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【コラム:『語学学習』としてのアニメの活用】

 こんにちは(o・ω・o)カエルです。
 
 みんな大好き『アニメ』のお話。
 
 日本人なら幼少の頃からTVで放映されていたアニメを目にしたことがあるハズ。
 そんなアニメに、何かしらの影響を受けた人も少なくはないと思います。

 そしてそれは海外でも同様で、なんと「日本語を学ぼうと思った人の54%が『アニメ・漫画・J-POPが好きだから』と答えている」というデータが出ています。


□日本語への関心という視点での『アニメ・漫画』

 さらに、日本語の学習目標設定について、
「テレビドラマやアニメを字幕なしで理解できるようになる」
「マンガを日本語オリジナル版で読めるようになる」
「マンガのシナリオや小説を書けるようになる」「日本に関する領域で仕事または研究できるようになる」

 の4項目の学習目標への関心は正の相関関係があるとしています。

 さて、ここで『日本語』についって少し紹介しておきますが、皆さんもよくご存知かと思いますが「日本語は語学の中でも特に難しい」という話は有名。
 アメリカ合衆国国総省が発表している言語難易度では1から4までの難易度の中で、日本語は最難関である『カテゴリー4』に設定されています。
 理由は主に7つ。

①オノマトペ(擬声語)
②文字の種類(かな・カナ・漢字)
③漢字(使い分け・読み分け)
④主語・目的語の省略
④言葉の使い分け(同じ単語で意味が異なる)
⑤必須語彙数が多い(英語は3000/日本語は10000単語)
⑥一文字違いで意味が異なる(単語・接続詞など)
⑦方言

 日本人である私たちは育つ過程でこの複雑な言語を習得していきますが、海外で育った人が後天的に学ぼうとするとその難易度は跳ね上がります。
 それに、日本人でも十全に日本人を使いこなせている人はどれだけいるのか?という話でもありますよね。
 
 そんな高難易度の日本語を学ばせる力が『アニメ・漫画』にはあるということになります。


□日本語教材としての『アニメ・漫画』

※論文より引用

■1990年代
・既存作品の流用/教材の不足

・ジブリ作品『となりのトトロ』
・漫画原作である映画『釣りバカ日誌』など

 教材が不足していた時代であり、映像機器に関しても『パソコン』『レーザーディスク』など高額であったため、既存の作品が多く流用されていた。
 文化庁主催でCD-ROMの無慮配布などが行われており、教材が不足していた。

■2000年代
・TVアニメーションの教育資源活用
・Webサイトの浸透
 
 TVアニメーション作品の増加により、『言語難易度』という意味で教材に応用できる作品が増加した。
 また、2000年代に入り映像資源の入手が容易になった。
 1980年代後半からは欧米での「アニメ人気」が活発になり、『用語集』など新しい資料が『専門雑誌・概説書・Webサイト』において作成・配信された。
『用語』の頒布が進んだのも2000年代の特徴。
 
『語学』としては "日本語の輸出" が進んだ時代。

■2010年代〜
・世界規模のアニメ・漫画の調査研究

・日本語教育用のオリジナルアニメ作成
・Webサイトの教育資源活用

 2011年に公開されたWebサイト『アニメ・マンガの日本語』は公開8ヶ月で165ヶ国で155万ページビューを記録し、Webサイトの影響力と『アニメ・漫画による日本語』への関心にインパクトを与えた。

 2007年に出版されたオリジナルアニメーション『エリンが挑戦!にほんごできます。』がWebサイトにて無料公開され、日本語教材として初のオリジナル作品が制作された。

 2010年以降、アニメ・マンガを日本語学習の動機づけに活用する目的として調査・研究が開始された。
 ほとんどの国で日本アニメ・マンガの浸透が進み、媒体もTV・雑誌からWebサイトへ移行していった。
 
 2015年の論文では、

「アニメ」という素材は従来の日本文化の枠を超え、世界に受け入れられている新たなメディアであり、日本語だけでなく、複数の言語によって様々な言語話者が同時に楽しむことができるという特性も持っている。
この特性を最大限に生かし、世界の年少者がアニメを通じて互いに多様な言語と出会い、学び合えるような、新たな 教育実践を創造していきたい。

 など述べられており、2010年以降、台湾などで行われている日本語教育の中ではアニメ・マンガ作品が副教材として導入されている。

 総括として、日本語教育に関するアニメ・マンガの導入は、

①アニメ・マンガと日本語学習をつなぐ役割を持つ
②学習者が元々好きなアニメ・マンガの世界観を生かしモチベーションにする
③楽しく学べ、自律学習につながる

 などの期待と実績がある。さらに、

「日本のアニメ・マンガは課題はありながらも将来性のある有望なコンテンツであり、日本政府は経済・外交・文化的観点からその育成と普及を積極的に支援している」という側面と、その有望なコンテンツであるアニメ・マンガを活用した日本語教育も同じく有望視され支援されている。
アニメ・マンガなどのポップカルチャー、及びそのファンは、日本語学習への関心が強い傾向にあることが明らかになったことから、アニメ・マンガを活用した日本語教育が今後も支持され支援される可能性がより高まった。

 としている。
 
 
 と、いう感じで、実は私たちが知らないところで30年も前から『アニメ・マンガ』は日本語教育、そして日本文化の世界進出、発展に貢献しており、今日のジャパニメーション人気は、教育者たちの力によって作られたという側面も持ち合わせていることがわかります。
 
(蛙・ω・)<ちなみに、カエルの知り合いの中国からの留学生も「日本の『氷菓』という小説で日本語に興味を持った。日本語で書かれた原作を読めるようになりたくて留学を決めた」という子がいました。

■京都アニメーション『氷菓』原作:米澤穂信

 

 日本のオタク文化はちゃんと日本に貢献してんだよなぁ(o・ω・o)
 
 と、いうことを紹介したかったnoteでございました。
 
 日本のアニメ、マンガは良いぞ。
 

【参考記事】


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