第二章 新たな仲間1

 神子一行の旅は続き都へと向けて歩くこと早一カ月。少しだけ大きな町へとたどり着く。

「ここは大きな町ですね」

「交易の中心地に近い町なので宿場町として人が多く働いているんです」

興味深げに周囲に首を振っている神子の様子を微笑まし気に見詰めながら文彦が説明する。

「今日はこの町に泊まり、明日の朝次の村へと向けて旅立ちます。神子様も歩き通しでお疲れのことだろう。今日はゆっくり休んでください」

「はい」

穏やかな口調で隼人がそう気遣うと彼女はそれに答えて小さく頷く。

「あんた最初のころと比べたらずいぶんと言葉尻が柔らかくなったな」

「その言い方だとまるで今までは威圧していたように聞こえるが」

彼の様子を見ていた伸介が口を開くと不思議そうな顔で隼人が尋ねる。

「任務遂行以外に割く時間がないとか言ってたやつが、ずいぶんと話すようになったなって思ってよ」

「神子様から皆と話すようにとお願いされたからな。無駄な話に付き合っている時間はないが、それが神子様のご命令なら従うのが私の役目だ」

「相変わらずだな……もう突っかかるのも面倒だ。さっさと宿とって体を休めようぜ」

伸介が答えるように話すとそれに彼が神子に頼まれたからだと説明する。それを聞いて相変わらずの態度に怒るのも面倒になったのか彼がそう言って宿屋へと促す。

宿屋へとやって来ると番頭へと声をかけ部屋が空いてるかどうか尋ねる。

「お客さん達のお部屋はこちらになります。ただ……その隣の部屋のお客様がとても厄介な性格をしている方でして。何か問題が起こりましたらお知らせくださいませ」

「厄介な客か。気をつけとかないとな。お前もあまり一人でうろうろするなよ」

客室まで案内してくれた従業員がそう言うと立ち去っていく。その背を見送りながら伸介が神子へと声をかけた。

「はい。でも厄介なお客さんて一体何が厄介なのでしょう?」

「怒りっぽい性格の方とかでしょうか? とにかく何事も問題が起こらないように気をつけましょう」

それに素直に返事をしながらどんなお客なのだろうかと考える。彼女の言葉に文彦が首を傾げながら答えると注意しようと伝える。

それから貸し与えられた部屋へと入ると荷物を下ろしてそれぞれ思い思いに時を過ごす。

夕食を食べ終えると明日の朝のことも考えて眠りについた。

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