【コラム:VTuber「月ノ美兎」の「fansub」がエグい】
こんにちは(o・ω・o)オタエルです。
つい先日、VTuberにおけるファンの推し活「fansub文化」
ファンサブ (fansub、fan-subtitledの省略)
ファン字幕、非公式字幕とも。 中華圏(中国語):字幕組、漢化組) は、映像作品(主に他の言語による音声)に、ファン(愛好家)が字幕を付けたもの。 または、その活動のこと。
について紹介したのですが。
デビュー4周年を迎えた「にじさんじ」
そしてにじさんじの「顔」であり代表的存在のバーチャルライバー「月ノ美兎」のfansubがとんでもなくエグいので突発的noteで紹介します。
VTuberに興味がない方もビジネス的観点でnoteを読まれている方も、
現代日本における「消費者」がどれだけの発信者としての影響力を持っているのか。
というのを感じていただければと思います。
□ファンが作った推しのコンテンツ
ウェブサイトは「月ノ美兎の学級委員会」という非公式ファンコミュニティがアナウンスしたもので、その後、月ノ美兎本人からもリツイートによりアナウンスされています。
TLの文面には、
月ノ美兎特集号発売!4年の歩みを綴った年代史、リスナーの出自をアンケート分析、委員長がいつどの衣装を着ているか分析、体験レポ、ジュークボックス……1冊丸ごと月ノ美兎!
※ ファンによる無料の記念サイトです
とあり、リンクは、
月ノ美兎に関する「4年の軌跡」が集約されています。
そのクオリティたるや……!!!!
完全に企業案件レベル。驚愕の一言。
内装もめちゃくちゃこだわってる。
ウェブサイト内は雑誌型のフォーマットになっており、各ページの中には縦スクロールでさらに情報が詰め込まれています。
ファンの熱量がヤバすぎる件。
□コンテンツ(など)の価値はどのように決まるのか
カエルが信奉するサイエンスライターであるパレオさんが以前書いていた記事にこういものがあります。
ブランドや商品の成功は「温かさ」と「有能さ」の2つの軸で決まる!
「ヒューマン・ブランド」という著書において、コンサルタントのクリス・マローンと社会心理学者のスーザン・T・フィスク博士が記したものです。
フィスク博士は「社会的認知研究」で有名な先生。
■温かさ:
社会的にうまくやっていけそうかどうかを示す尺度。
「幸せそう」「親しみやすい」「好感が持てる」「信頼できる」「正直である」「誠実である」などが挙げられる
■有能さ:
目的や計画を実行する能力の高さを示す尺度。
「スキルがありそう」「知的っぽい」「熟練している」「決断力ありそう」などが挙げられる
とのこと。
さらにこの2軸の高低でコンテンツの評価はさらに4分割されます。
↑①温かさ + 有能さ =
感嘆や誇りの感情を生み、「ひきつけられる」「接触する」「同盟を組む」などの行動を引き起こす
|②冷たさ + 有能さ =
羨望や嫉妬の感情を生み、「義務感をともなう接触」「妨害行為」などの行動を引き起こす
|③温かさ + 無能さ = 同情や哀れみの感情を生み、「強引な手助け」「社会的な放置」などの行動を引き起こす
↓④冷たさ + 無能さ =
軽蔑や嫌悪の感情を生み、「拒絶」「忌避」などの行動を引き起こす
まさに、社会的認知観点(行動社会学)において、「月ノ美兎」というコンテンツは
温かさ + 有能さ = 感嘆や誇りの感情を生み、「ひきつけられる」「接触する」「同盟を組む」などの行動を引き起こす
を体現していると言っていいでしょう。
ファンは惹きつけられ、
月ノ美兎に触れ、
ファンのコミュニティを組織し、
新たなコンテンツを生み出す。
この結果が、月ノ美兎によるTLだと言えます。
ファンが自主的に制作した4周年の記念ウェブコンテンツを、コンテンツである月ノ美兎本人がアナウンスしている訳ですから。
ある意味究極の「fansub文化」の形と言えます。
□これまでにも多くの「fansub」が作られた月ノ美兎
