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話の規模を考えてくれ(「18歳以下給付金」編)

補正予算での給付金の扱いが紛糾している。

18歳以下の子供に10万円の給付を行うというものだが、政府案では年収960万円を超える世帯は対象外としている。

この所得制限は世帯のうち、最も所得の高い人の年収による制限となる。例えば夫の年収が970万で妻が専業主婦の場合は対象外となるが、夫婦2人ともが年収900万の場合は合計1800万円の所得でも給付対象となる。

この所得制限に対しては「世帯合算の所得での制限とすべき」といった批判があり、自民党内からでも反対意見があるようだ。

がしかし、その前に確認しておきたいことがある。

現在日本に18歳以下の人口はおよそ2000万人。かりに所得制限をせずに一律一人10万円とした場合、全体で2兆円の財政支出になる。これに今の所得制限を課すと、対象者は1割ほど減って約1800万人。支出としては1.8兆円になる。

差額の0.2兆円は2000億円だから、一見して大きな金額になるように見える。だが、今回の補正予算の財政支出は55.7兆円とされる。これが55.9兆円になったからといって、だからどうだというのだろう。

給付額はどちらにしても「約2兆円」で、財政支出は「約56兆円」である。小数点以下の話でしかない。つまり、どっちにしても、そう変わらないのだ。ぐだぐだ議論するくらいなら、所得制限など取っ払ってしまったほうがよい。

所得制限に関しては全体の規模という観点のほかにも、この補正予算が貧困救済なのか景気刺激策なのかといった目的論や、だれを「困っている人」に認定するかなど、価値観に関わる観点もあるから、まったく考える必要がないとまでは言わない。

が、少なくとも「全体としては全く影響がない話だが考え方として整合性を取るための微調整である」という前提を置かないと、本当に議論すべき点が置き去りにされ話が矮小化してしまうのである。

常に全体像を見据えて、今どこの部分の話をしているのか、これを意識しないで有意義な議論などできるはずもない。

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