(神の)見えざる手って・・・
前回に引き続きクリティカル・マネジメント研究 (Critical Management Studies:CMS) という1990年代以降イギリスを中心に興隆している研究からです。
この研究は、伝統的な経営理論やその理論を生み出すビジネススクールに対して学術史を踏まえて検証していく研究です。
(神の)見えざる手にご用心
例えば、アダム・スミス(1723-1790)『国富論』(「諸国民の富」)に書かれた有名な「神の見えざる手」と言われる概念があります。これは「市場経済において、各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体において適切な資源配分が達成される」とする考え方です。これは「市場メカニズムを重視する」考え方で、現代の経済学や経営学の基礎となっています。
上記の説明に接したことはないでしょうか?
研究者は・・・
このように、指摘しています。
調べてみると全生涯で3か所のみ『国富論』では1か所
アダムスミスが発表した論文・著作で現存しているものでthe invisible handが出てくるのは3か所のみで、内一編の論文は天文史に関するものですから、経済に関するものでは2か所のみです。しかも<神の>はありませんでした。
天文学は Jupiterに関するものなのでこちらの方がしっくりするような。
(1)The Theory of Moral Sentiments (1759) Part IV, Chapter 1
見えざる手によって導かれ・・・社会の利益を促進し、そして余裕を持って、生命の必需品をほぼ同じように分配する・・・
(2)The Wealth of Nations. Book IV, Chapter II, paragraph IX
公益とともに自己利益を結びつけるものがあり、それによって自分の利益を追求する個人は必然的に社会全体に利益をもたらす.
(3)The History of Astronomy
by the necessity of their own nature; nor was the invisible hand of Jupiter ever apprehended to be employed in those matters.
CMS研究の指摘は
Cummings, S. & Bridgman, T. (2020)によると
この論文は👇の本の2章に収録されています。
うえ~~高い!
ならば👇にも収録されていますよ
本を読む時間がない!
然らば、2分かからない動画で
ナンチャテビジネススクールにご用心
10年程前から言われ続けていることなので、このような誤ったアダムスミス引用を教えている教員や学校にご用心くださいね。
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