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労働者側社労士に依頼するメリット

みなさん、あけましておめでとうございます
労働者側の社労士(社会保険労務士)、黒田英雄です。

新年1発目の今回は、労働者が社労士に依頼するメリットを書きたいと思います。
私は初回から労働相談を有料で受けているのですが、中にはお金がかかるというだけで拒否をされる方が、少なからずいらっしゃいます。

なんで他のところで無料相談があるのに、お金を払ってまで相談するのか。
メリットが分からないと、相談しづらいのではないかと気づきました。

そこで今回は、そのメリットを分かりやすく具体的に書いてみます。
ぜひ参考にしてみてください。

弁護士さんなど他の士業の相談でも、初回無料というものが多くあります。
特に役所などの公的機関で開催されているものは、基本的にお金がかかることはありません。

労働相談でも、労働基準監督署(労基署)や労働局など無料で相談できるところがあります。
私はそこでも相談員をすることがあります。

公的機関が無料なのは、行政から予算が出ているからです。
私を含めて相談員は、当然ながら報酬をいただいて労働相談を受けています。

ちなみに公的機関は、どんな相談でも受けられるというわけではありません。
法律を基準にして、ここまでは受けられるというラインがしっかり決まっています。

もちろんその中で解決できるのがいちばんですし、私もそれにできるかぎり貢献できるよう、公的機関の窓口で誠実に対応しています。
しかし、労働問題はさまざまな要素が絡み合うことが多く、残念ながらひとつの公的機関だけでは解決しないこともあります。

例えば、会社を退職したAさん(勤続10年・45歳)が「①未払い賃金」があり「②離職票が発行されない」と悩み「③社会保険に加入していなかったようだ」ということに気付いて、労基署に行ったとします。
①は労基署で対応できますが、②③は相談に乗ることもできません。

そのことを告げられると、労働者は「労基署は役に立たない」と憤ります。
しかし、これは労基署が悪いわけではなく、管轄している法律が違うためです。
お気持ちはよく分かりますが、仕方ないことなのです。

労働者側社労士は①②③すべてについて、どのようにすればいいか的確にアドバイスできます。
各役所をぜんぶ回らなくても、1回の相談で済むわけです。

また、それぞれの手続きについて代行や同行をすることもできます。
労働者が一人で窓口に行くよりも、かなりスムーズに手続きを進めることができるのです。

まず、一つ目のメリットとしては
「時間の無駄を省くことができる」ということになります。


先ほど登場したAさんが、もし仮に会社から解雇を言い渡されていたとします。
その上、会社からは退職届を出すように言われていました。

解雇は会社都合での退職ですが、退職届を書いてしまうと自己都合になるおそれがあります。
どういう理由であれ、自身の意思で退職届を書いたんですよねということになってしまうのです。

もし退職届を書く前に、Aさんから私が相談を受けていたとしたら、絶対に書かないようにアドバイスします。
そして、会社にきちんと解雇の手続きを取るように求めることをサポートします。

解雇ということが確定すれば会社都合退職になり、雇用保険から失業の給付をすぐに受けることができます。
勤続10年で45歳だと、270日分の給付になります。

一方、労働者側社労士に相談せず、退職届を書いてしまって自己都合になった場合はどうでしょうか。
給付がスタートするまで2か月待たされる上に、給付の日数は120日分になってしまいます。

仮に失業の給付の日額が5,000円だとすると、会社都合ではトータル135万円です。
自己都合では60万円となり、その差はなんと75万円になります。


労働者側社労士に相談したことで、かなり大きな金額を守れたという事例はたくさん見てきています。
私たちは、あくまで料金表に定めた相談料や手続き代行料をいただくだけです。

つまり、二つ目のメリットとしては
「専門家の知識を味方につけて、相談費用よりも大きな金額を得られる場合がある」ということです。


会社は、たいていの場合は弁護士や社労士などの専門家を味方につけています。
そしてそれにかかる費用は、必要な経費として計上しています。

それに対して労働者がたった一人で立ち向かうのは、かなり難しいことであるといえます。
専門家には専門家が対応するのがいちばんです。

誤解のないように書いておくと、会社側の専門家も違法なことをアドバイスはしません。
会社がそのアドバイスを都合のいいようにねじまげて、労働者に伝えていることが多いと思います。

労働者から正式に依頼があったときは、会社側の専門家も交えて私が面談に同席することも可能です。
専門家同士がいる場で話をすれば、ちゃんと法律に則った形で解決することができます。

まだまだ、労働者が専門家に依頼するということは一般的ではありません。
このようにメリットを知っていただくことで、悲しい思いをしたり不当に損をする労働者が一人でもいなくなればと思います。

なお、せっかく私に依頼をいただいても、もう手遅れになりかかっている場合も、残念ながらかなりあります。
それでも会社に対応を求める方法はいくつもありますが、できれば相談は早い段階であればあるほどいいと思います。

あなたが正当に受け取れるものを取りこぼすことがないよう、ぜひ労働者側社労士を頼ってください。

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You Tubeチャンネル「労働相談須田黒田事務所」に、動画をアップしています。

写真はインスタグラムでアップしているものです。

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