本物の作家になりたかったら、懸賞小説などに投稿すべきではない 高尾五郎
「目を覚ませと呼ぶ声が聞こえ」序文2
今日数多の懸賞小説があって、かつての時代よりも無名の作家たちがこの世にデビューしやすくなったという説をきくが、事実はまったく逆なのであって、むしろ真の作家たちには暗黒の時代だといってもいいのだ。とにかく作家志望者は腐るほどいて、彼らの書いたどうでもいい作文はあふれるばかりであって、それらうようよと徘徊する人間たちをふるいにかけるために懸賞小説というものがある。そしてその狭き門をくぐった人間だけが、海のものとも山のものともつかぬがとりあ