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「くらしてん」リニューアル②形にしたかった3つの要素

先日「くらしてん」のサイトをリニューアルした。その思いなどお伝えする2回目。今回は「私たちが形にしたかった要素とは?」の話。

"「くらしてん」という体験"を構成する3つの要素

リニューアルをすることが決まると、メンバー内での本格的なミーティングへと入っていった。
というのも、外部のデザイナーにお願いするにしても、何をどうお願いしたら良いのかを、まずは私たちで話し合う必要があったのだ。

そこで、最初にぶつかった難問は、私たちが提供したいと感じている、"「くらしてん」という体験"とはなにかを紐解くことだった。

というのも、これまで私たちは、自分たちだけで"お手製"のサイトやロゴを作っていたので、メンバー内でなんとなくのニュアンスでやっているところがあったのだけれど、初めて外部のデザイナーに依頼するということで、私たちの中で共有していたニュアンスを言語化する必要性が出てきたのだ。

度重なるメンバー内での議論の末、私たちが提供したいと思っている”「くらしてん」という体験"は、3つの要素から構成されているのではという結論に収束していった。

①その人の暮らしに入り込むような感覚
②”何気ない日常”、そのひとつひとつにストーリーがあることを発見する
③暮らしの流れを感じられる余白

①その人の暮らしに入り込むような感覚

私たちのメディアの特徴のひとつは、その取材方法にある。
カメラマンやライターが取材をしに取材対象者の元に行くのではなく、「写ルンです」を送り、暮らしの中で撮ってもらう。そして、それをもとにオンラインでインタビューをし、その人が語った言葉をなるべく加工することなく記事化する。

これは、”その人視点のリアルな暮らしを紹介したい”と思って、このような独自の手法を採っているのだけれど、結果的に、この手法によって生まれる記事は、その人の暮らしを、一人称的になぞっていくようなものとなっていて、まるで小説を読んでいるかのような感覚があるのだ。

その人自身が撮った写真であること、
その人自身が語った言葉であることが直感的にわかり、
そして、その人の暮らしに入り込むような感覚を提供できること
これが一つ目のオーダーになった。

”何気ない日常”、そのひとつひとつにストーリーがあることを発見する

これまで調べてみていた地方の暮らしは、私たち夫婦にとっては素敵すぎていた。その地方への移住者を獲得したいのであれば、その暮らしを憧れの対象として素敵にみせるのは当たり前であるし、スポンサーが存在しているのであれば、なおさらのこと。普通の暮らしの風景は、あえて紹介するようなものとしては取り上げられてなかった。

でも、そこでの暮らしのリアリティを感じるために、私たちは”普通”を知りたかった。”何気ない日常”、そのひとつひとつにストーリーがあり、そこにこそ価値があることを知っていたから。

「くらしてん」を通して、その”何気ない日常”をみることで、これまでは知らない土地のただ通りすぎるだけだった風景が、その人の暮らしの中の一場面として変換され、面白くみえてくる。

インタビューを終える度に、メンバー同士で、

同じ地域の人が同じ景色を見て、感じ方が全然違う!
岩手のこの人も、北海道のあの人も水汲みに行ってる!(水汲みが日常?)
この橋の上からの景色、今度行ったら見てみたい!

など感想を話し合っている感覚、面白さを、サイトを訪れる人たちにも共有したい。
それが二つめのオーダーだった。

③暮らしの流れを感じられる余白

「くらしてん」のもう一つの特徴は、暮らしを何気ない時間の連続として捉え、それを暮らしの順序に沿って紹介していくという点だ。
地方移住に興味があった私たち夫婦が調べて出てきた情報は、雇用や不動産情報、周辺施設、教育などデータとしての情報が多いように感じていた。確かにそれはリアルな情報だが、それらからは「暮らし」をまったく想像することができなかった。

その時、私たちが知りたかったのは、
通勤の時に見ている風景や、
子どもが生まれたときにはどういう公園で遊ばせるのか、
どんな風景のなかで仕事をするのか、
休憩時間はだれとどんな風に過ごすのか、
など、その条件からこぼれ落ちる”余白”のような情報だった。
その余白のような情報で、そこに暮らした感覚を追体験したかった。

そういった経験から、私たちは取材に協力いただく方に、何気ない時間についても撮影をするようにお願いしていて、それらを暮らしの流れに沿って記事化することで、読者にその人の暮らしを追体験してもらおうという意図がある。

今回のリニューアルに当たって、私たちが付け加えたいと思った要素は、
場面と場面の間にあるはずの”余白”を感じられるようにしたい
ということだった。


どの地方のどの人の暮らしの中にも、場面と場面の間には、移動時間や休憩時間などの”余白”がある。その余白の中で、私たちは前の場面に起こった出来事を消化し、次の暮らしの場面に移っていく。
リニューアルしたサイトでは、その余白のある暮らしの流れで、読んでくれる方が少しでも”暮らしてみる”感覚になってもらえて、その余白の間が何かを考えたりする時間になってくれるように、と思っていた。


※この後のデザインを作っていく過程は、
続きの『「くらしてん」リニューアルについて③デザインで表現した”くらしてん”感』
でお伝えします。

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※最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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