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貴方の愛を身に付けて

12月25日(土)
朝起きたら、枕元に小さな箱が置いてあった。

夫からのクリスマスプレゼントだった。
本当に本当に驚いた。
夫はそういうサプライズ的な演出があまり得意ではないと思っていたから。

開けたらゴールドのバングルが包まれていた。
2度目の驚き。


アクセサリーは昔から好きだ。
高校生の頃は友人達とお揃いのネックレスを買って、休日遊ぶ時に皆んなでつけていた。

高校の卒業式を終えた後、すぐにピアスの穴を開けた。
母に開けてもらったのだが、その時母から
「本当はね〜あなたが赤ちゃんの時にピアスの穴開けようと思ったの!でも赤ちゃんなのにピアスの穴開いてたら虐められるんじゃないかっておばあちゃん(母の母)に言われて止めたのよ〜」
と言われた。
母ならやりかねないわ〜と思った。

ピアスの穴が安定してからはピアス集めにハマった。
当時あまりシンプルなデザインは買わず、謎にデカい大ぶりのものや、変わり種(チャックのピアスとか)系が多かった。

妹も大学に進学するタイミングでピアスの穴を開けたので、お揃いで買って付けることもよくやった。


アクセサリーは恋人同士のプレゼントの定番だと思う。
ただ、過去付き合った人からアクセサリーのプレゼントを貰わなかったり、そもそもそういうプレゼントが発生するイベント時に付き合っていない、という事が多かった。
だから「このアクセサリー、彼氏から貰ったの♡」という経験は無かった。夫と付き合うまでは。


初めて貰ったプレゼントはネックレスだった。
THE KISSのもので、定番だとは思うがシンプルで今つけていても全く違和感無いデザインだと思う。
20歳の私は「なんて大人っぽいデザインなんだ!これが!大人!!!」と感動した。

このネックレスは今はもう付けていなくてしまってあるのだが、非常に思い出深いアクセサリー。


当時就職活動真っ只中だったのだが、あるブライダル企業の説明会兼選考会があり、そのネックレスを付けて行っていた。

プレゼントしてもらってから毎日付けていたし、彼氏から貰った初めてのプレゼントだったので、私にとってそのネックレスはお守りのような存在だった。

たださすがに面接も兼ねた説明会にネックレスを付けていたらヤバい…とも思っていた。
だから会場に着く直前に外そうと思っていた。

でもそんな事すっかり忘れてしまって。
会場であるその会社の結婚式場に着いて中に入る順番待ちをしている時に「あ!!」と気付いた。

急いで外して、でももう順番も来るし…
と思って、咄嗟に手に持っていたトレンチコートのポケットに入れた。

その後受付を済ませ、説明会を聞き、軽い面接を受け。
特に何事も無く終わり、その日は午後から大学の授業に出なければいけなかったのでそのまま電車で大学に向かった。

授業を受けて、夕方。
一緒に帰ろうと約束していた彼氏と合流し、「今日どうだった?」と聞かれた瞬間、ネックレスを外していた事に気付いた。

そのネックレスの話をしながらトレンチコートのポケットに手を入れた。
中には何も入っていなかった。

え!?!?と思った。
全てのポケットを確認して、着ていたスーツのポケットも確認して、カバンの中も見て。
全部出して、コートは逆さにして降り回りして。
それでもネックレスは出てこなかった。

最後に授業を受けた教室の前にあるベンチで人目も憚らず泣いた。
初めてのプレゼントだったのに。
彼氏から貰った大切なネックレスだったのに。

説明会の受付が終わった後、すぐに別のどこかへしまえば良かった。
いや、コートのポケットになんか入れなければ良かった。
駅に着いた時点で外してしまっておけば。
そもそも、説明会に付けて行かなければ良かった。

全て、全て、後悔した。
でも後悔しても、もう、無い。

自分の愚かさとか、もう戻ってこない事とか。
とにかく悲しくてずっと泣いた。

それを見ていた彼はずっと「大丈夫だよ」と言っていた。
何が大丈夫なのか。もうネックレスは無いのだ。
新しいものを買ってくれると言うのか?
確かに新しいものを買ってもらったら、また私は"彼氏にプレゼントしてもらったネックレス"を得ることができる。
でも初めて、クリスマスの日に貰ったあのネックレスは、もう無いのだ。

失くしたのは自分のくせに。
本当に悲しかった。

すると彼は「探しに行こうよ!」と言った。
ビックリした。
探しに行くと言ってもどこを探せば良いのかわからない。
なぜならどこで落としたのかわからないから。

その日の私の行動範囲は広かった。
だって説明会のあった結婚式場と大学がかなり離れていたから。
外してコートのポケットに入れた瞬間からこのタイミングまで、一体どこで落としたのかわからない。

説明会会場の結婚式場かもしれない。
大学に向かう電車内かもしれない。
大学キャンパス内かもしれない。
途中トイレに入った。コンビニにも寄った。
全く見当がつかない。

そうしたら彼は
「多分結婚式場だよ!今からそこに行こう!」
そう言って、通学に使っていた大きな赤いバイクの後ろに私を乗せ、目黒区へ向かった。

そこからは必死に探した。
まず駅から結婚式場までの道のりを探す。
結婚式場周辺を何度も往復しながら探す。
ネックレスは小さいから中腰になってずっとウロウロしていた。

もしかしたら会場内かもしれない。
そう言われて式場にいた社員の方に声を掛けて事情を話した。
私が説明会を受けたのは午前中、探しに来たその時間は19時頃だった。
既に一度清掃済みで、その時はネックレスの落とし物は無かったと言われた。
ただ、もしかしたら出てくるかもしれない、と言われたので、ネックレスの特徴と名前と電話番号を伝えた。

