戦略インサイト

ここ近年、マーケティングやコミュニケーション戦略でよく耳にするインサイトについて改めて勉強しました。
そんな中、出会った本が「戦略インサイト」という書籍です。
こちらを読んでみて心に残った部分と自身の解釈も併せて記載していきます。


①インサイトとは?

インサイト=”生活者の潜在的なニーズ”

生活者の中でまだ顕在化されていない潜在的なニーズのことを指す。
曖昧な言葉で人によっては解釈が異なってしまうことが、ありがちな言葉となるので以下に1つの例をあげます。

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ここでいう顕在ニーズは「痩せたい」ということです。
痩せたいからサプリやジムに通います。
ただ、本当に痩せたい理由は痩せることで”自信を持ちたい””モテたい””健康でいたい”というような悩みや欲求が隠されています。

この生活者の顕在ニーズが生まれるに至った本質的な悩みや欲求のことを
潜在ニーズ(インサイト)としてとらえます。

②インサイトの重要性

今までの日本(1950年代~1970年代)高度経済成長期にプロダクトアウトの考え方で製品の販売を成功を収めてきたとういうことはすでにご存じだと思います。要は「良いものを作れば売れる」時代です。
そんな好調だった経済も、バブル経済が崩壊した1990年代の平成不況期を迎え供給過剰で「良いものでも売れない」事態が深刻化する中、顧客の視点やニーズを重視しようとするマーケットインの考え方へ移行したことで、
顧客のインサイトを起点としたコミュニケーション戦略が重要視させるようになったわけです。

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潜在ニーズにフォーカスして製品開発やコミュニケーション戦略を実施したとしても同業他社との差別化が難しくレットオーシャン(価格競争)に陥ってしまう為、生活者のインサイトをとらえた企業側の独自の提案が必要になってきました。

コミュニケーション戦略の考え方で言うと以下のイメージで解釈しています。

・顧客のインサイトに対して(Way)
・製品のどの部分にフォーカスして(what)
・どのような戦略で提案するのか(How)


③インサイト起点のコミュニケーション戦略

まずはインサイトを起点としたコミュニケーション戦略を考えるにあたって活用できるフレームワークがとても参考になりました。

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上半分が生活者を起点とした考え方、下半分が企業側の製品のこと。
大事なのは生活者側からの視点から考えることが重要です。
最終的にはブランドや製品の強みとマッチしているかという全体の整合性も大事となります。全体を通して矛盾していたり、ずれていると消費者へ間違った提案をしていることになり、製品の良さに結びつかず商品購入に至らず離脱、または今までの顧客に戸惑いを与えたり迷わせることになってしまうからです。

以下からは項目ごとに説明していきます。

-a.ターゲット設定

誰のインサイトを掘り下げるか?の段階です。
ここがずれてしまったり、分母が狭い層にアプローチしても売上にはつながりにくい、かといって大きすぎても伝えたいことがぼやけてしまう為、現状の企業の課題に対して誰に買ってもらえるのか?を判断し、最適なターゲット設定が必要となります。

-b.キーインサイト

インサイトには「カテゴリーインサイト」「ヒューマンインサイト」の2つの視点があり、この2つの視点からインサイトを抽出して組み合わせて導きだしていきます。

●カテゴリー/ブランドインサイト
 →製品のカテゴリーやブランドのことをどう思っているか?
 導き出し方としては以下の要点に絞ると導きやすいです。

・なぜその商品カテゴリ-やブランドを使うのか(期待)
・その商品カテゴリーやブランドを使わないのか(障壁)

●ヒューマンインサイト
→人としての感情やニーズのことで人としてのインサイトがあるのか

この2つを組み合わせてプロポジションに繋がるキーインサイトを導き出していきます。

キーインサイト=心のホットボタン

企業やブランドがとらえるべき生活者の潜在ニーズで、これを押されると思わず買ってしまう心のホットボタンとといえるものになります。
生活者のインサイトと現状の状況(既成概念)のギャップをヒントに導き出すとわかりやすいと思います。

-c.プロポジション

キーインサイトに対しての企業からの提案のこと。

企業としてキーインサイトをとらえわかりやすいこと。尚且つ独自性が必要となる需要な部分です。当たり障りのないプロポジションでは結果、同業他社との差別化を図る事ができず価格競争に陥ってしまうからです。

大抵は1つのキーインサイトに対して1つのプロポジションとしてセットで考えていきますが、他にもキーインサイトを集約した上位のプロポジションなどもあるのでその話は追ってコミュニケーション戦略の記事でお話します。

-d.ブランド資産/技術的な製品の強み

既存のブランドがどういうブランドに変化していくのか、または製品の強みのどの部分が該当するのか。などを考えていきます。ここがずれていると生活者に対して矛盾が生じるためすり合わせが必要です。


事例:市場機会を見つけた「ポケットドルツ」

本書で紹介されている事例から例をご紹介します。
パナソニックの音波振動歯ブラシ”ポケットドルツ”です。
電動歯ブラシの業界は振動数や性能などにフォーカスして製品開発をしていたことから他社との差別化ができずにいた状況を打破するべく、パナソニックが新たな層をターゲットにインサイトをとらえた製品提案をしている点はとても参考になります。

●ターゲット
ランチ後、オフィスで手磨きをしている働く女性

●ヒューマンインサイト
歯を磨く化粧室は社交場で、化粧品など人前で使うものはおしゃれでなければならない。尚且つポーチに入れて持ち歩く。

●カテゴリーインサイト
ランチ後に歯を磨いているけど、電動歯ブラシは大きくておやじ臭くて人前では恥ずかしくて使えない。

●キーインサイト
ランチ後に歯磨きや化粧直しをしているが、電動歯ブラシは恥ずかしくて使えない。

●プロポジション
マスカラのような電動歯ブラシ

●ブランド資産
ビューティーアイテムへ

●技術的な製品の強み
化粧ポーチに入るサイズ。コスメな質感、キャップ、シェイプ、静音

この他にも本書ではフレームワークを元に沢山の事例を合わせて”どういう導き方をすればよいか”ということが細かく解説しているので現状の提案ごとに次の日から実践できる内容でした。

最後までお読みいただきありがとうございます!

本日は以上です。


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