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ひとり、童貞連句を作る⑤(第九、十句)

童貞連句も第五回目となりました。

これまでの句はこちら。

長らくお付き合い頂き、ありがとうございます。

あともう一回くらいで、
十二句全部挙がるかなと思います。

今までの句はこんな感じ。

夏浅し午前八時に巻くひげか    初夏 場
 水打つ人の濡らすつま先     三夏 他
跳ね油勢い付いた音聞きて     雑  自
 名残茄子から垂れるめんつゆ   仲秋 場
友集い白川夜船二日月       仲秋 自他
 熟れぬオリーブ男塩漬け     晩秋 他
向かいの君酒もないのに赤み差す  雑  他
 毛布代わりと握るねんねこ    三冬 自

恋句から場面が一転し、冬に入りましたね。

それでは、参りましょう。

懐で僕だけに咲け冬椿  晩冬 自

前にお話ししたように、連句においては、
月の句・花の句をどこかで詠む必要があります。

第九句は長句(五七五)ですし、
ここで花の句を詠むことにしました。

花の句は連句の華ですから、
偉い人が花の句を詠みます。

これが慣用句で「花を持たせる」という言葉に
なった訳ですね。

まあ、ひとり連句なので、私が私に花を持たせて
いる
ことになるのですけれど・・・


椿はその字に「春」と入っているように、
そのままだと春の季語になるのですが、

冬椿は、寒椿、早咲の椿とも呼ばれ、
冬の季語に分類されます。

冬椿の赤は雪の中で非常に映えますけれど、
痛ましくもあります。

本来、冬は椿の咲く季節ではないから。

でも咲いてしまった以上、
どうすることもできない。

寒さを忍んで咲き続けるしかない。

冬椿は、孤独な花だと思います。

なんか、童貞もそんな感じなんですよ。

咲いた時期が悪くて苦しめられているような。

私から見れば、童貞は美しい。

でも童貞は苦しんでいる。
今日も悩んでいる。

ああ、もしかすると、苦しむ童貞にこそ、
本物の美しさがある
のかも知れないなぁ。

あと椿って、花弁が散るのでなく
花ごと落ちるんですよね。

ちょっと触っただけで、あっけなく、
ボトリと落ちてしまうんですよ。

その危うさも、童貞にとても良く似ていて。

だから、冷たい雪の上に落ちて凍えている、
薄く雪の積もった冬椿を拾い上げて、

それからポケットにでも入れて、
暖かい部屋に置いてあげたい。

私の童貞に対する気持ちって、そんな感じです。

次の句に行きます。

 ぐいと土くれ押しのけた春  三春 場

いよいよ春に入りました。四季巡りましたね!

春秋の句は三句以上続けるルールですので、
最後の句まで春を詠むことになります。


最初は「押しのけて」にしていたのですけれど、
後の句で「て」が被ったので、こちらを過去形に
してみました。

今回は「ぐいと」という効果音、
オノマトペを入れてみました。

俳句でオノマトペを使うのって楽しいですね。

日本語のオノマトペって、たとえその言葉を
知らなくても、聞いただけで、何となく、
どんな音か分かる
所がすごいなと思います。


「押しのけた」という言葉は、前句の「咲け」
という命令形と、ふんわり対立させていて、

童貞に童貞のままでいて欲しいと願っていても、
結局は童貞でなくなってしまう
というNTr・・・

無常観を表しています。

一見すると素直な句ですけど、
底の方に何かが渦巻く句となりました。

この句が「純粋だ」とか言われたら、
ニヤリとしちゃいますね。


土の中にいて欲しいような、
春を知って欲しいような。

私の理想は、芽の出ないうちに掘り起こして、
自宅の小さいポットで育てることですかね。

冬椿といい、なんか童貞に対しては、
独占欲というか、閉じ込め願望があるようです。

誰にも知られたくない、みたいな。


人の愛し方って色々ですよね。

相手の成長のために、
良くない所を叱ってあげる
のも愛だし、

自分の前だけでは羽を休めて欲しいと、
甘えさせてあげるのも愛だし。

色んな愛があって良いんだと思います。

でも、愛の名の下に、鬱憤晴らしで
暴力をはたらいたりするのは、イクナイ!

うーん、愛って難しいですね。


さて、連句一巻完成まで、残すところあと一回。

その次は連句全体を見て、
まとめひとり反省会をやろうと思います。

もう少しだけ、お付き合い願います。


今日は良いタイム。

ここまでご覧いただき、大変嬉しく思います。

今朝は寒くありませんでしたか?

こちらは、昨日一昨日は暖かかったけれど、
今日は寒くて、また厚着に戻りました。

あと、失念していたのですが、
十一月七日は立冬だったのですね。

道理で寒い訳だ。

私は来る冬に備えて、ココアを買い込みました。

授業で習ったのですが、
ココアはポリフェノール含量が多く、

他の飲み物の異なり、飲み終わってから、
身体をもう一度温める効果があるそうですよ。

温かい飲み物は、心もほっこりさせます。

疲れた時は、ココアでも、スープでも、お好きな
お飲み物を淹れて、ゆっくり温まってください。

それではまた。


わらさだくりや


童貞連句、その⑥はこちら。


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