月ノ美兎をはじめとするにじさんじ一期生は、配信アプリ(Mirrativ)の「テスター」として起用されたのが原初。
その後、一期生の中でも機械や生配信に強い渋谷ハジメらによる手探りの結果、今の「VTuber」「バーチャルライバー」の形が開拓され落ち着きました。
当時から月ノ美兎は「アイドル」に対し言及しており(本人がシャニマスの熱狂的ファンである)ファンの間では「清楚」「ヤベーやつ」「アイドル」「サブカル女子」「ヤベーやつ」と評価・揶揄されています。
その結果生まれたのが iru氏による月ノ美兎イメージソング「Moon!!」
VOCALOID「重音テト」を用いたボーカロイド楽曲。
才能とスキルを最大限詰め込んだ、才能の無駄遣い(褒め言葉/※ネットスラング)。
愛が詰まった一曲。
このように、ファンによるオリジナル楽曲が2次創作として投稿されたことを皮切りに、多くの才人(鬼才)たちが自分たちの「推しの楽曲」を作るムーブメントが形成されました。
そして、満を持して月ノ美兎本人がライブ配信内でカバーし、カバー楽曲としてドロップ。
2018年3月に投稿された「Moon!!」は多くのイベントやシーンで使われることとなります。
めちゃくちゃエモい。
そして2021年8月、月ノ美兎は1stアルバムをリリース。
楽曲提供には、
ササキトモコ
ASA-CHANG&巡礼
いとうせいこう is the poet
大槻ケンヂ(筋肉少女帯、特撮)
長谷川白紙
広川恵一(MONACA)
堀込泰行
TAKUYA(ex.JUDY AND MARY)
NARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)
と、名だたるクリエイターが参戦。
1stアルバム『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』のラストナンバーには「Moon!!」が収録されています。
(蛙・ω・)<エモで殴ってくるやん……。
□『fansub』を双方向コミュニケーションに変換する
本来「fansub文化」とは元来である「ファンがコンテンツに対して行う助力」や「自分たちがよりコンテンツを楽しむための行動」ですが、ファンの推し活、つまりオタクの一人遊びを双方向コミュニケーションに変換し、コンテンツまで昇華させる。
というのが月ノ美兎、ひいてはVTuberの魅力の1つであるとカエルは考えます。
同意見のオタク諸兄らは非常に多いことでしょう。
決して「ファンと極端に距離感が近い」という訳ではないことも注目すべきポイントだとカエルは思います。
『コンテンツの価値』で挙げたように、「温かさ」と「有能さ」において、消費者との距離感が近過ぎると「有能さ」が低下してしまうためです。
ファンの声や活動を拾い上げ一緒に楽しむ「温かさ」が高く、
なおかつライバーとファンという一線を画しプロフェッショナルさを体現する「有能さ」も高い。
そんなコンテンツだからこそ、月ノ美兎というバーチャルライバーはVTuberの代表的存在の一人になり、多くのVTuberの憧れ的存在になったのではないか。
そして我々ユーザーが心から楽しめるコンテンツになったのではなかろうか。
と考えます。
今回ご紹介した月ノ美兎四周年記念ウェブサイト
本当に良く出来たコンテンツなので、VTuberに全く興味がない方もぜひ目を通してみてほしいと思います。
普段触ることのない特殊で奇異なサブカルチャーがふんだんに詰め込まれていて、何かしら得るものがあること間違いありません。
普段触らない知識に触れると、人は持ち前の知識と融合させることで新しいアイデアを生み出す。という論文もありますしね。
っぱVTuber、オタクカルチャーはやめらんねぇわ(o・ω・o)インターネットやめらんねぇ〜!!
以上。着席。
カエルでございました〜(o・ω・o)ノシ
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