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日本に来る難民と入管行政の問題点:まとめ

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2021年3月の記事一覧

なぜ日本の難民認定率は低いのか?(4/25追記しました)

そもそも、入管行政の問題の根幹にかかわる部分として、「なぜ、日本の難民認定率は低いのか?」について。

難民認定の厳格性-不信の文化日本の入管は、国境の管理によって自国民をテロやいわゆる偽装移民等から守る「国境の番人」としての役割にメンタリティが強く働き、入国阻止政策へと政策の方向性が向きやすいようです。

入管当局の最大の使命は国境の管理であり、当然ながら、疑わしき外国人の入国・在留には警戒的な

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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q1・2(収容部分)のいい加減さ・無責任さ

今日、出入国在留管理庁が「そこが知りたい!入管法改正案」をリリースしました。

突っ込みどころがたくさんありすぎるのですが、収容関連について。

収容するか否かを裁判所が判断する仕組みを設けなかった理由として、・実際に収容を行う入国警備官とは別の上級の主任審査官が慎重に判断する・行政訴訟ができるので十分適正に行われると考えられます、としています。

監理措置は上級の入国審査が慎重に判断することとし

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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q3とQ4(退去強制)について 突っ込みどころ満載

「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q3とQ4(退去強制)について 突っ込みどころ満載

収容部分に続いて、突っ込みどころ満載のQ&Aについてです。長いので、いくつかに分けていきます。

「Q3 なぜ,日本からの退去を拒む外国人を退去させなければならないのですか?」要するに、日本のルールに違反し、日本への在留を認めるのが好ましくない外国人を国外へ退去させるのが強制送還だ、ということですね。

確かにそれは必要なことです。

「日本のルール」だけ?ですが、いみじくもここで、入管さんは「日

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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A 「Q5 なぜ,日本からの退去を拒む外国人を退去させられないのですか?」について 制度の一部切り取りはやめましょう

「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A 「Q5 なぜ,日本からの退去を拒む外国人を退去させられないのですか?」について 制度の一部切り取りはやめましょう

Q5では、送還の妨げになっている理由を挙げています。

送還停止効まず、「現在の入管法では,難民認定手続中の外国人は,申請の回数や理由等を問わず,また,重大犯罪を犯した者やテロリスト等であっても,日本から退去させることができません(送還停止効)。外国人のごく一部ですが,そのことに着目し,難民認定申請を繰り返すことによって,日本からの退去を回避しようとする外国人が存在します。」とあります。

テロリ

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「そこが知りたい!入管法改正案」 Q&A Q6〜Q8 長期収容と難民認定(完)

「Q6 出入国在留管理庁の収容施設に収容される外国人は,どのような人ですか?」は制度の説明なのでほとんどコメントする必要は無いですが、

「もっとも,その外国人が日本から出国すれば,収容はすぐに終わることになります。」→在留特別許可を出しても、収容は終わります。

Q7 なぜ,長期収容の問題が生じているのですか? 長期収容の原因「〇 現在の入管法では,日本から退去すべきことが確定した外国人について

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オーバーステイが増えたのは国策の結果だった

オーバーステイが増えたのは国策の結果だった

2021年2月16日に行われた法務省政策評価懇談会で、次のような質疑がありました。以下のPDFファイルの18頁以下です。

出入国在留管理庁(川畑)の回答1番でございますけれども,御質問の内容は,最近の不法残留者数の増加の原因と,それから技能実習制度の問題点と理解いたしておりますので,回答させていただ きます。

近年,不法残留者が増えた原因でございますけれども,私どもの見立てといたしまし ては,

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読順⑦ソーシャルワークとの関連②難民申請者に対するセーフティネットの脆弱性(その2)

(本文は、移住連編の『相談ハンドブック』(2019年)を多分に参照・引用して書いています。そちらもご参照していただきたいと思います)

行政サービスを受ける権利現在、日本において外国人であることを理由に制度の利用ができないという社会保障・社会福祉・医療制度は原則的にありません。これは、「難民条約」や「人種差別撤廃条約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)の「内外人平等原

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