現代語俳句への旅 ４９ 〜あおぎ見て桜〜

「 あおぎ見て桜 」
～現代俳句集～

島ひとつ森になるまではるのあめ

僧にぼんのう衆生にぼんのう花祭

ふるさとよひとりふたりの入社式

おおさかを出ておおさかは春夕焼

ねむってもさめても花のよしの山

嶺みねよごろごろあそぶはるの雷

とうとさよ夜ごといのちを鳴く蛙

船たびよあんなところにおぼろ月

はるの鳶うえにはうえがある空よ

へいわの世ふとあかるくて草の餅

子どもらが蝶とたわむれ喪の家よ

◇

あかん坊はへいわそのもの仏生会

船だんも黄砂もやってくることよ

梅いちりんへいわこうえん大広場

路じょうでも屋じょうでもよ春茜

春惜しむ瀬戸内じゅうの島じまが

花すみれ雲ぐんぐんととおくなれ

春あけぼのどんどどどんと刻太鼓

はるのうみいのち創造してしずか

桜とはさようならの木ふぶきだす

のどかさよ丘には丘の野には野の

すべてあなた野みち海おと春夕焼

◇

はるの船河はいそがずとどまらず

ちきゅうとはよみがえる星春の草

蛙の夜いのちはうたということよ

喫茶店のどかあたたかうららかよ

あおぎ見て桜になっているばかり

えいえんに海向くベンチ春かもめ

故郷は可笑しいほどにうららかよ

卒業後やくそくだけがうつくしく

いまの世にどかと三越のどかさよ

ものの芽よ二日三日のあめのあと

どかと瀬戸どかと灯台うららかよ

４月４日〜４月１８日
発表日順

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