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映画『ラストサムライ』日本人の民族性の理由がわかったような気がした アメリカ側から日本を捉えた名作

いや~おもしろかった 2時間30分だけどあっという間だった。日本が持つ素晴らしい精神、それをアメリカ側からの視点で描くことで、共通点や対比されてる部分がすごく沁みました。日本側は近代化を推し進める新政府vsそれに対する侍たち、同様にアメリカも南北戦争で内乱を経ていて、そのトラウマによって主人公トムクルーズはサムライたちの信念に共感していく。

「なんで侍の勝元(渡辺兼)が英語ペラペラなんだよ」とか「アメリカ人なのに剣術うますぎるだろ」とか細かいディテールや描写にツッコミが入ったりもしてるそうですが、あくまでアメリカ人の監督が作ったフィクションなのでね。

誇張とか史実に基づいてない部分はもちろんあるだろうけど、こういう作品で日本の文化に興味もったりする外国人が多いことも事実。サムライ、ハラキリ、ニンジャとかねw。作品で伝えたいメッセージや、美しいとされてるもの、後世に残したいものってのはしっかり伝わってくると思います。

一人の日本人として日本の美しさ、崇高な精神、アメリカと日本の違いとかそういうとこの感想をまとめたいと思う。


1.主人公トムクルーズの抱えるトラウマ

まず主人公トムクルーズはアメリカの南北戦争の北軍の指官として、同じアメリカの南軍、そして先住民のインディアンと戦う。そこでなんの罪もないインディアンたち、子供たちを殺戮したことがトラウマになっている。その後酒におぼれ、戦う意味、生きてる意味も見いだせずに過ごしていた。

そして日本の近代化を進める新政府に軍の指南役として雇われて、近代化に反対する勝元(渡辺謙)たちと戦うも、敗れ捕虜にされてしまう。勝元の指示で丁重に扱われ、住民や会話を重ね、そこで日本の古くからの精神に出会い、だんだん生きる意味を取り戻していく。

最初はトムクルーズも切腹する意味とか武士道とか日本の文化の意味が分からないんですよね。というか自分も含め、若い世代って戦争からも遠ざかってるし、今の日本人も切腹する理由とか意味とかわからなくなってきてるんじゃないだろうか。

2.よく語られる日本人の特徴について

信念を汚されてまで生きるなら、戦に負け敗北者として恥をかきながら生きるなら自死を選ぶ。大義や名誉を守るため切腹する。それほど君主や守るべき国を想っていたんですよね武士って。

映画の中で外国側から見て「日本人は本音を言わない」「勤勉で朝からきちんと仕事をこなす」「従順に従い統率がとれている」みたいな最近でもよく日本人の特徴として言われるようなことに触れるセリフが出てくる。

これを聞いた時に、日本は基本的には単一民族国家で、昔から争いを避けるために和を貴ぶからこそ「本音を避ける」。つまりストレートに言って不和を生むよりも、全体の空気を大事にする。

逆にアメリカとか多民族国家である異なる民族、文化的背景の人々が集う国って言うのは、ハッキリと意思を言わないとそもそも伝わらない。だから物言いもストレートになるのかなって思ったりした。

全体の空気を大事にし、上からの命令に従順に従う事で社会が潤滑に運営される。コロナの混乱の時にはみんながきちんとマスクをし、自粛しそれが未来の日本の為だと信じれば、みんながみんなの為に我慢したりもする。

3.抗えない列強による近代化の波と失われた精神

第2次世界大戦では戦争は正義で、国の為に戦おう!というのを国民みんな信じて、子供たちまで軍隊や仕事に駆り出され、それにも従順にしたがってた。現在からみればこうすれば良かったのになんていくらでも言えるけど、明治維新のときも戦時中もコロナ渦も間違いをたくさんして、国民は振り回される。

もちろん列強に追いつくように近代化しなかった場合どうなってたかなんて誰にもわかりません。貧困に苦しみ、外国に取り込まれてたかもしれない。でも本当に信じなければいけないものはなんなのか?絶対に失くしてはいけない日本人としての精神とは?

というかアメリカ、日本とか国籍に関係なく人間として大事なものとは?それは現代に生きる個人である自分への問いでもある。どんどん技術や情報もアップデートされて進み続ける。でも自分にとって大事なものとは?シンプルなものなんじゃないかと考えさせてくれます。

4.壮大なスケールのラストシーン

捕虜として初めてトムクルーズと渡辺謙が話すシーンでは「会話」というキーワードが出てくる。そして会話を通じて互いの信念が同じであると気づき始め、理解を深め合い、敵同士だった2人は生きる意味、死に場所として戦場をともにする。

最後の戦いのスケールと美しさ、桜が散るのと同じように散っていく崇高な精神の武士たちの姿に涙せずにはいられませんでしたねぇ。トムクルーズもかっこいいし、渡辺謙がこの後もハリウッドで活躍するのも納得の演技でした。

歴史的な知識はそんなに必要ありませんし、見たことなければ老若男女いろんな人に見てほしい映画です。

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