現代語俳句への旅 47 〜春山河〜
「 春山河 」
~現代俳句集~
その奥に池咲くさくら散るさくら
ひこう機を遠景にして野にあそぶ
大宇宙ちいさく見ればたんぽぽよ
さんがつよ橋あるくおと川のおと
まっしろな蝶にも影のしずかさよ
手品師がハト出すように春めくか
雛まつりあるくはやさで川ながれ
さいげつに押し黙るのも雛の日か
この町よ春そのままにコーヒー店
呼びかけるイヤホンマイク春の空
北を見ればどこまでも北鳥かえる
須磨よいま引いてゆくのが春の波
大都市に窓いくつもよ春あかつき
◇
ちゃるめる草戦後終われば戦前か
鯉は尾をゆるりとさばきはるの池
このほしもほしぞらのなか蛙鳴く
はるのなみ割れてくだけて鎌倉か
ふるさとよ今はまぶしいはるの海
小ながれがもつれあってよ春の川
かつかつとちから打ち込む耕人か
坂のうえ山のうえへと咲くさくら
よく生きてはじけるだけよ石鹸玉
目覚ましてあの野あの川春のゆめ
ちんもくでかたりつづける嶺よ春
あおあおと山しろじろと山ざくら
◇
変わらずに変わりつづけよ春山河
今よただ舞いふぶくのがたきぎ能
花ということば花へのみちしるべ
おおぞらのした雲のした千鳥の巣
北へ北へスーツケースを曳いて春
古じんたちはるばると居て春山河
ひとふぶきふたふぶき島花ふぶき
夜桜よしんとふたりでいるばかり
初めての蝶よそのままきょうの空
首がでて手がでて春のセーターよ
にっぽんががらりと変わり老の春
星々よざんねんながら春あけぼの
はるの風邪死よりもとおい星々よ
2月28日〜3月19日
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Kusabue
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