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3月1日 YouTuberとギグワーカーと労働組合?

今日は何の日?をビジネス視点で掘り下げ「頭の体操ネタ」にしています。
今日の「頭の体操」用質問例はこちら。

→今後働き方が多様化する中で労働組合の果たす役割はどのようなものになっていくだろうか?

1946(昭和21)年のこの日、労働者の地位向上を図る為の法律「労働組合法」が施行されたことから「労働組合法施行記念日」です。

労働組合法。
私自身は外資系で労働組合はありませんが、新入社員として入社した日系銀行には労働組合があって、節目節目で説明会などがあって結構盛んに活動していた記憶があります。

まず、復習ですが、労働組合法の目的ですが、雇用主よりも立場の弱い労働者が団結して話し合いなどができることを目指したものです。

そもそも憲法第28条で労働三権が定められています。

☑️ 団結権:雇用側と対等に話し合うために団結する権利
☑️ 団体交渉権:雇用側と労働条件などを交渉できる権利
☑️ 団体行動権:ストライキで抗議できる権利

さて、その労働組合ですが、どれくらい加入しているものなのでしょうか?
厚生労働省「令和 3年労働組合基礎調査」によると、令和3年6月30日現在における労働組合数は23,392組合、労働組合員数は1,007万8千人となっています。

…と言われても多いのか少ないのか分かりません。

雇用されている人数に対する割合(推定組織率)は、16.9%となっています。
これらのデータを時系列にしたグラフが以下(出典:同調査)。

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組合員数のピークは平成6年の1,269万9千人、組織率は23%程度でしたから、減少傾向であることが分かります。

労働組合のマクロ的な現状を把握したところで、個人的に気になった労働組合関連のトッピクスを 2つご紹介します。
いずれも独立行政法人労働政策研究・研修機構HPが出典です。

1つ目が、YouTuber組合と金属産業労組の連携〜Fair Tubeキャンペーン〜です。

これはドイツの話です。
なんと、ドイツ最大の230万人もの組合員を抱える金属産業労組とYou Tuber組合とが、2019年7月にYouTubeと親会社のGoogleに対して、ある問題を訴えた、というのです。

発端は、再生回数に応じた収入構造から内容が過激化したことの対策として、YouTubeが2017年にルール変更を行い、同社のポリシーから外れる動画の非表示や非収益化がされるようになり、理由もわからずに突然非表示にされるなどするYouTuberが急増、中には8割以上収入が減るなどしたことです。

要求は、基準を開示してくれ、なのですが、注目したのは、金属産業労組とYouTuber組合とが連携したことです(YouTuber組合があるのも注目ですが)。

これは、同労組が歴史的に自宅で金属加工などを行う家内労働者を組織化してきたことから、PC等を使い自宅で仕事をする「家内労働者」に対しても同様の支援を行なった、ということだそうです。

確かに、YouTuberは「家内労働者」ですね。国が違えば歴史も違って解釈も様々で面白いですね。


2つ目は、米カルフォルニア州でギグ・ワーカーが個人請負に当たるか否か、の住民投票が行われた、というものです。

ちょっと長くなりますが、経緯を以下にご紹介します。

実は、2020年1月、カルフォルニア州では「ギグ法」が施行されています。
これは、個人請負の定義を厳格化してこれに当てはまらない労働者を労働法による保護の対象とすることを狙いとしています。

日本でも話題になりましたが、「個人請負」だと、社員ではありませんので、社会保障はもちろん、仕事で怪我をした、病気で働けない、有給休暇もない、といった場合の保障がないことが問題となりやすい働き方です。

これに対応して、労働者を保護しようというのが「ギグ法」の立法趣旨だったのですが、UberやLyftは引き続き「個人請負」として扱い、それが問題となり、同州が昨年5月に両社を提訴、1名あたり 2,500ドルの罰金を支払う命令が出されました。

これに対して両社を始めとした、いわゆるプラットフォーマーは、デリバリー要員やドライバーを「ギグ法」の適用外の個人請負の地位を維持したままとする新法を作る住民投票を仕掛けたのです。法律変えちゃえ、ということですね。

これに、同州労働者連盟など複数の労組はNoを訴える活動を行いました。

結果は、Yes、つまり、プラットフォーマーの思惑通り法律変えちゃった、ということで、引き続き「個人請負」を維持することになりました。

今後もこうした動きは出てくることでしょう。

→ドイツやアメリカの事例をみても分かる通り、今後働き方が多様化する中で労働組合の果たす役割はどのようなものになっていくだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございます。
過去の投稿は以下にまとめていますので頭の体操ネタに覗いていただければ幸いです。


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