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本のおすすめ:日本語へそまがり講義

コラム719:本のおすすめ『日本語へそまがり講義』

 林望氏のこの本は、23年も前に書かれたのにもかかわらず、ぜんぜん古びていない。言葉に関する情報は、そんなに早くは古びないのだ、と感心しました。

 氏は、漢字について「書取などは試験から排除するのが本当だと私は思う」と言い、松尾芭蕉については「俳諧の聖人のようになったが、今日のヤンキーのごとき言葉を駆使して・・・」とか、正岡子規の『歌よみに与ふる書』を「罵倒文学の金字塔」と呼んだりと、穏やかでない切り口が心地いいです。

 最後に、「ら抜きはけしからん」というのはよしにして、もっと各人が自分自身の「ことば」に自覚的になって、注意深く言葉を発したい、と述べています。

 こうして、文章を発信していることにも、言葉に注意深くなったり、漢字なのか、仮名なのかきちんと考えたり、自分の日本語を確立したいな、と思わせる、爽快な一冊でした。Kindleアンリミテッドで読めるので、お薦めです。

(林望 PHP 2000年)

2023年12月8日

クララ

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