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掌編小説

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2023年10月の記事一覧

掌編小説 今

「ひとつあげる」  部活帰り、音楽室を出ると、廊下で待っていた萌々香が飴をくれた。夕日を…

京
10か月前
13

掌編小説 なわとび

 毎日、休み時間に練習するんだけども、全然うまくいかん。勢いづくために数回跳んで、その後…

京
10か月前
12

掌編小説 喰う

 クイーンズタウンのハンバーガーはとても大きくて、食べ終えるのに何時間もかかってしまった…

京
11か月前
9

掌編小説 僕と花

 得体の知れない黒の中。気づいたら、僕はここにいた。自分がどこの誰なのか、どこから来たの…

京
11か月前
11

掌編小説 ひとみのなかみ

 昔、僕がまだ小さかった頃、お兄ちゃんはよく僕の顔を覗き込んだ。僕の目をまっすぐ見て、ニ…

京
11か月前
18

掌編小説 原石

「星屑を、ひとつください」 「あいよ、星屑ひとつね。お嬢ちゃんかわいいから、もうひとつお…

京
11か月前
5

掌編小説 私を描く

 あたかも長い付き合いでもあるかのような態度で「こうだよね」と決めつけられると、心に深い霧がかかる。私の悪い癖だ。良くも悪くも、繊細で脆い。  自分のことは、自分がよく知っている。そう信じていた。  デッサンを習ったことがある。デッサンというと見たものをそのまま描くだけだと思いがちだが、そうではない。そこには、個々の感性が色濃く反映される。大胆に力強く描く人、細い線で緻密に描く人など、さまざまである。  馴れ合いが嫌いな私は、雑談しながら描いている人たちを冷めた目で見つつ、

掌編小説 時間と感情

 昔よく聴いていた音楽を久しぶりに聴いたら違和感を覚えた、なんてことはよくある現象なのだ…

京
11か月前
2

掌編小説 帰り道

 十月になり、随分と日が短くなった。仕事を終え外に出ると、西の空がかすかに赤いのが見える…

京
11か月前
4

掌編小説 いつかの月夜

 仕事が終わり、足早に駅へと向かう。最近涼しくなってきたとはいえ、まだ夏は去っていない。…

京
11か月前
4

掌編小説 十月はじまり

 代わり映えしない毎日に辟易する。でもそれもある種の幸せなのであって、結局私は贅沢者でし…

京
11か月前
2

掌編小説 母校

 大学卒業後に上京し、長らく東京に居座っていた私が今、博多行きの新幹線に乗っている。深い…

京
11か月前
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