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現代俳句 作品集 45 〜ひぐらし〜


「 ひぐらし 」
~現代俳句〜

手すすめていっ歩も引かず阿波踊


アルバムをひらけばとおい八月よ


雲あおぐ畑の案山子よかげ日なた


戦没碑とおい日をきくひぐらしよ


はちがつよ島にも寺のかねのおと


ふるさとに波帰りくるはちがつよ


にわの木のわかくもなさよ柿の秋


まんげつよたたみのうえのひじ枕


わかれてもそらにひとつよ盆の月


盆用意かぞくいつかはあつまると

帰省して月かくれるかかがやくか


大鳥居世にくぐり出てあきかぜよ


岬鼻よただ吹くかぜはあきのこえ


渡り鳥はるばるひらくあけぞらよ


灯とともにさかえて街よ秋のくれ


船たびよ西にとおのくあまのがわ


光年のものしずかさよあまのがわ


あさがおよいにしえの京いまの京


釣りびとよおとひとつない水の秋


おおひなた摘んであるくか草の花

橋のしたおとながれゆくあきの川


揚げあおぐ国旗町旗ようんどう会


黒葡萄ぎゅうぎゅうづめの一房よ


ひとりぶん煮っころがして里芋よ


鹿のこえさびしいことよ奈良の雨


五重塔ひぐらしのこえつぎつぎよ


一本のみちをかくしてすすき野よ


灯かざしてまっ赤な夜よ曼殊沙華


星ぞらをただきくだけの虫の夜よ


生きたあとどうなるものか天の川


08月12日〜08月27日


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