黒色天国/夢色地獄

黒色がいつもの名前、夢色が創作をする時の名前です。

黒色天国/夢色地獄

黒色がいつもの名前、夢色が創作をする時の名前です。

記事一覧

鯨の家

理子さんの家は、環状線駅から少し歩いた住宅街にある。 正確に言えば「理子さん夫婦の家」だ。でも俺は旦那さんに会った事は無い。彼は俺が生まれる前に、飛行機ごと海の…

マッガヨー

マヨヒガを知ってるか。 母にそう問われたのは、まだ私が10歳の頃だった。 知らないと答えたら、ひどく馬鹿にされたのを覚えている。 「感性が貧しいのよ」 実の娘に向か…

縺翫メ繝ウ繝√Φの独白

僕が生まれた国は2つの島に分かれていて、東の島に生まれた人の方が偉いです。 僕のように西の島で生まれた人は、5歳になったら東の島へ渡って奴隷として従事します。 そ…

「走馬灯」

きみに逢い やるべき事がまた増えた 復讐の足は止められないのに ▼ ※この話は先日公開した「映画の外」という短編の別視点です。 ※本作「走馬灯」も全年齢向けの内容…

「映画の外」

きみ亡くし 柱に縋って泣いていた 背比べの跡を搔きむしりながら ▼ ※この話は夢色地獄名義で小説家になろうにて連載している「Nightmare In The Moon」という小説の番外…

鯨の家

理子さんの家は、環状線駅から少し歩いた住宅街にある。
正確に言えば「理子さん夫婦の家」だ。でも俺は旦那さんに会った事は無い。彼は俺が生まれる前に、飛行機ごと海の底に沈んだきり。

理子さんと俺は血の繋がりもない、半世紀以上も年の離れた、ただの他人だ。
高校で和真と隣の席に座らなかったら、きっと知り合う事もなかった。同じクラスの人間とも殆ど離さない俺にグイグイ絡んできて、一方的に肩を組んで教室を出て

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マッガヨー

マヨヒガを知ってるか。
母にそう問われたのは、まだ私が10歳の頃だった。
知らないと答えたら、ひどく馬鹿にされたのを覚えている。

「感性が貧しいのよ」

実の娘に向かってそんな事を言ってから、母は仔細を聞かせた。

曰く、マヨヒガとはこの世のどこかにある不思議な家のこと。
偶然そこに辿り着けたならば、その者には多くの富が与えられる……という伝承の一種だった。

母はその話を私と妹に聞かせて、それ

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縺翫メ繝ウ繝√Φの独白

僕が生まれた国は2つの島に分かれていて、東の島に生まれた人の方が偉いです。

僕のように西の島で生まれた人は、5歳になったら東の島へ渡って奴隷として従事します。

そして35歳になったら雇い主が決めた相手と結婚して、子供が出来たら西の島に帰れるんです。

西の島に帰ってからは、子供を奴隷として送り出す度にお金が貰えます。

だから皆たくさん子供を産みます。

僕は8番目の子供で、弟と妹が3人います

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「走馬灯」

きみに逢い
やるべき事がまた増えた
復讐の足は止められないのに



※この話は先日公開した「映画の外」という短編の別視点です。
※本作「走馬灯」も全年齢向けの内容ですが、「映画の外」に比べるとやや残酷な表現が含まれます。

「映画の外」は下記リンクより
https://note.com/kuroiro0225/n/nd0dd64697d98


幼い頃、よく母に連れられて映画館へ行った。

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「映画の外」

きみ亡くし
柱に縋って泣いていた
背比べの跡を搔きむしりながら


※この話は夢色地獄名義で小説家になろうにて連載している「Nightmare In The Moon」という小説の番外編として執筆したものです。
本編にはR18G相当の表現が多大に含まれているため、閲覧はお勧めしません。
本作「映画の外」に関しては全年齢向けとなります。また、本編を読んでいなくてもお楽しみいただけます。
というか、

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