見出し画像

「来月のシフトはゼロです」

みなさん、こんにちは。
労基署にいる社会保険労務士、黒田英雄です。

新型コロナウイルスの感染者数が、2ヶ月ぶりに3桁にのぼりました。
2020/7/5現在で、4日連続の100人超えです。

これまで感染者数が200人を超えたのは、4/17だけです。
当時より検査数が増えていることから考えると、また200人を超える日が来るかもしれません。

もし2度目の緊急事態宣言が出されたら、ふたたび会社やお店が休業になる可能性があります。
そうすると、前回も大きな問題になった「休業手当」の不払いトラブルが頻発することが懸念されます。

会社から従業員への休業手当の支払いは、労働基準法上の義務です。
法律上では「所定労働日」つまり働くはずだった日に、会社の都合で従業員を休ませた場合に支払い義務があるとされています。

所定労働日は、雇用契約書や就業規則などで定めます。
正社員であれば月〜金などが一般的だと思いますが、パート・アルバイトなどでよくあるのが「シフトで定める」というものです。

もしまた休業がはじまり、数ヶ月に及んだ場合には、2ヶ月目以降はシフトが決まっていないことがほとんどでしょう。
そうすると、会社に休業手当の支払い義務があるのは、休業開始日までに決まっていたシフトの分のみということになります。

契約上「週に3日」とか「月に15日」などと日数が定めてあれば、その分は会社が補償しなければなりません。
しかし単に「シフトで定める」だけでは、2ヶ月目以降は休業手当を支払わなくても、会社は法違反にはなりません。

「来月のシフトはゼロです」

会社がそう定めることも、労働基準法上は許されてしまうのです。

2020年7月からはじまるとされている「休業支援金(仮)」は、休業手当の支給を受けられなかった従業員が、申請することで雇用保険から自身で直接給付を受けることができるというものです。
2020/7/5現在、まだ詳細が発表されていませんが、おそらく休業手当の支払い義務がない日に対しては給付はおこなわないということになると予想されます。

普段なかなか雇用契約書を見返すことはないと思います。
また、雇用契約書じたい交わしていないという方も多いかもしれません。

この機会に、一度ご自身の契約内容を確認してみてください。
もし「シフトで定める」のみの表記になっていたら、最低限の日数を定めるように会社に相談してみてはいかがでしょうか。

————————————————————

ラジオレギュラー「ろうどうステーション」You Tubeに動画がアップされています。

※写真はインスタでアップしているものです。
kuroda_hideo(黒田英雄)で検索してみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?