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言葉にごまかされるな

名は体を表すというが、現実は必ずしもそうではない。実際には体をごまかそうとして意図的に名付けているものもある。いくつかピックアップしてみた。

「完全民営化」と「完全に民営化」

YouTube「高橋洋一チャンネル」で見たのだが、「完全民営化」と「完全民営化」は全く違うものらしい。動画を探してたのだが見つからないので、代わりに同じ高橋洋一氏の過去ブログがあったので貼っておく。

何かというと、「完全民営化」というのがひとつの言葉で、それは「民営化」とは全く意味が違う。「完全民営化」はその株式を政府は一切持たないのだが、「民営化」は政府が100%持っててもいいらしい。その「民営化」を完全に行うことが「完全に民営化」というわけだ。

私たちのイメージからするすれば「完全民営化」が普通の民営化で、役所言葉でいう「民営化」は「なんちゃって民営化」に過ぎない。

氏によれば、完全民営化を提案したものが知らないうちに「完全な民営化」に置き換わっており、骨抜きになったこともあったという。

ロシア軍の「精密攻撃」

ロシア軍が民間施設を攻撃する理由の一つに「精密誘導弾を使い果たしたから」ということが言われている。もっともそれが主な理由ではないだろう。仮にあったら民間施設を狙わないのかと言われれば甚だ疑問である。だが、そういう背景はあるらしい。

しかし、ロシア軍は精密誘導弾を使ってない場合も「精密攻撃」と言う。なぜなら「ちゃんと目で見て狙っているから」だ。無差別に「大体あの辺」を絨毯攻撃するのではなく「あの建物」を狙って攻撃しているのだから精密攻撃だと言い張る。精密誘導弾を使う場合は「高度精密攻撃」という。

UNITED NATIONSは連合国?

UNITED NATIONSを「国際連合」と訳すのは間違いではないかという指摘がある。正しくは「連合国」ではないかというのだ。確かに今検索しても、連合国の訳としてUNITED NATIONSが出てくる場合がある。国際連合広報センターのサイトにも、こんな記載がある。

「国際連合(United Nations:連合国)」という名称は、第二次世界大戦中にアメリカのフランクリン・D・ルーズベルト大統領が考え出したものであった。

国際連合広報センター 国際連合:その憲章と機構
https://www.unic.or.jp/info/un/

第二次世界大戦の戦勝国が常任理事国となって発足したのが国連である。戦勝国クラブが安全保障について協議する場である。つまり連合国が中心となっているのではなく、連合国そのものではないか。

国連憲章には敵国条項というものがあり、日本は今も「敵国」である。

国際連合広報センター 国連憲章テキストより
https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
53条2にある署名国とは、米英仏露中の5か国

日本では国際連合を何か崇高なものとして神聖視する傾向がある。国連中心主義などと言われることもある。この敵国条項をみて、それでも崇拝すべきものなのか。

そしてこうした傾向に「国際連合」という、世界中の国々が一致協力しているかのような語感をもたらす訳語は拍車をかけていることだろう。

ごまかされないリテラシー

以上、言葉によって実態をごまかされている例を挙げてみた。いずれも最近気になったものだけで、探せばまだまだあるのだろう。

ごまかされないよう気をつけるだけでなく、言葉を作った人や団体の意図を読み取ることもリテラシーとして必要だと痛感している。

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