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NOVEL

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novel。述べる。
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#人生観

空っぽな空気と空ろな空

空っぽな空気と空ろな空

夢は叶えるか、諦めるかでしか消えてくれない。

脳の中でドロドロと、胸の中でフツフツと、流れるように浸食し、私の心を蝕んでいく。

時間と労力を使い、栄光を手に入れたものは口を揃えて言う。「努力は報われる」と。

 そんなのは、叶えた人のみが口に出来るご都合主義な考え方だと分かっていても、人は努力していないと我を失ってしまう。その怖さを払拭する為に叶わない夢を持ち続けようとする。なんとも面倒

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good-bye by you side.

good-bye by you side.

「明日、死ぬとして何がしたい」

 雑多な居酒屋での会話の八割は意味のない無理問答だ。彼女が投げかけた言葉でさえ煙草の白煙のように他の人の会話の中に溶けて消える。五分ほど前にした会話を忘れたかと思えば、二時間も前にしていた話の続きを思い返したのかのように話し出す輩もいる。
「なにしよっかな」私は彼女の言葉が消える前に掬い採ろうとした。意味もないが、誰も答えずに消えてなくなるには、少し勿体ない話

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無味で溢れた日々に

無味で溢れた日々に

 照れくさいと思うのは、まだ僕が不甲斐もなく、彼女に対して何処か特別な感情を持っているからかも知れない。出会って、十数年という月日さえも、その感情を持ってしまったら、そんな事実をも忘れてしまう。今はただ彼女の言葉を隅々まで拾い集めて、彼女と言う人間を懸命に理解したいという欲求に従順になっている。
 「それもある種、才能なんじゃない?」
彼女は大きな口を開けながら、僕にそう言った。
 僕は自分が理解

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