見出し画像

現場の汗を数字にするのが改善の第一歩。〜原価計算の実践〜

製造業で原価改善をする際に、皆さんどこから手を付けますか?
ITを導入しますか?高価な設備を入れて省人化しますか?いろいろな手があると思います。

もちろん正解は無いのですが、私はまず、「今起こっていることを数字で表現すること」が大事だと考えています。

私は事業企画という仕事をしていて、キャリアとしては(海外赴任あるものの)基本的には同じ部署に所属をしています。
この部署に新卒配属されたときに、初めにした仕事が「原価計算」です。

「原価計算」の目的は様々ですが、基本的には経理処理のために使うものです。計画を標準原価で表し、実績費用と標準原価との差異を原価差異として表す。それによってPLが表現できますし、また、違った目線で行けば資産を表現することでBSの元となります。

よって、原価計算は非常に重要な業務であるのですが、私が新人の頃にこの仕事をして学んだことは、「現場の活動はすべて数字で表現できる」ということです。

会計処理するんだから当たり前じゃん、ということなのですが、逆の見方をすると、「現場で起きていることを数字で説明できますか?」ということになります。

これは、現場で発生している費用の総和を集計する、ということとは限りません。

「ある工程の、ある作業」であったり、「ある開発行為」であったりします。それらを数字で表現できるか?というとできていないことが多いと思うのです。

例えば、同じ製品を作っている製造ラインが10本あって、その全体で狙った採算が出ていなくて苦戦中だったとします。何かしら手を打ちたいとして、ボトルネックを特定して効果的な策を検討したい。でも、どのラインで、何が起こっているのか、何が問題か、を数字で特定できますか

理屈は簡単です。発生した費用を然るべき単位で集計することです。そして、なぜその費用が発生したか、現場と会話して分析していくことで課題を特定していく、ということです。

しかし、発生した費用を集計するといっても、現場の人が10メートル移動している間にいくら発生しているのか?といったように、行動と費用を繋げられないと、どのような単位で集計すれば課題が見えるか、仮説が立ちませんし、出てきた数字を見てもそれが問題なのかどうか説明することができなくなるのです。

そして、この説明や分析ができないと、効果のある改善策を打つことができなくなります。

ですから、改善策を考える前に、今を分析すること。そして、それは現場の行動を数字で説明すること現場を見たら数字が想像できるようになること、が大事です。

昔、私が若かったころに、上司に言われたことが頭に残っています。

君が今、そうやって悩んでいる間に会社はお金を払ってるんだよ。常に自分の頭の上でチャリンチャリンとお金が動いているイメージをすること。

非常に簡単な指摘です。でも、私はこれを聞いてから、会社で起こっているすべての行動をお金をイメージしながら見るようになりました。

事業を好転させるということはお金を生むということ。
常に行動をお金で表す。これが第一歩です。ちょっと会計の勉強をして(ちなみに私は大学で簿記も経済学もやらなかったので会社で体で覚えました)意識すればできるようになります。
現場や自分の行動をお金に置き換える癖がつけば、仕訳も自然と頭に入ってきます。

だから、これは机上で考えてみてもわかりません。現場に通って、その動きがどこの数字に表れているか考えること。それを続けていくと、逆に現場の困りごとを数字で説明できるようになります。

私は若いころに、「現場の汗を数字にするのが仕事」と思っていました。私の質問や話に付き合ってくれた現場の方に感謝するとともに、この知見を活かして改善を進めていきたいと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?