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「くらしてん」リニューアル③デザインで表現した”くらしてん”感

先日「くらしてん」のサイトをリニューアルした。その思いを伝える3回目。最後は「デザインで表現された”くらしてん”感とは?そして、今後の展望」。

"「言葉」と「記録」"というコンセプト

デザイナー探しは難航した。というのも、私たちの活動は個人的なもので予算も限られているし、こういったプロジェクトに参画してくれるデザイナーの探し方がそもそもわからなかったのだ。そういったなかで、知り合いを頼って薦めて頂いたのが、grams design officeの山内さんだった。岩手の盛岡を拠点に活動されているデザイナーなのだけれど、私たちがお願いしたい旨を伝えると、快く引き受けてくれた。

山内さんは、私たちの「くらしてん」というスタイルをみて、”「言葉」と「記録」"というコンセプトを提示してくれた。

「言葉」と「記録」
くらしてんのサイトコンテンツである記事は「写真」と取材対象者の「言葉」で構成されていること、映像や小説のようにコンテンツを(くらし)を体験し、余韻を感じて欲しいという運営側の意図から「言葉」と「記録」としデザインの軸とします。

まさに、その通り。ドンピシャなコンセプトだった。そして、あの私たちのバラバラとした3つの要望を見事にまとめあげてくれた。

リアルを表現すること

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トップページは、その人自身が撮った写真と、インタビューのなかでその人自身が語った言葉で構成されている。
フィルムカメラで撮った写真であることを感じさせるフレームのなかに、写真がレイアウトされ、そこに白地の言葉が入るというデザインとなった。
一般的なメディアであれば、ここにはカメラマンが撮った美しい写真が入るところだけれど、私たちの場合は、いわば"普通の人たち"が暮らしのなかで撮った"普通の写真"である。

でも、このフレームに入ることで、その人にとっての普通が"見るべきもの"に変わり、その人が語った何気ない言葉が印象的に映る。
私たちの"何気ない日常、そのひとつひとつにストーリーがあり、価値がある"という思想をビジュアル的にもわかりやすく表現してくれた。

また、私たちのメディアの記事の特徴として、聞き手が語り手の言葉を加工することなく、事実をそのまま記事化するという手法が、新聞記者が記事を書き起こすのに近いのではというデザイナー山内さんの気付きから、新聞で使われている「新聞フォント」が採用された。このことで、「くらしてん」の記事が、飾ったものではない"事実"ということが際立って感じられる。

くらしてみる感のデザイン

これまでのサイトでは、記事の内容が一度に表示されるような仕様となっていたのだけれど、これでは読者が暮らす感覚をリアルに体感できない感じがあった。新しいサイトでは"その人のくらしをくらしてみる"ような感覚を得られるようにするため、場面と場面との間に、マージン(余白)とモーション(動き)をつけ、余白感を表現していただいた。

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これは私たちが特にこだわったポイントで、
実際の暮らしの中にあるはずの移動時間や休憩時間などの余白を表現することで、暮らしの時間の流れを感じてもらい、より暮らす感覚で記事を読んでほしいという私たちの要望が反映されている。
そしてここには、そのほんの少しの時間が、読者にとって何かを感じたり、考えたりするためのものになればという私たちの想いを込めている。

「くらしてん」を表現するロゴ

実は今回のリニューアルでは、予算の関係上、当初はロゴのリニューアルはしない予定でいたのだけれど、サイトの作業が進み、リニューアルが現実味を帯びて来ると、私たちも欲が出てきて、ロゴのリニューアルもお願いすることとなった。

山内さんには、これまでの打合せの中で私たちの思想を理解して頂いているので、ロゴデザインについては「くらしてん」という言葉が読めることという要望だけを伝え、基本的には山内さんにお任せした。

出来上がったデザインは、
何気ない暮らしの中で切り取られた1シーン、1シーンを「くらしてん」のフレームに入れて額装するようなイメージのデザインで、
さらに、都市部にある高い建物や郊外の住宅地、地方の自然をイメージし、高低差のある構成としくらしを営む上で大きなポイントとなる「場所」をデザインに落とし込んで頂いた。
また、縦書きと横書きを組み合わせたデザインとすることで、
「くらしてん」=暮らし+視点
であることもわかりやすく表現してくれた。

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公開、そしてこれからのこと

デザインが決まって、リニューアル作業はなんとかゴールがみえてきた。
そのあとに待っていたのは、旧サイトに公開していた記事の新サイトへの移行作業。とても地味な作業だし、私たちはだれかを雇っているわけでもないので、仕事の合間でなんとか時間を確保して、少しずつ進めていった。
しかし、それがこれまで公開したひとつひとつの記事の振り返るための時間となった。それぞれの暮らしに対して、その時に感じていたことが思い出され、また今になって新たな気付きがあったりする。

そういった時間のなかで、課題やこれからの展望、やりたいことも少しずつみえてきた。例えば、費用面の問題。切実な問題であるが、ここを少しでもクリアするために挑戦したい方法がみえてきている。取材の運用方法の見直しなども考えた。ひとつひとつ丁寧にひも解いて考え直してみると、どうやったらもっと協力していただけそうか、あるいは協力してくれる方がどうやったら楽しんで撮影していただけるのか、よりよい方向に話が膨らんだ。

自分たち自身のための参考資料としてスタートしたメディア「くらしてん」。今回、様々な方の協力を得て、やっとリニューアルまでたどり着いた。このリニューアルは、自分たちのための参考資料から、人にみてもらうためのメディアとして、私たちの意識の変化から始まったもので、いまリスタートを切ったところだ。私たちは、これからも普通の人の普通の暮らしを紹介し続けるという私たちの基本的なスタンスは変わらない。だけれど、これからは今までよりは少し多くの人に私たちの活動が届き、それがささやかながらそれぞれの暮らしを後押しするものになれば、そんな風に思っている。


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※最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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