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5月28日 花火大会中止の損失1兆円を穴埋めできる持続可能な支援アイディアは?

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための質問例はこちら。

→花火。体に響く大きな音も含めて体感するものだが、中止が相次いでいる。花火作り、打上は伝統の技とも言えるもので、実際に行われなくなると伝承も途絶える恐れがある。一時的な支援ではなく、収益化できるビジネスモデルは考えられないだろうか?


1733年(亨保18年)のこの日、隅田川の両国橋付近で水神祭りの川開きが行われ、慰霊を兼ねた花火が打ち上げられた。これが「両国川開きの花火」の始まりで、「花火の日」です。

花火。
残念ながら多くの花火大会が中止になりました。
花火業界にとっては大変な打撃だと考えられます。

そもそも花火の市場規模はどのくらいあるのでしょうか?
帝国データバンクが、火薬類製造業、煙火製造業、火薬類卸売業を主業もしくは従業としている企業の中から、花火に関連している業者のデータ(爆薬等製造業者は除く)209社を抽出し、分析したデータがありました。

209社の中で2015年度から2018年度まで3年連続で業績が判明した企業134社の売上高動向を見ると、2018年度の総売上高は150億4900万円(前年度比0.2%増)。
花火業界は、「おもちゃ花火製造、小売り」と「打ち上げ花火製造」の2業種で構成されており、おもちゃ花火業界は、年々拡大する少子化やゲーム機器の普及といった遊び方の変化に伴い、販売本数は減少しているものの、煙が少ない手持ち花火など毎年100種類もの新商品が開発され、急激な売上減とはならず推移しているそうです。

毎年100種類、すごいですね。
もっとすごいのは、業歴です。

先ほどの209社を業歴別に見ると、
☑️「100年以上」の老舗企業が70社(構成比33.5%)
☑️「50~100年未満」が85社(同40.7%)

これは、全業種の老舗企業の割合が2.26%であることを考えると非常に高い水準です。

花火市場については、日本政策投資銀行の子会社である日本経済研究所の「withコロナ時代における持続可能な地域産業に関する調査〜花火業界からのアプローチ〜」に詳しいのでご紹介します。

まず、打上花火と玩具花火の国内生産額の推移です。

2018年度で61.6億円、うち玩具花火は9.5億円となっており、8割以上が打上花火となっています。また、生産額はあまり変わらず安定的な市場と言えます。

なお、先ほど帝国データバンクのデータでは150億円程と乖離がありますが、こちらのデータの出典は日本煙火協会の事業報告書とのことです。

次に花火の国内生産額と輸入、国内需要に占める輸入額の割合です。

玩具花火では中国産が多く輸入されているそうですが、打上花火では国産が圧倒的に優位で、輸入の割合は15%程度です。

その打上花火、多くは花火大会で打上られますが、年間でどれくらい行われているのでしょうか?
一定量以上の花火を打ち上げる場合、都道府県知事に「煙火消費許可」を申請する必要があるそうです。その件数の推移が以下になります。

これを見ると、年間6千件以上の花火の打上が行われていることが分かります。

また、2017年度にはなりますが、花火大会の観客動員数上位15位はこちらです。


花火大会、当然花火の打上費用もあるのですが、実は、観客動員規模が大きくなるほど、その割合は小さくなり、会場設営と安全対策費、要は警備費ですが、その割合が大きくなり、半分を占めます(下図)。

さて、多くの人を楽しませてくれる打上花火ですが、昨年は多くが中止になりました。
花火打上に携わる方だけでなく見物に訪れる人たちに対する飲食やサービスにまつわる経済波及効果まで考えると大きな影響があったと思われます。

このレポートでは、花火大会中止に伴う経済損失を1兆円雇用者で48万人と試算しています。


こうした状況から、花火大会をクラウドファンディングで行い、それをWebで中継するなどの新しい試みも行われていますが、中止の影響をカバー全てカバーできるものではなく、支援も含めて試行錯誤が行われている最中と言えます。


最後までお読みいただきありがとうございました。

花火。年間6千回も花火大会が行われていたんですね。それらが軒並み中止になったことでの経済損失が1兆円。とてつもない影響ですね。


皆様の頭の体操になるようなネタが1つでもあれば嬉しいです。

一昨年7月から続けていますが、だいぶ溜まってきました。
以下のマガジンにまとめておりますのでよろしければ覗いてみてください。


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