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連載|第二章 「効果的な工夫」で成果を高める(其の二)



15 「前例がない!」など言い続けていないか?

完璧主義の人は、前例通りに頑張る。
上手に力を抜く人は、独創的に工夫する。

以前ある注文住宅の営業マン・H君(かつての弓道部内後輩)の例をご紹介します。

H君は、展示場に来場されたお客様と話をして、次のアポイントを取るというアプローチ方法で営業活動をしていました。しかし、一年近く経ってもあまりうまく売れず、焦りが空回りして、自分のスキル不足が問題なんだと自信をなくしていました。

そこで私は、「社内でトップの成績を挙げている三人にインタビューしてきてください」と課題を出しました。(まさしく、先輩として格好つけています…💦)

結果、共通していたのは「紹介をもらっている」ということでした。

ある一人のトップセールスマンは、不動産会社と提携して、そこからお客様を紹介してもらっていたそうです。

これだけで、年間の目標をゆうに超えるということでした。

ちなみに、展示場に来訪したお客様の成約率は2%で、この不動産会社からの紹介の場合は25%。

前者の営業をしていると、計算上、成約に至るのは50人に一人ですが、後者の紹介営業であれば、お客様の4人に一人から契約してもらえるということです。

スキルの差はもちろんあるでしょう。しかし、本質的な違いは、確率の悪い商談をたくさん繰り返すという活動にあったのです。

結果、H君は、紹介がもらえる先を開拓する営業活動を中心に据えることにして、効率が圧倒的に高まりました。


前例思考を捨てよう

完璧主義の人は、安心・安全のために前例主義で考える傾向があります。H君はそれにはまっていたのです。

一方、先の例のトップセールスマンは、信頼関係がなく購入意思が未確定なターゲットではなく、すでに紹介元との間に信頼関係ができていて、かつ購入意思の強いターゲットはいないかと考え、不動産会社とのパイプを強くしていたのです。

このように、前例や、皆と同じやり方ではなく、成果を出すための独創的な方法を考えることができれば、仕事の成果は高まります。



16 弱点を克服しようとしていないか?

完璧主義の人は、弱点を克服しようとする。
上手に力を抜く人は、強みを活かす。

R.H.リブズ博士の『動物学校』というおとぎ話をご紹介します。

昔々、動物たちは、新しい世界の様々な社会問題を解決するため、学校を設立することにした。そして、学校を円滑に運営するため、全ての動物に、かけっこ、木登り、水泳、飛行の四科目の履修を義務付けた。

アヒルは、水泳成績は優秀だった。飛行もいい成績だったが、かけっこは苦手だった。それを補うために、放課後居残りをさせられ、水泳の授業時間まで削って、かけっこの練習をさせられた。やがて、足の水掻きがすり減り水泳も平凡な成績に落ちた。しかし、学校は平均的な成績で良いとされていたので、アヒル本人以外は、誰もこのことを気にかけなかった。

ウサギは、かけっこにかけては最初から誘導性だったが、水泳が苦手で居残り授業ばかりさせられているうちに、神経衰弱を起こしてしまった。

リスは木登り上手だったが、飛行の授業では、木の上からではなく、地上からとべと先生に強制され、ストレスが溜まる一方だった。疲労困憊の末、肉離れを起こし、やがて木登りはC、かけっこもDにまえ落ちた。


欠点修正に終始しない

完璧主義の人は、マイナス部分に目が行くので、自分の欠点が気になります。例えば、学校の成績で言えば、3や2の評価をいかに上げるかという発想になりがちです。確かに欠点修正、弱点克服はある程度バランスが求められる組織社会では必要です。

しかし、バランスをよくするだけで、成果を高めるには限界があります。

その証拠に、上手に力を抜く人は、強み・得意を活かしている人が多いです。

例えば営業パーソンで人と長くお付き合いすることが得意な人は、つながりを維持するために、お客様と交流会の場を持つようにしています。

行動力が強みな人は、たくさんの見込み顧客と会う戦略をとって、とにかく動くことを武器にしています。

緻密な戦略を練ることが強みな人は、成約率が高まる戦略を徹底して考えて、無駄のない動きをしています。

それぞれの強みに合った方法をとっている人は圧倒的な成果を出しているのです。

ちなみに、正解はひとつではなりません。



17 今までのやり方に固執していないか?

完璧主義の人は、今までのやり方に固執する。
上手に力を抜く人は、新しいやり方を試してみる。

SAPというドイツのソフトウェア会社は、マイクロソフト(Microsoft)、オラクル(Oracle)に次ぐ、世界3位の会社です。この会社に、世界7万人の中TOP 2%に7年連続で選ばれ続けた金田博之さんという方がいます。今日は彼の本の中にあったエピソードについて語ります。

1年目、一流大学を卒業してきた同期が花型業務に就く中、彼はセミナー運営管理業務を担当しました。その業務は、彼の希望していた業務内容とはかけ離れたルーチンワークでした。

しかし、彼はふて腐れず、与えられた場所で最高の仕事をする決意をし、踏襲されている業務フローがなぜこの手順になっているのか、もっと他に良いやり方があるのではないかと模索したのです。

そして、業務改善したところ、手作業で一週間かかっていた業務をたった数分にまで短縮でき、コストも大幅に削減できました。しかも、そのほかの業務のツールとしても役立ちました。

この工夫により、彼は1年目にして社長賞を得たのです。


新しいやり方で変化領域に飛び出す

人は変化を恐れ、現状維持を好みます。

だから、ちょっとしたことでも慣れ親しんだ場所、人間関係、仕組み、やり方に固執します。さらに完璧主義の人であれば、失敗を恐れるので、変化を避ける傾向が強いのです。

そのため、今までのやり方が古く、非効率になっていて、周りが新しいやり方に移行しても、自分だけは古いやり方にしがみ付いていることがあります。

まずは、スケジュール管理の手帳を変えてみる、ノートの取り方を変えてみるなど、小さなやり方、工夫から始めてみましょう。小さな変化を生み出すことに慣れると、どんどん変化への恐怖と不安は少なくなっていきます。

また、新しいやり方を工夫すると仕事は創造性にあふれて、楽しいものになります。

今やっている仕事が退屈でマンネリ化しているなら、新しいやり方を試して、60分かかっていた仕事を40分で終わらせる工夫をすると良いでしょう。新しいやり方を試すことは、日常の業務でも、圧倒的な成果を手にすることができる可能性を秘めています。

日頃から少しずつ、新しいことに挑戦していくことをお勧めします。



特集 – 現状領域とは?変化領域とは?

現状領域とは、変化のない世界、安心で安全な領域(エコーチェンバー)です。

例えば、「自分の能力の範囲で確実にできる仕事をこなす」「いつもと全く同じ行動パターンを繰り返す」「気心の知れた仲間と過ごす」などです。

すごく快適で安心ですが、ずっと安住すると退屈さや成長感のなさも同時に味わってしまいます。

一方、変化領域とは未知の世界です。

例えば、「まだやったことのない初めての仕事」「自分の能力を最大限発揮してもうまくいくかどうかわからない挑戦」「これまでとは違った世界の人との出会い」などです。

この領域に進むには、失敗のリスクや恐怖、不安がつきものです。居心地はとても悪いのですが、この領域にこそ成長があります。

あくまでも私見です💦


つづき


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