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映画『東は東』1952年公開 アメリカ人に嫁いだ日本人女性の差別との闘い

朝鮮戦争で負傷し、日本の米軍病院で目覚めるアメリカ人・ジムスターリング中尉。看護師として働く日本人女性清水妙(タエ)とジムは出会って恋に落ちる。やがてジムはタエと結婚し、彼の故郷であるアメリカにタエを連れて行く。

しかしジムの家族やジムの兄嫁との不和が原因で、家族とタエがだんだん気まずい感じになっていくという話。

時代は太平洋戦争後間もない頃なので真珠湾攻撃の話が出て来たり、タエはジャップとかゲイシャとか差別されまくる。

ジムは地元でもモテたらしく、親公認というか、戦争から帰ったらこの子と結婚するだろうという家族ぐるみの付き合いの子がいたのだが、ジムはかつての敵国、日本の女性と結婚して帰ってきた。

そりゃ変な感じにはなるし、両親も釈然としない感じ。それでもタエは健気に周りに気を使って調和を保とうと頑張って家族と暮らす。

国際結婚って文化も違うし、周りの環境とかコミュニティのつながりもあるので、それに馴染むの大変だよなぁって思った。しかも戦後間もない頃ならなおさら。

さらにジムの兄嫁のフランもかつてジムに恋しており、いまでもジムの事を忘れられない様子。そんなジムが日本人と結婚し、さらに妊娠して子供まで産んで、納得できない様子。フランは生まれてきた子供がジムの子ではないという嘘の手紙でジムとタエを別れさせようとする。

今までずっと差別や日本人の自分がもたらしてしまう不和を我慢してたタエも、プッツン切れてしまう。ここのシーンがすげえよかった。この映画では日本人もほぼ英語で演技してるんですが、ここでは日本語が出ます。

『ひどい侮辱・・・・これだけ馬鹿にされたら、たくさんです・・・』

怒りを押し殺すように言うタエに思わず感情移入してしまいました。
というかタエを演じてる山口淑子さんを始めて知ったんですが、英語も流暢だしすごい美人さんでびっくりした。

僕は映画『戦場のメリークリスマス』大好きなんですが、国に対する差別を見るといつも思い出すセリフがある。

『個々の日本人が嫌いなんではなく、この忌まわしい戦争が憎いんだ・・・』と。

最近ネットでも国家に対する差別感情とかをよく見る、具体的に言うと韓国や中国に対して。たしかに不穏なニュースとか毎日飛び込んでくるし、そういう不安を煽って、差別感情を利用してフォロワーを集めようとしてるような人たちもいますよね。

でもそれが何の差別感情もない友好な人たちまで、色眼鏡で見てしまって、差別したり、排除するような態度になっていしまうのってすごく愚かな振舞いだろう。

国家間のいざこざは確かにあるだろうけど、それを民族間の争いにまで飛躍させてしまったら、また愚かな戦争を繰り返すことになってしまう。

『東は東』のアメリカと日本、文化の違い、ジャップ・ゲイシャ・細い目煽りなどの差別を見て改めて、国と国・人と人の関係を考えさせられました。

古い映画で白黒映画だけど、2人の国籍を越えた愛を確かめてみてください。現代にも通じる何かを感じられると思います。


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