい声にビクッと反応してしまったり、
親切な誘いであるのに警戒してしまったり・・・

このように、
自分の言語が周囲に追いついていない状態の時は、不安や対人関係の凹みというものが助長されます。

言語の苦手さがあると、
どのような人でも自閉症的な行動が出るという研究も既に発表されています。

また、言語は、
助詞・助動詞などの苦手さの問題もあります。

助詞•助動詞が苦手とされるのは、
両者が、人間関係を表す言語だからです。

あの人「に」
あの人「へ」

など、一文字違うだけで、
動作の向かう先の矢印が変わる。

こういった人間関係の複雑さを表現する助詞が苦手だからこそ、「わ」と「は」を間違えたりします。

さらに、
よく自閉スペクトラム症の子どもは、

「視覚が強い」

と思われがちですが、
少し語弊があります。

それは、言語が凹んでいるが故に、
相対的にみて視覚の方がマシであるから、
そこに頼らざるを得ないのです。

結果として、
視覚を使う比重が多くなるので、
視覚がより発達していくと捉えることができるでしょう。

加えて、

「自閉症は方言を話さない」

という研究もある。

地方の方言の特徴が色濃く現れる地域でも、
ASDの子どもは標準語を話すのです。

なぜか。

ASDの子どもは、
周囲の人間から言語を取得しているよりも、
アニメ・テレビといったものから言語を取得するから。

「人よりもモノへの興味関心が強い」

これが、
次の「こだわり」につながる1つの原則です。


Ⅱ こだわり

こだわりが発揮されるものは、
大きく分けて3つです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

◆関心
◆やり方
◆ペース維持

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

の3つ。

関心は、
好きなもの以外にあまり興味を示さないこと。

この関心は、前述したように、
人よりもモノに寄せられることが多いです。

やり方は、
特定の手順を好むこと。

ペース維持は、
他者にペースを乱されたくないというこだわりです。

学校の授業で、
毎回のように流れがグチャグチャに変わる授業は、
ASD児にとっては混乱を招きます。

手順が分からない。
全体像が分からない。

こういった状態は非常にストレス。

また、急な時間割変更だったり、
コロコロと自分の言っていることを変える大人の場合は、ASD児は安定しません。

こういった特性は、大人も同じ。

会社の上司で、
主義主張がきちんとしており、
指示が具体的であり、且つ、
期限やポイントも明確に示し、
言っていることとやっていることが一致する人は、ASDにとって最高の上司です。

だから筆者は、言行一致の人が好きです。

なぜなら、
言った以上は実行するから。

昨日言ったことを、
やっぱやめたと突然方針を変え、
結果的に仕事が増えてしまうタイプの上司は、
筆者はあまり得意ではありません。

ちなみに、
ASDの方々は電車が好きという特徴があります。

数ある乗り物の中でもなぜ電車が人気なのか。

それは、

「時間が正確に来るのが気持ちがいいから」

なのだそう。

こういった、

「正確性」
「不変性」

をもつ要素にASDは惹かれる。

だから、
人よりもモノに関心を寄せやすいのです。

筆者は、
ADHDとASDを両方もっているので、
不変性が好きなときもあるし、
一定のパターンでは飽きてしまうときもある。

ここらへんの調整が簡単ではないのですが・・・笑


Ⅲ 感覚の困難

これは、

「過敏性/鈍麻性」

と呼ばれるものですね。
以前に記事にもしました。

ASDの特性を色濃く持つ人は、
9割の人が何かしらの過敏性や鈍麻性をもっていると言われています。

過剰反応、低反応とも呼ばれます。

匂いに敏感。
特定の音が嫌い。
偏食がある。

などがよく知られていますが、

触覚の過敏や鈍麻によって、

人見知り、
人ごみが苦手、
初対面でも平気、
大きな舞台でも緊張しない

といった特徴が現れることは、
あまり知られていません。

さらに、

「時間間隔の過敏性」

といったものもあります。

この過敏性を持つ人は、
昨日起こった出来事と、
1ヵ月前に起こった出来事が、
同じ感覚で呼び起こされることがあるのです。
嫌な記憶でも。

いわゆる、

「フラッシュバック」

です。

他にも、
触覚の1つである、

「温冷感覚の過敏/鈍麻性」

というものもあります。

とにかく暑さに弱い
冬は朝、布団にくるまって起きられない

これは過敏性。

暑くても、寒くても、
それをあまり感じないので、
衣服の調節ができず、
脱水症状が起こってしまったりする。

これが鈍麻性。

筆者が子どもの頃は、
冬になっても、
半袖で学校に来ている子が、
学年に1人はいたものです。
つまり鈍麻性ですね。

他にも、
暗闇がこわい、
水がこわい、
ジェットコースターがこわい、
車に酔う、

なども、
過敏性、鈍麻性による特徴の1つです。


その他の特徴

ASDのその他の特徴も、
非常に簡単に載せておきます。

◆アレルギー

ASDの子に限らず、
神経発達症の子どもは、
アレルギー症状をもつ子どもが相対的にみて多いというデータがあります。

◆意図しない身体の動き

身体操作が不器用なことが多いです。

自分の視界に映っていない部分の身体のイメージが、結びついていないことがあります。

よって、視界に映っていない足を、
どこかにぶつけてしまったり、
ポケットの中に入っているものが、
手触りだけでは分からなかったりします。

◆胃腸の不具合

ASDの人は、
胃腸に不具合がある人が、
定型発達の2~3倍いると言われています。

下痢や便秘になりやすかったりですね。

◆睡眠

睡眠に困難を抱えている人が非常に多く、
5割、つまり50%の人は、
睡眠に対し、何らかの困難を抱えています。

これは、
フラッシュバックや、
様々な過敏性も要因として関係してくるでしょう。

◆発想力が豊か

ワーキングメモリの中には、
優先順位を決める力があります。

これが相対的にみて弱い。

ということは、
情報の優先順位がごちゃまぜなので、
色々な不必要な情報が残ってしまう。

よって、多様な脳の中から、
アイディアがポンっポンッと生まれやすくなるのです。


まとめ

「ASDは人の気持ちが分からない」

と言われたりします。

しかし、これは間違いです。

ASD同士を集めた集団の中では、
ASDはお互いの気持ちに共感し、
非常に相手に配慮した行動ができるという取り組みもあります。

つまり、
定型発達が多い環境だからこそ、
自分と違う特性が大多数になるので、
気持ちが分かりづらいのです。

定型発達の人が、
ASD9割の集団に入ったら
、きっと、

「わたしは人の気持ちが分からない」

となると思います。

カサンドラ症候群だってその1つ。

よって、

「環境次第」

で、どんな人も、
マイノリティにもマジョリティにも、
なり得るということです。

そして、ASDの場合は、
何か1つ秀でたものがあると、
社会的にうまくやっていける場合が多い。

大学の教授や、
医者になっている人も多数います。
身体が強ければスポーツ選手も向いています。

イチロー、大谷翔平が、
ASDの特徴をもっていることも有名です。

毎朝カレーを食べたり、
パスタに塩だけかけて食べたりなどという、
偏ったことは定型発達の人はあまりやりませんから。

ASDの特性だけでなく、
支援といった点での解説は、
また別の記事で行います。

もしよければ、その時もぜひ、
ご覧になってください。


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