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今年のテーマはなぜ「うつわと調味料」だったのか。

今日の「時々、コラム。」は、来週に迫ったイベント「うつわと、調味料。」から、調味料のお話を。

くらしアトリエが2017年から毎年開催しているうつわイベント。

毎年、「うつわ+α」のテーマを決めて、「ただ食器を売るだけのイベントではない」というところに矜持を持って開催しています。

それは、私たちが「くらし」をテーマにするNPO法人だから。
日々の暮らしが今日よりも少しでも楽しく、豊かなものになるように提案や発信をしていくことが、私たちの法人としての役割だと考え、新しいうつわで暮らしがどう変わるのか、どう変えたいのか、というところに主眼を置いているのです。

モノの売り買いだけではなく、そこからどう「暮らし」が変わっていくのかというところをイメージしながら、いつも企画をしています。

毎年、おいしいパンやお菓子だったり、コーヒーだったり、はたまた本だったり……うつわ+α、で何があれば日々が楽しくなるだろう、ということを考えているのですが、そんな中で今年焦点を当てたのが「調味料」でした。

酒粕が優秀な調味料になるんです!

うつわが好きな方は、きっと食べることが好きで、お料理にも興味がある方なのではないだろうか。
じゃあ、お料理に欠かせないおいしい調味料をご提案し、うつわと合わせて選べるようにしたらどうだろう。
そんな妄想が、企画のはじまりだったかと思います。

でも、調味料といってもそれこそ日本各地にたくさんの種類があり、その中から自分たちがどんな基準で商品を選ぶのか、というところで、企画はけっこう紛糾しました。

例えば…巷で流行っているような調味料を揃えれば、お客さまには喜ばれるかもしれない。でも、「うつわと、調味料」というテーマなのだから、うつわの存在があってこその調味料、という開催の仕方でありたい。
つまり、うつわとまったく無縁の土地で作られたものを「おいしいから」「流行っているから」という理由だけで仕入れることに、なんとなく抵抗があったのでした(お客さま的にはまったく気にならない部分だと思うので、完全に私たちの変なこだわりです…)。

酒粕パウンドケーキを入れたミニパフェを、三角鉢にいれて。刺したクラッカーも酒粕入り。

「おいしい調味料」と「うつわ」との関係性については、かなり悩みましたが、最終的に「うつわを届けていただく県から調味料を選ぶ」ということで落ち着きました。

その土地を感じていただくこと、このうつわができたところで、こういう食材も作られているんだ、ということを知っていただくこと。

それが、自分たちの「地域と暮らしをつなげる」という法人のミッションにも通じ、役割として担っていくべき部分なのでは、と思ったからです。
そこが腑に落ちてから、企画はスムーズに進み始めました。

素敵なうつわに出会い、その周りのおいしいものをリサーチする。
その土地に暮らしたことのある方や、食に興味のある方々にお話をうかがい、おすすめの調味料も教えていただきました。

例えば、福岡からは「雅樂窯」さんのうつわが届きますが、同じ福岡から「TAKECO1982」さんの完熟柿のチャツネもやってきます。

柿チャツネをヨーグルトグラノーラに入れるとおいしい!

福岡県うきは市で、廃棄していた柿を有効活用できないか、という課題に着目し、スパイス料理研究家の吉山武子さんが監修した商品です。

廃棄していた柿を有効活用した柿チャツネ

カレーの仕上げに欠かせないチャツネを、地元の食材で。
しかも、廃棄されそうになっていた地元の特産物・柿を使って。

この取り組みがとても素晴らしいなあ、と思い、今回仕入れさせて頂けることになりました(教えてくださったのは出雲市斐川町の「mamenino」さんです)。

遠い地に思いを馳せながらカレーを食べるのもまた、いいですよね。チャツネはドレッシングの材料としても、ヨーグルトなどのトッピングとしても重宝しますよ。

また、滋賀県からは「古谷製陶所」さんの素敵なうつわがたくさん届いていますが、同じ滋賀県の東近江市からは、地域資源の循環を目指す「菜の花エコプロジェクト」で生まれた菜種油「菜ばかり」を販売します。

