現代語俳句への旅 28 ~オカリナ〜
「オカリナ」
~現代語俳句集~
深空からひかりひとすじはるの滝
じんるいのゆめの初めの畑打ちよ
祈るとはこういうことかぼたん雪
コーヒーのかおり千年おぼろの夜
春あかつき逢瀬は夢でげんじつで
われわれもたいようの塔春めくよ
大ホールピアノひとつが春のおと
指揮棒もはずむオーケストラよ春
ふるさとを深呼吸してうららかよ
また一人またひとり消え春の風邪
いちにちの沈黙エープリルフール
風になること雲になること遍路杖
そのはてにおおきな夕日へんろ旅
生きてゆくふる里じゅうの春灯と
◇
たいせつなひとがまわりに大花見
いま笑えさいげつという花ふぶき
朝をひらひら夕をひらひら花の宴
灯ひとつのうたげ桜が満ちるなか
まいにちが花のとき花ふぶくとき
ひとはみな飛花かもしれず空港よ
住まわせてもらう地球よはるの芝
山々よ散ると決めてはちるさくら
おおひなた桜ふぶきのむこうがわ
ふるさとにおともなく住む山吹と
ゆうきゅうの大河の流れ山ざくら
オカリナか山河にひびく春のおと
世をつつむはるゆうやけの安心が
いつも
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