第十五章 伝説の誕生2
「……」
【貴様等の思い通りに等させるかぁああっ!!】
狙いを定める神子の様子に邪神がうなり最大の力で突っ込んできた。
「邪神は俺達が食い止める」
「神子様はその間に奴の心臓を狙え」
伸介が言うと神子の前に立ち構える。隼人も言うと刀を握り直して邪神を睨み付けた。
「神子様の邪魔なんかさせないよ」
「貴様の攻撃は全てこのオレ達が受け止める」
弥三郎と亜人が頷き合うとそう宣言して伸介と隼人の横に並んだ。
「これは世界を救うための聖戦なんだ。邪神、あんたを倒して世界も神子さんもどっちも救う。俺がそう決めたしそうするんだ。つまり……足止めは俺の役目ってこと」
「神子様の邪魔はさせない。ここは俺に任せろ。奴の攻撃は全てこの俺が叩き切る」
喜一が真面目な顔をして宣言するとサイコロを取り出し邪神へと投げつける。肝心な場面で幸運にも半が出て相手が放った攻撃を打ち消すことに成功した。
栄人も彼を手助けするように横に並ぶと迫りくる攻撃全てを刀で切り裂いていく。
「私がなんで光の女神って呼ばれてるか知ってる? 私が放った白い雷が通った後は私一人しか立ってはいないからなのよ。光の女神のまたの名は光の戦姫っていうの。覚えてなくたっていいわよ。だってここであんたは死ぬんだからね!」
「俺の通り名を知ってるか。レイが光の女神なら俺はなんて呼ばれてると思う? そう、俺こそ火(ほ)の雷神。一度暴れ出したら止まらなくなる。相手を討ち取るまではな」
レインがにこりと笑い言うと武器を振りかぶり雷の力で相手の攻撃を跳ね返す。アシュベルもにやりと笑うと狂ったようにロングソードで斬り続け邪神を足止めする。
「おいおいお前等、気合十分なのは結構だが、怪我して動けなくなるなよ。って事で回復も大事。甲(きのえ)」
「カラス天狗の力を見くびるな。炎よ吹き荒れて彼の敵を討て」
紅葉がちょっと待てと言った感じで言うと怪我をするのも構わず邪神の進行を食い止める皆の傷を回復させた。そこに神経を集中させて呪文を唱えていた蒼の攻撃が邪神を飲み込むように吹き荒れる。
「皆さん。大丈夫ですか? この薬を使ってください」
文彦も誰かが怪我をするたびに薬箱を持って駆け寄り手当てをしてまわった。
「私も、皆の助けになるの。戊(つちのえ)」
「お願いです、邪神の進行を食い止めて下さい」
「我が力よ白き光となりて降りそそげ」
信乃が唱えると皆の足元から五芒星が現れ見えない結界の力で防御力が上昇する。そこに腕輪に祈りをささげた優人の言葉に呼応するように七色の光が邪神へと向けて放たれた。それにより奴はいったん動きを封じられ憎々し気に彼を睨み付ける。
それを好機ととらえた龍樹が光輝く柱を出現させ光の牢獄で奴を封じ込めた。
【おのれ……これで終わるものか。我の力を全て注ぎ込んで貴様等を消し去ってやる】
「ケイト、ケイコ。神子様の助けをするんだ」
「任せてよ。あれを打ち消せばいいんでしょ」
「そんなの簡単だわ。レベルアップしたワタシ達の力を見せつけてやりましょう」
封じ込められた邪神は最後の悪あがきの様に力を集結させて黒々とした暗雲を立ち込めさせる。
それを見た真人がケイトとケイコへと指示を出す。二人は答えるとにやりと笑い天高く飛びあがり暗雲を打ち消さん勢いで高速でパンチを繰りだした。
『ケイト、ケイコ。後は僕に任せて。……緑石よ、今こそ力を発揮せん』
二人が頑張ってくれたおかげで暗雲は小さくなったがまだ効果は消えていない様子。それを見た刹那が言うと胸元で光る緑の石に手を添えて囁く。するとそれに答えるように緑の煌きが放たれ暗雲がかき消された。
『神子、今だ』
「はい。皆がつないでくれたこの機会を絶対に逃したりしない。……光の矢よ邪神を射貫け。はっ!」
【ギァアアアッ】
刹那の言葉に神子は返事をすると彼女とは思えない鋭い目つきで矢を放つ。それは狂うことなく5色の煌きをまといながら光りの尾を残し邪神の心臓へと突き刺さる。
そこから全てをかき消すほどのまばゆい光が広がってゆき邪神は矢とともに消滅していった。
こうして邪神は神子に射貫かれこの世からいなくなった。邪神により長く続いた聖女伝説は幕を閉じ新たな聖女伝説がこの世界の歴史に刻まれたのである。
基本長編か短編の小説を掲載予定です。連続小説の場合ほぼ毎日夜の更新となります。短編の場合は一日一話となります。 連続小説などは毎日投稿していきますが私事情でPC触れない日は更新停止する可能性ありますご了承ください。 基本は見る専門ですので気が向いたら投稿する感じですかね?