現代語俳句への旅 34 〜いつからとなく〜
「 いつからとなく 」
~現代語俳句集~
みな都市を育ててばかり夏の灯よ
まどあけてまっただなかへ天の河
柔らかにふれればともる夏の灯よ
盛りつける手ゆびやわらか冷素麺
おとこらに飲みほすちから生麦酒
ふるさととほろぶかくごの白団扇
遠ぞらよわすれた日々は蝉しぐれ
嶺いつかながし去るのが梅雨の河
ぜんいんの人生が夏ロックフェス
えいえんに明日あるような夏浜よ
◇
とびうおが飛んできらきら一億年
たちあがる蟹のむこうの海ばらよ
自動車のクラクションまで夏盛ん
ケルン積んで山のむこうも青い山
人類史感じながらよキャンプの火
したたってわいて柄杓に富士の水
しみじみと旅のさなかよ昼寝覚め
白日傘かえって来ないかもしれず
ほんのりと人のすがたの手花火よ
◇
事務室のおくのかべまで西日さす
ビアガーデン今宵星空にぎわうか
生き生きとビール飲みほすのど仏
信念もきょうはビールの泡になれ
噴水がいろあせてゆくアルバムよ
とおいとは涼しいことよひとつ星
いつからとなくベランダに七夕よ
はるかさよ未知がかがやく天の川
いつも
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