結局2時間くらい探したのだけど、当然見つからず。
悲しくて悲しくて、結婚式場前の道端に座って泣いていた。

彼はずっと「見つかるよ!」と励ましてくれていた。
でも見つからない。見つかるはずが無い。
あんな小さなネックレス、落ちていたとしても見つけるのが難しい。
もうダメなんだ。私はこの人から貰った初めてのプレゼントを落として失くしてしまった。
こんな彼女嫌だろうな。嫌われるかもしれない。
色々悲しくてずっと泣いていた。

私が落ち着くまで一緒に道端に座っていてくれた。
季節は冬。確か1月か2月くらい。
結婚式場はキラキラ輝いていて、凄く綺麗だった。
そんな結婚式場の前で座って泣いてる女。普通にヤバい。道行く人の目も気になるし、彼に申し訳ない。

もう遅い時間。
諦めて帰ろう。家に帰ってまた考えよう。
そう思った時、式場から社員の方が走りながら出てきた。
「先程の、◯◯さん(私)いますか!?!?」

何事かと思って向かったら、私の物らしきネックレスが見つかったと。
確認して欲しい、と言われた。

式場内に通されて、「これなんなんですが…」と見せられた物は、間違い無く私が彼から貰ったTHE KISSのネックレスだった。

「これです!!!」と言ってまた泣いた。
まさか本当に見つかるだなんて思っていなかったから。
その時残っていた社員さん達皆んなに「良かったです〜!」と言われた。
彼には「ね、見つかったでしょ?」と言われた。


彼は最初からずーーーっと「絶対見つかるよ!」と言っていた。
どこにそんな自信と根拠があるのか謎だった。
そして私は絶対見つからないと思っていた。
その時は本当に、物凄くラッキーだったと思う。
でもずっと見つかると信じて、私に一度でも無理という素振りを見せなかったこの人は本当に凄いし何者?とすら思った。笑


この一件があってから、絶対アクセサリーは適当なところに入れないと誓った。
そしてその頃から、彼からプレゼントで貰ったもの以外はほとんど身に付けなくなった。
それは彼が彼氏から夫になった今でも。

一度気に入るとそればかり使う、という自分の性格も影響しているのだと思うが、なんとなくこの人から貰ったものを身に付けていたい、と思うようになった。

その後、誕生日や記念日、クリスマスプレゼントで他のアクセサリーも貰った。
このネックレス含め、ピアスや時計は学生時代にプレゼントされたものと、社会人になってからプレゼントされたもの、2つずつある。

「もう大人だから、より大人っぽいデザインがいいと思って」と言ってくれた。
だから初めて貰ったTHE KISSのネックレスは今は付けておらず、でも大事にしまってある。


さて、本日クリスマス。
冒頭の話に戻って、朝起きたら枕元に小さな箱が置いてあった。
中身のバングルは数年前に誕生日プレゼントで貰ったピアスと同じブランド。
ピアスと同じゴールドで、デザインも少し似ていてリンクしているような感じ。

ピアスは一緒に見に行ったのだけど、その時お店にバングルも置いてあって見ていた。
これまでピアス、ネックレス、時計…と色々付けてきたが、ブレスレットだけはほとんど付ける事なく生きてきた。

その時なんとなく「こういうブレスレット?バングル?可愛いよね〜」と伝えたのだが、どうやらそれを覚えていたよう。

また1つ、大切なアクセサリーが増えた。
今は外出機会が無くて付ける頻度は低いと思うが大事に使おうと決めた。


クリスマスの時期や、アクセサリーを見ているとこの出来事を思い出す。
物だけで愛を計るわけじゃないけど、相手を想って選ぶプレゼントには愛があると思う。

これで私が普段身に付ける夫からのプレゼントであるアクセサリーはピアス、ネックレス、時計、バングルになった。(+結婚指輪)

高価なラグジュアリーブランドの物ではないけれど。
このアクセサリー達から私は夫の愛を感じる。
だから私は夫からの愛を身に付けているんだなぁと思っている。幸せ者だ。


最後に、せっかくだから我が家の伝説となっている、この一度落としたのに見つかったTHE KISSのネックレスが見つかった結婚式場の話し。

私が選考を受けたのはテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)という企業。
式場はアーカンジェル代官山。

https://www.tgn.co.jp/hall/tokyo/ak/point/detail/

このゲートの前で泣いたり、うずくまったりしていた。
今考えても本当にヤバい女だ。笑

選考を受けたのはもう10年以上前だけど、この日の事は今でもよく覚えている。

残念ながら(?)、私自身の結婚式は全く別の企業の全く別の場所の式場で挙げたのだけれど(笑)
この式場は私にとってとても思い出深い場所。

結局ここの選考はあっという間に落ちてしまって私とは全く縁が無かったけどw
あの日ただの学生の私が落としたネックレスを見付けてくれて本当に感謝している。
あの時ネックレスを見つけてくれた方々が今どこで何をしているかなんてわからないし、この件の事なんて覚えていないだろうけど、私はきっと一生、感謝の気持ちと共に覚えているだろう。


実は私にとってクリスマスと言えば、初めてお付き合いした人との苦〜い思い出(もはや笑い話)があって、最初はその思い出話をここに書こうと思っていた。

だけどこんなビックリハッピーサプライズがあったのでそんな苦〜いどうでもいい思い出話はどっかへ吹っ飛ばして、ハッピーな話を書いた次第。

色んなクリスマスがあると思うが、今日も一日、皆んなが充実した日を過ごせますように。
支離滅裂になったけど今日はそんな感じで。

Merry  Christmas🎅🏻🎄

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