取締役要件にESGを掲げる企業(4):Freeport McMoRan

スキルマトリックスシリーズ第4回は世界有数の非鉄金属鉱山会社フリーポート・マクモラン(Freeport McMoRan)です。かつて同社のESGの取組は大きな議論を呼び、2006年にノルウェー政府年金基金は事業に起因する環境破壊等を理由に同社株からの投資撤退を決定しました。

https://comemo.io/entries/8300

それから十余年、同社は対応を大きく転換させ、スキルマトリックスで「環境・サステナビリティ・企業責任」を取締役要件として求めるようになりました。同社は総合的な会社の監督を行なうための取締役会の他、その専門部会のような位置付けで複数の委員会を設定しており、取締役会の実効性向上を図っています。その1つが企業責任委員会です。同委員会は取締役会によるESGリスクマネジメントの支援を目的としています。同社は議論するテーマを以下の10項目に特定しており、単なる「環境」よりも詳細に定義しています。

・生物多様性
・地域貢献
・汚職・腐敗
・気候変動
・人権侵害
・労働争議
・製品管理
・労働安全衛生
・選鉱くず(採掘した鉱物の品位向上の過程で出る不要物)
・水使用マネジメント

さらに取締役会でのESGリスクマネジメントは経営陣の報酬体系にも反映されている点も特徴的です。報酬は固定給与、年次ボーナス、長期インセンティブから構成されますが、その中の年次ボーナスの25%がESGリスクマネジメントの成果と連動するものとなっています。

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