第十三章 龍鬼と白き竜2

 本気で戦いたくない神子の気持ちとは裏腹に悲しい戦いは幕を開けた。龍鬼が刀を振りかぶり攻撃するたびに伸介達が応戦する。

「相手は邪神の半身だ。気を抜くなよ」

「だが形勢はこちらが有利だ。このままま一気に奴を倒すぞ」

伸介の言葉に隼人がそう答えて相手へと突っ込む。

「皆頑張れ~」

「ワタシ達も攻撃するよ~」

ケイトが応援すると皆の士気が高まる。続けてケイコが龍鬼へと向けて拳を突き付けポコポコと殴る。表現は可愛いがクリティカルが出るととても痛い攻撃である。

「お願いです。皆さんをお守りください」

「丙(かのえ)、丁(ひのと)」

優人が腕輪に祈りを込めると見えない加護の力が仲間達を包み込む。そこにじゅじゅをとりだし神経を統一させていた信乃が唱えると、敵を阻むように光の壁と炎の渦が現れ視界を遮る。

「ほら、これでも食らいな。……ちっ。丁(ちょう)か」

喜一がサイコロを振って相手にぶつける。出た目が偶数か奇数かで相手への攻撃力が決まる。半が出れば大ダメージを与えられるため今回丁だったことに舌打ちした。

「大丈夫ですか。この薬を飲んでください」

「有難う。あの波動には気を付けて。あれに当てられるとしばらく動けなくなるから」

龍鬼の放った波動によりダウンしていた弥三郎へと文彦が薬を煎じて飲ませる。それにより身動きが取れるようになった彼が皆へと警戒するよう話した。

「はぁっ」

「ふん……あんまり効いてないみたいだな」

レインとアシュベルが息の合った攻撃を仕掛けるも相手にはあまり効果がない様子。

「そのようね。やっぱり邪神の半身てだけあって簡単には倒せない相手なのかも」

「物理攻撃はあまり効き目がないみたいだからな」

兄妹で話し合うとそれならばといった感じで切っ先を相手へと突きつけ精神を集中させる。

「唸れ雷鳴」

「轟け赤き雷」

「っ……」

レインとアシュベルが言うと切っ先から雷が龍鬼へと向けて放たれる。それを食らった相手が一瞬顔をゆがめた。

「やっぱりね」

「ああ。あいつは特殊能力の攻撃なら効くようだ」

にやりと笑う妹へと頷き答えると兄が皆へ向けて説明する。

「そういう事ならここは俺達の出番だな。ほらほら、こいつを食らいやがれ」

「切り裂け。風刃」

紅葉が任せろと言った感じで笑うと炎を相手へとぶつける。そこに蒼が放った風の刃が龍鬼の体を切り刻んだ。

「くっ……」

「神子今だよ。その弓矢で射貫くんだ。彼が「龍鬼」でいる間に。邪神が彼を飲み込む前にね」

「……は、はい」

体中を切り裂かれ膝をついてダウンする相手の様子に刹那がそう言う。それに返事をした神子は弓を引き絞り狙いを定める。


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