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【参加者レポート】持続可能な観光地 「小豆島」~社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」の参加学生が感じ、考えたこと~

2021年10月25日(月)~31日(日)にかけて、香川県小豆島町にて社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」(以下「クラチャレ」)を実施し、同年11月19日(金)にはクラダシのオフィスにて事後報告会を実施しました。(※1)

このnoteでは、参加した学生たちに体験した内容をレポートしてもらいます。

▼クラチャレについて詳しくはこちら


■レポートを書いたひと(クラチャレ参加学生)


成田龍斗
片野湧稀
北條あおい
塩津新雪
伊澤梨花
徳田祐子

■香川県小豆島町ってこんなところ!

人口13,000人(2021年)ほどの瀬戸内海の真ん中に位置する香川県の離島。2021年6月に、四国で初めて経済や環境への影響に十分配慮した「持続可能な観光地」を目指すモデル地区に選定されました。また、10月5日には持続可能な観光の国際的な認証団体である「グリーン・ディスティネーション」が実施する表彰制度「世界の持続可能な観光地TOP 100選」に選出されており、持続可能な開発目標、SDGs に向けた取り組みを推進しています。

オリーブや醤油、そうめん等が特産品で、小豆島町役場には全国で唯一の「オリーブ課」があります。

■活動内容・スケジュール

私たちは、10月25日から10月31日までの計7日間、小豆島に滞在しました。現地では、毎日の送迎から島の案内まで、小豆島ふるさと村の職員である佐倉さんに本当にお世話になりました。

[1日目]移動&歴史学習

クラチャレ1日目。成田空港ではじめましての挨拶をした6人で、飛行機とフェリーを乗り継いで小豆島を目指しました。

小豆島はあいにくの雨だったため作業は行わず、ふるさと村専務理事の森川さんのお話を伺いました。小豆島の振興に真摯に取り組んでおられ、私たち若者の声にも耳を傾けてくださる姿勢が印象的でした。

[2日目]オリーブ収穫&シーカヤック体験

2日目は天気も良く、いよいよオリーブ収穫が始まりました。お昼には佐倉さんのご好意で、シーカヤック体験もさせてもらいました。小豆島の綺麗な景色と雲のない空の下でのカヤックは忘れられない思い出になりました。夕方にはオリーブ公園を散策して、夕日を眺めました。ふるさと村から見る夕日は言葉にできないほど壮観で、自分たちはこの日以降毎日夕日を眺めることになりました。

[3日目]オリーブ収穫&血抜き見学

3日目の活動は主に収穫作業がメインで、計11本の木からオリーブを収穫しました。作業をしている際にアルバイトで小豆島に来ていた方とお会いし、小豆島の現状やこれからについてお話を聞くことが出来ました。

お昼には、国民宿舎の副料理長の方に「津本式 究極の血抜き」という魚の処理法を見せていただきました。必要以上に魚を注文せず、血抜きで魚を長持ちさせ、必要な時に必要な分だけ食べることや、生ごみも肥料にすることでSDGsの達成に向けて自分が出来ることを実践し、発信していく姿勢に感銘を受けました。

[4日目]見学&役場の方との意見交換

見学や意見交換会など、盛りだくさんの日でした。

最初に、佐倉さんに醤油かすを肥料にしてトマトを育てる「醤トマト」の生産者さんの元へ連れて行ってもらいました。醤には、植物に必要な窒素が含まれているだけでなく、うまみ成分も含まれており、醤油かすを無駄にせずにおいしいトマトを作っているそうです。味見させてもらったら、確かに美味い!!

次に、山久醤油さんに行きました。木桶がズラリと並ぶ蔵は圧巻。何百年も樽に住み続けている菌たちが、醤油をおいしくしているそうです。

午後には、役場で意見交換会をしました。島の高齢化や観光、移住等、今小豆島が抱えている課題や対策について教えていただき、私たちの質問にもとても真摯に答えていただきました。私達が思っている以上に、役場の方が小豆島について分析し、どうにかしなければと手を打っていることが分かりました。

夕方は、佐倉さんに船に乗せてもらいました。船の上から見た夕日は、最高にきれいでした!

