通勤電車より、OLレポート

　

　OLのみなさんこんにちは。

　サトウチヤコ（仮名）のOLレポートです。

　電車の中ででも暇つぶしに読んでね。

　名前の下に役職名をつけるのってすごい変なかんじがしたんだ。でもそれにももう慣れたよ。

　最初会社に入った時、なんでみんな疲れたカオしてんのーってびっくりしたんだ。

　目線じっと動かさないでカラ元気でしゃべってんのね。すごい変だよ。なんでそこまでして働くのって思ったけど。

　いまはあたしそんなカオで働いてんだろうなと思うよ。　

　　　■　

　電車や地下鉄で乗り合わせるOLのお姉さんて学生のときは憧れたけど、いまじゃべつになんとも思わないね。

　学生のつるつるお肌がやけにまぶしい今日この頃。まあ、薄手の黒のストッキングが似合うのはOLの特権といってもいいんじゃないかと思うんだけどね。

　　　■

地下鉄っていえば、長いコンコースでさ、
「やージャマだ。人間ジャマだ」
　

って、男の声があたしのすぐうしろでしたんだよね。こないだ。

　なんかやばいと思って振り返ったら、わりと若い男で、
「人間ジャマだ。人間いっぱいいる。こんなに生きるな！」
って叫んだの。
　
　たしかに通勤の地下コンコースは人の波だけどさ。

　

刺されかねない身の危険を感じてなるべくその男から離れて改札に向かったよ。

　

　ゆううつな通勤、ルーティンルーティンって頭ん中ぐるぐるしてた通勤、これも生きてるからなんだなーってガツンと頭なぐられたようなショック。あの瞬間ぜったいコンコース内の空気止まってた。胸がどきどきしてた。なんか殺意みたいなものが、あったしさ。ちょっと落ち着いたら、「おめーもそのうちの一人なんだからてめーが生きるなよ。」って思ったけどね。

　　　■　

　すぐ電車が来てさ、乗りこんだの。子供が父親らしい人に抱かれて先に乗ってたの。あたしの立った場所の前の席に。

　そしたらさ、調子っ外れに歌ってんの。誰でも知ってる歌だよ。「おけらだーって・・・だーって、みんなみんな生きているんだともだちなんだ」「ぼーくらはみんな生きている　生きーているからうれしんだ」って。

「ぼーくらはみんな、いーきているー、いきーているから　かなしーんだー」って。