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「余計なこと言うとクビになるから」

みなさん、こんにちは。
労基署にいる社会保険労務士、黒田英雄です。

労働相談を受けている中で、労働者本人ではなくご家族からもご依頼があります。
奥様であったり、親御さんであったりしますが、労働者は男性であることが多いように感じます。

相談内容はいろいろですが、主に長時間労働に関するものです。
労働者本人はとても相談に行けるような時間はなく、またその気力もないといった感じのようです。

ご家族からすれば、見るからにやつれている姿を見て、心配で相談に来られるのでしょう。
先日のある労働相談で、本人の考えを確認したことがあるか奥様にお聞きすると、このように言われたそうです。

「余計なこと言うとクビになるから」

その職場では以前、労基署に駆け込んだ同僚がおり、調査が入ったことがあるそうです。
その同僚は、その後会社からかなり責め立てられ、結果的に自己都合で辞めるように追い込まれたとのことでした。

今はただでさえ新型コロナウイルスの影響で、職を失うことへの不安が大きくなっています。
大学生の子供が2人いることもあり、ご主人は会社に言われるがままに、夜勤明けもぶっ続けで働いているそうです。

労働基準法では、残業させることができる時間の上限が定められています(一部適用猶予されている業種・職種あり)。
奥様の話を聴く限り、この会社では上限を大きく超えているようです。

また、休日がほとんどないそうで、そのことも法違反の可能性があります。
労使協定を結んで割増賃金を支払えば、休日労働をさせることはできますが、時間外労働(休日以外の残業)との合計時間について、やはり法律上の上限があります。

何よりも、親戚の目から見ても「急激に痩せた」といって心配されていることから、健康上の心配があります。
大変なことになる前に、有休などを活用して休むようアドバイスしました。

労基署に会社の労基法違反を通報し調査を求める「申告」は、労働者本人でないとできません。
ご家族からでは、あくまでも情報提供にとどまるため、必ずしも労基署が調査に入るかは分かりません。

男性はどうしても仕事にとらわれてしまう方が多く、私自身もサラリーマン時代はその傾向がありました。
理解できるだけに心苦しいですが、やはりここはご家族が無理矢理にでも労基署に連れていってほしいと思います。

おそらくこの会社では、他の労働者も同じ状況で働いているでしょう。
そうすると妙な連帯感ができて、正しいことが見えなくなってしまうことがあります。

労基署に行きづらい、人の目が気になるなどという方は、ぜひ労働者側の社会保険労務士にご相談ください。
ご事情に沿った形で申告できるよう、適切なアドバイスをしています。


労働者側の社会保険労務士2名で、Twitter相談ライブをおこなっています。
12/5(土)19:00からのライブでは、「職場のいじめ」というテーマでお送りいたしました。
ぜひご覧ください。

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写真はインスタグラムでアップしているものです。

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