グラタンには酒粕を使い、サラダに「菜ばかり」と燻製デュカを振っています。

菜の花を軸とした循環型社会を目指していらっしゃる「愛のまちエコ倶楽部」さんの商品で、東近江市愛東産の菜種を100%使用し、化学薬品・添加物を一切使用せず、昔ながらの圧搾方式でていねいに搾った菜種油です。

もみ殻くん炭を作るプラントの排熱を利用した温湯による焙煎で、間接的にお湯で温めながら優しく焙煎するためクセがなく、風味のある味になるそうです。こちらは、オンラインサークル「くらしの学校」のメンバーの方に教えていただいた商品です。

小さめの瓶に入っていますので、ぜひサラダに!塩+菜種油で簡単で美味しいドレッシングになります。

環境にやさしい食材を食卓に乗せることも、家庭でできるSDGSの一環ですよね。

また、島根のもので言えば、浜田市の「浜守の塩」は、ライフセーバーたちが海を守るための活動の一環として、塩の製造過程で廃材を利用して作られています。

また、「シマシマしまね」の定番商品である出雲市の「太陽の里」さんのトマトミックスソースや焼肉のたれは、社会福祉施設の利用者さんとスタッフの皆さんが、ていねいに製造されています。

こうして見ると、今回のイベントで集まった調味料たち、おいしいだけではなく、社会に対して良いインパクトを与えているものが多いのです。

その地域でとれた食材を有効活用したもの、これからの持続可能な社会を考えながら作られたもの。
あるいは、環境に配慮したもの、社会福祉のための就労支援として作られているもの。

福岡の粒マスタード

うつわの産地からいろいろな情報を頂き、結果的に集まったものは、なんとなくですが「ソーシャルグッド(地球環境や地域コミュニティなどの社会に対して良いインパクトを与えるもの)」という共通意識のある商品が多く、嬉しくなりました。
商品を選ぶ際の基準のひとつとして、この「ソーシャルグッド」を加えてもらえたら嬉しいな、と思っています。

青砥酒造さんの料理酒

とはいえ、食べる時にはやはり「おいしい!」と感じられることが一番。

隠岐のハーブソルト

今回集まっているものはスタッフがちゃんと「おいしい!」を感じたものばかりですので、自信を持っておすすめできますよ~。

このプレートは、グリル野菜に隠岐のハーブソルト、
さつまいものレモン煮には青砥酒造の料理酒を使っています。

うつわイベント、いろいろなテーマで開催してきましたが、「お気に入りのうつわがあると、生活が楽しく変わる」というのは、毎年来てくださる皆さまの声で確信しているところ。

キンパには「太陽の里」さんの焼き肉のたれを、粕汁には青砥酒造さんの酒粕を使いました。

「このお皿に料理を盛り付けるのが楽しくて毎日使っちゃいます!」
「毎年、1枚ずつ集めていこうと思ってるんです」
「去年悩んで買わなかったのをずっと後悔していて…」

そんな声を、毎年多く頂いています。

作品の多くは、2つと同じものがない1点ものだったり、同じうつわでも釉薬や模様の出具合が少しずつ違っていたりします。
だから、本当にうつわとの出会いは「一期一会」
「あれを盛り付けたら良さそう」とイメージが沸くものに出会えたら、そのうつわはきっと、食卓で活躍してくれるに違いありません。

今年も、お皿1枚、カップ1個から、より暮らしを楽しくしていきましょう、というご提案を、イベントを通してさせて頂きたいと思っています。

10月19日(木)から開催のうつわイベントを、どうぞお楽しみに…!

イベント終了後はネットショップでの販売も予定していますので、遠方の方やご都合で来られない方も、そちらをどうぞお楽しみください。

イベントや商品についての詳細は、下記のマガジンからご覧いただけます。

※来週の「時々、コラム。」はお休みさせていただきます。予めご了承ください。

サポートありがとうございます。とてもとても励みになります。 島根を中心としたNPO活動に活用させていただきます。島根での暮らしが、楽しく豊かなものになりますように。