【森永陽実 one-man live“End Stage Act”ライヴレポート】 （文：こたにな々）

----------------2022.06.29 青山月見ル君想フ

この日、音楽家・森永陽実による、約2年ぶりの有観客ワンマンライブが開催された。

前バンドであった『森永陽実とイル・パラディソ』の活動としてのライブや、その編成で最後に出された配信シングル『みんみんTV』からは、約3年となる。そこからバンド編成は新たに、2020年の秋より活動的とも言える連続配信シングルリリースを経て、今回のワンマンライブとなる。

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当日は20分押しでスタート。この日は梅雨明け早々の全国各地が記録的な猛暑日となり、1曲目に披露された歌詞中の「どうすればいい？こんな暑い夜は？」というワードがぴったりだった。

シャギーなフリルの付いた白いシャツが、彼の整った容姿をさらに端正に見せる。

前バックバンドであった8人編成の『イル・パラディソ』では、イタリア語で“楽園”や英語で“パラダイス”という語源の通り、全体的に楽しげな方向性だったように思う。森永もよく歌唱時に微笑っており、踊りも交えるほどだった。

それが今回は一部メンバーを残し、ギターは2人に、さらにホーンズとストリングス隊が増員され、11人編成で森永とステージを支える。メンバー全員が男性ということもあり、音は骨太く、グルーヴィーなセッション感もあり、これまでのポップさよりもエモーショナルさが勝つ舞台となっていた。

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彼自身の心情も変わったのだろうか。
「曲」自身も成長を遂げており、物理的にもほとんどの楽曲にアレンジや歌い方の変化が加えられていたように思う。

注目のルーキーとして『FUJI ROCK FESTIVAL '19 ROOKIE A GO-GO』や『りんご音楽祭』に出演していたのが約3年前。そこから少し年齢を重ねた森永からは、より大人の色気が漂うようになっていた。

照明の光が彼の黒目を反射するその裏には、もの哀しさや様々な色を感じ、
とても簡単な言葉を使うならば「大人」になったような、より歌詞が情緒的に表現されるようになっていた。

緊張からか、歌唱時に少し音が取りずらそうな印象も受けたが、終盤はアコースティックギターを置き、マイクのみを片手に、ダンサブルな曲を歌う場面では多幸感あるボーカルを見せ、本領を発揮していた。

歌謡曲ともポップともまた違う“森永陽実のshow”が広がる。

小説を読んでいるような、短編映画を観ているような・・・・
音楽家・森永陽実は舞台に立つ「演者」の顔を強く持っているように感じた。

言葉を選ばずに言うなれば、彼はもっと広く認知される音楽家だと思った。今夜は新月。会場に設置されている「月」も後ろから彼を大きく照らしており、新しいスタートを見た気がして、森永の今後に想いを馳せる。

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彼の紡ぐ詞の世界観を構築するバンドの結束力やグルーヴ感、彼の抑揚のある独特な歌い方や、時に俳優のような表情を見せる表現力の“すべて”が“ベスト”に到達、または合致した時、森永陽実の「本当に見せたい世界」が目の前に、真に現れるのではないかという、今後への期待や希望を大いに感じるステージとなった。

どうか、彼の描くShowが永く永く続き、広く広く知られていくように願ってやまない。2022年6月29日、蟹座新月。この日私が見たのは彼のスタートに過ぎないのだ。

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2022年7月5日23:59までアーカイヴ視聴が可能 ↓

森永陽実 one-man live “End Stage Act”のチケット情報(Streaming+) - イープラス

『森永陽実 one-man live“End Stage Act”』
1.暑い夜
2. 秘密・親密・密の味
3.チュロスちょうだい
4.隣の探偵さん
5.青い船
6.まなざし
7.もののけ天使
8.恋のはじまり（ソロ）
9.未来のないふたりのダンス（ソロ）
10.南半球は夏
11.おひとつどうぞ
12.プロボーズは日曜日に
EN.ミディアム・ハイ

Vo. Gt. 森永陽実 / AKIMI MORINAGA
Gt. 中松文吾 / BUNGO NAKAMATSU
Gt. 谷澤友和 / TOMOKAZU YAZAWA
Keys. 松本翼 / TSUBASA MATSUMOTO
Ba. 森川祐樹 / YUKI MORIKAWA
Sax. 石田玄紀 / HARUKI ISHIDA
Tp. ヒガシタカシ / TAKASHI HIGASHI
Vn. 石井智大 / TOMOHIRO ISHII
Vn. 渡辺洋輔 / YOSUKE WATANABE
Vc. 三谷乾仁 / KENT MITANI
Perc. RYOSUKE TOMITA
Dr. 河合宏知 / HIROTOMO KAUAI