[5日目]収穫

終日収穫作業をしました。これまでの収穫作業から学んだことを活かして、より効率よくオリーブが獲れたように思います。作業中、農家の方との他愛もないお話を楽しみました。小豆島に流れるゆったりとした時間、小豆島の人々、小豆島がどんどん好きになっていくのを感じました。

[6日目]収穫&小豆島観光

活動は実質最終日!ということで最後のオリーブ収穫を終えて、午後は小豆島観光に連れて行ってもらい満喫しました。寒霞渓やお猿の国、オリーブ公園を巡り、観光地小豆島としての魅力に触れました。

[最終日]移動 

7日間という、長いようで短い、刺激的で濃密なクラチャレが終了しました。朝のフェリーに乗り込み、寂しさや名残惜しさ、出会えた感謝等様々な感情を胸に、島とお別れしました。

■学び

 好奇心旺盛で意欲的な学生が集まるため、毎日の活動が充実していて、特にオリーブ収穫では現地の農家さんの戦力になれたと思います。
 7日間という短い期間ではありましたが、観光だけでは気づかない小豆島の魅力、人々の魅力を感じることができました。
 島の人はのんびりしている人が多い印象で、都会では味わえない空気を肌で感じました。
現地の人だから感じている課題と島外からきた我々だから気づく課題があることを知りました。
(上智大学1年 北条あおい)

 自分がこの活動で得た最も大きな学びは、『様々な生き方を許容してくれる場所が自分が思っているよりも多く存在する』ことにあります。4月から社会人になる自分にとって、大きな取り返しのつかない失敗をしてもここなら受け入れてくれる場所を知れたのは大きかったです。人を能力や肩書きではなく、存在するだけで感謝しながら接してくれる人がたくさんいる小豆島は過ごしていてとても気持ちがよく、自分も人との接し方の部分でこの島の人たちから学ぶことは多くありました。(名古屋大学4年 片野 湧稀)

 私が小豆島で学んだことは、大きく分けて2つあります。1つ目は、小豆島を含め、地方にこそ、持続可能な社会を実現するためのヒントがあることです。オリーブ収穫や搾油工場の見学を始め、醤油工場、トマト栽培、旅館の厨房なども見学した1週間。そこで感じたのが、「循環している」、「無駄が無い」ということ。例えば、オリーブの実や醤油の搾りかすは、家畜や魚のエサになります。また、醤油かすは植物に必要な窒素分が多く含まれており、これを肥料として利用する農業者さんもいました。小豆島の人々からは、身近にある自然を無駄なく大切にする精神が感じられました。
 2つ目は、観光ではない旅だからこそ感じられるものがあるということです。1週間、現地の人とお話をし、互いのことをしれたからこそ分かる島の魅力、人の魅力がありました。そして、今後地方の自然・文化を守っていくには、「関係人口」が大切なのではないかということを肌で感じることができました。(千葉大学3年 徳田祐子)

 役場の方は私達学生が考えている以上に、真摯に地域課題に向きあい沢山の施策を打っているということを改めて実感しました。それでも顕在する地域創生や少子高齢化などの課題を、学生の立場として出来ること考え得る実現可能な施策は何か、頭を悩ませた日々でした。クラダシチャレンジで、立場は違いながらも小豆島の未来を真剣に見つめてい方々と交流し、実際にお話を聞くことが出来たのは貴重な経験であったと感じます。(国際教養大学4年 塩津新雪)


 クラチャレで学んだことは主に二つあります。一つ目は島で取り組まれている持続可能な開発への取り組みです。小豆島は小さな島ですが、個人規模・島全体という規模で様々な取り組みが熱心に行われていました。その結果エコツーリズムに取り組む観光地として選ばれたことも納得できます。二つ目は島の人々の考え方や価値観です。当初は想像もしていなかった島の人々の交流でしたが、時間を重ねるごとに島の人からみた小豆島を知ることができ、自身とは異なる見方を学ぶことができました。(上智大学2年 伊澤梨花)

総括して、小豆島の価値観を体感することができた経験でした。都会の喧騒から離れた小豆島では、生き方や働くことに関する考え方も違い、スローペースな感じがしました。自然も近い。ひと昔前の日本ってこんな感じなのかもしれないです。自分の住んでいるところとも、スウェーデンとも違う生き方を垣間見れたこと、帰ることができる故郷ができたことは社会人が目前の自分にとって、意味のある収穫が得られたと思います。
 他にも、島の生存をかけた戦略をかけて自治体が努力していることを学べたのが良かったです。役場職員の方々との交流会を通じて行政が考えている戦略が明確に見えて理解できたのも、小豆島のちょうどいい規模感があったからだと思います。
 小豆島の人は本当に優しかったです。満足いく収穫が得られたのも、小豆島の人の優しさに支えられたからこそ。小豆島、また行きたいなと思います。(名古屋大学4年 成田龍斗)

■現地で感じた小豆島の課題

私達は、AISASというフレーム枠を用いて課題を抽出しました。AISASとは、消費者行動のモデルのことで、人がどのようなプロセスを経て商品やサービスを購入するかのプロセスを表します。今回はこのモデルを小豆島に実際に足を運ぶ一連の流れをこのモデルに当てはめて、各段階ごとに課題とその解決策を考えました。

