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俳句と仮名づかい 〜その組み合わせの長所・短所と特徴〜

俳句にご興味のあるnoteのみなさまに俳句の様々なことについてご紹介する記事です


俳句と仮名づかい
〜組み合わせの長所・短所と特徴〜

俳句で使われる仮名づかいには、「歴史的仮名遣い」と「現代仮名遣い」があります。

歴史的仮名遣いとは古典的な仮名遣いのことです。
・言ふ、けふ、ゐた、てふてふ、かをりなど

現代仮名遣いとは現代的な仮名遣いのことです。
・言う、きょう、いた、ちょうちょう、かおりなど


これらを俳句と組み合わせると以下の4種類になります。

①文語俳句+歴史的仮名遣い

②文語俳句+現代仮名遣い

③口語俳句+現代仮名遣い

④口語俳句+歴史的仮名遣い

これらについての詳しい解説の記事はすでに多く書かれていて、ネットやnote内でも調べて読むことができます。

より詳しいことについてはそちらをご覧になってみてください。


この記事では、上記の4種類の組み合わせについて、その長所と短所を「箇条書き」で短く記しました。

また俳人としての視点、一般読者としての視点などをまじえた解説を付けました。

ご自身が気になる組み合わせについてご興味がありましたらご覧になってみてください。

◇ 俳句と仮名遣いの組み合わせ ◇


① 文語俳句+歴史的仮名遣い


参考句:満開といふしづかさのさくらかな

◎長所
・伝統的な俳句そのものの組み合わせ

・伝統的な雰囲気、情緒が醸し出される

・前例となる作品、参考文献が豊富

・多くの俳人や俳句指導者、俳句会などが承認

◯短所
・古い時代の言葉で新しさには欠ける

・理解しづらい古典的な表現が多い

・言葉を学びなおす必要があり、上級者が優位


俳句を詠んでいる方々にとっても、一般の方々にとっても、俳句でまず思いうかぶのはこの組み合わせではないかと思います。

多くの俳人の方が使用している組み合わせでもあります。

ただ現代の一般の方々は、ふだんの生活の中で古典語も歴史的仮名遣いもほぼ使用していません。

そうした方々が、作品や句集の読者になることをよく理解しておく必要はありそうです。


② 文語俳句+現代仮名遣い


参考句:ひらくたび富士あらわるる扇かな

◎長所
・古典語が読みやすくなる

・前例となる古典語の作品は豊富

・一定の伝統的な安定感がある

・一部の俳人や俳句指導者、俳句会などが承認

◯短所
・歴史的には前例がない独自の組み合わせ

・古典語の古さが残る

・新しさの表現は制限される可能性がある


現代仮名遣いによって古典語が読みやすくなるのがこの組み合わせの特徴ではないかと思います。

特に若い世代の方々がいち早く取り入れて使用をつづけているようです。

ただ歴史的に前例がなく、近年になって取られはじめた組み合わせだそうで、まず作品などで前例をつくっていくことが大切かもしれません。

一般読者の方々にとっては、①よりも作品が読みやすくなりますが、若干の不自然さを感じる場合もありそうです。


③ 口語俳句+現代仮名遣い


参考句:おおきさよいやちいささよ冬銀河

◎長所
・現代的な俳句そのものの組み合わせ

・幅広い読者層にアプローチが可能

・学びやすく、すぐにでも詠むことができる

・一部の俳人や俳句指導者、俳句会などが承認

◯短所
・俳句としては発展途上で非伝統的

・稚拙さ、低俗さが出やすい

・前例となる作品、参考文献が少ない


現在の言葉を基にして、現代的な作品を詠むことができる組み合わせではないかと思います。

一定数の方々が新しい俳句とその表現を求めて使用しはじめているようです。

ただ俳句を詠むための基礎・基本や、一行詩・一行の散文との形式的な違いなどについてよく理解しておくことが大切かもしれません。

一般読者の方々にとっては、作品がたいへん読みやすいですが、古典語の俳句とのギャップを感じる場合もありそうです。


④ 口語俳句+歴史的仮名遣い


参考句:草原に日のあるかぎりばつたとぶ

◎長所
・文語俳句+歴史的仮名遣い との掛け持ちが可能

・一定の伝統的な安定感がある

・伝統派の読者層にもアプローチが可能

・多くの俳人や俳句指導者、俳句会などが承認

◯短所
・歴史的仮名遣いの古さが残る

・現代感覚に欠ける部分がある

・前例となる作品、参考文献が少ない


初期のころの口語俳句で取られていた歴史ある組み合わせではないかと思います。

①との掛け持ちが可能という大きな特徴と強みがあり、活かしていくことができます。

ただ③と比較すると歴史的仮名遣いによる古さが感じられ、作品によっては現代感覚に欠ける部分もでてきそうです。

一般読者の方々にとっては、古典語ではない読みやすさがありますが、若干の不自然さを感じる場合もありそうです。


最後に、これら1つ1つの組み合わせはどれも俳句の表現の幅を大きく広げる可能性を秘めているように思います。

ただどの組み合わせにも優れた点とそうでない点があり、完璧というわけにはいかないようです。

俳句に取りくむ方々が、めざす俳句、そのスタイルなどによって選びわけていくことができるのではないかとも感じました。


いつも
ご覧いただき
ありがとうございます


*個人的な見解もまじえて短くまとめてみました

*至らない点、充分に書き尽くせていない部分もあるかと思いますがご容赦ください

*俳句については個人・団体によって様々な考え方や見解があります


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