ターゲットは外向的な学生です。

認知

小豆島についての情報が分散していることが課題と感じました。

現段階ではパンフレットや広告が作成されているものの、役所などの一部の場所にしか置かれていないことが分かりました。既存のコンテンツを活かしきれていないというのが現状です。

感情

「小豆島でしかできない」魅力やコンテンツを発掘/発信できていないこと

・・・若者は旅先を決める際に「その場でしかできない経験」を求める

【感情段階の課題】

「小豆島でしかできない」魅力やコンテンツを発掘/発信できていないこと

若者は旅先を決める際に「その場でしかできない経験」を求めるので、他の観光地と比較した際に小豆島が選ばれるために、小豆島特有の情報発信を行うべきだと考えます。

【感情段階の解決策】

小豆島の人の魅力を押し出した民泊の推進と発信を提案します。

学生と島民の2者を繋ぎ、小豆島の自然・文化を伝えながらホームステイするパッケージを展開することが、上記の課題解決につながると考えました。

◎ターゲット

学生:大学の授業に加え、空いた時間を投資して何かを学びたいと考える学生

島民:人手不足の農家、小豆島の魅力を広めたい島民・移住者

行動

【Action段階の課題】

・もっと多くの若者に島の魅力を感じてもらいたいが、島を身近に感じにくい。原因は観光者と現地の人との乖離。

・観光以外の目的が少ない。

・島内外の行き来において、交通の便があまり良くない。

・農家の人手不足。高齢化。

【Share段階の課題】

・綺麗な写真ばかりシェアされて、小豆島で何を経験し、感じたのかがシェアされにくい


■私たちが提案する解決策

認知

・三段階の情報整理を行う

どの層をターゲットに、どの媒体でどういったコンテンツを発信するのか整理する。

・上記のプロセスでさらに情報を発信していくことで分散した情報が集約される。

感情

人の魅力を押し出した民泊の推進と発信

・・・小豆島で感じたのが人の魅力。空いた時間を投資して何かを学びたい学生を取り込む

行動

Action段階の解決策

・現地の人との交流を増やせるプラットフォームを提供することを提案します。

具体的には、観光以上の楽しみ方をしたい学生と街のことをよく知る現地の人をマッチング、あるいは人手不足に困る農家とボランティアやインターンに興味がある学生をマッチングします。

→この施策によって…

・学生は、気軽に現地に馴染めるようになる他、単なる観光では経験できない深い現地の人とのかかわりを得ることができます。

・小豆島の人は、人手不足を補うことが出来る以上に、若い人に小豆島の魅力を発信してもらったり、継続的に小豆島を訪れるきっかけをつくることができます。

【Share段階の解決策】

・小豆島の魅力を発信しやすいSNS環境を整えます。具体的には、Facebook上で「あなただけの小豆島キャンペーン」を行い、小豆島で経験した特別な思い出を募集します。また、優秀作品は小豆島観光協会HPに思い出が載る、小豆島旅をプレゼント、などのインセンティブを用意することで、学生の主体的な発信を促します。

→この施策によって…

シェアされた情報から、「小豆島でこんなことが出来るんだ」「小豆島にはこんな魅力的な人がいるんだ」など単なる観光では発見できない小豆島の深い魅力を潜在顧客に伝えることで、小豆島に継続的に訪れる好循環を生み出します。

■感想

成田空港で初めましてだった6人は、1週間の間で、いつの間にか小豆島で案内をしてくださった佐倉さんを「パパ」と呼び、「小豆島を巣立ちたくない」と別れ惜しむようになっていました。そのくらい、小豆島を大好きになった1週間。そこには、小豆島の人々とふれあい、小豆島のこれからについて真剣に考えた1週間がありました。この1週間があって、持続可能な社会のこと、農業のこと、地方のことを常に想うようになった今があります。この経験は将来必ずや生きると確信しています。

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いかがでしたでしょうか。

クラダシでは社会貢献型インターンシップ「クラダシチャレンジ」を2019年から開始し、2021年までにのべ7自治体で計11回開催しています。今後も地域の魅力発信や地域活性、学生に経験を通して学びの場を提供することを目的に、活動の幅を広げていきます。

過去のクラチャレ活動レポートは以下サイトよりご覧いただけます。


※1 小豆島町とクラダシの連携について

過去2回、交流人口、関係人口の拡大や地域産業活性化を目的にオリーブ収穫を行うクラチャレを実施しており、地域の一層の活性化及び町民サービスのさらなる向上を目的に2021年10月22日に包括連携協定を締結しました。

▼小豆島町とクラダシの包括連携協定について

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