熊野孝哉

中学受験算数専門プロ家庭教師。『開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格…

熊野孝哉

中学受験算数専門プロ家庭教師。『開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術』など著書14冊。2016~2024年の主な合格実績:開成16名、聖光学院16名、渋谷幕張19名、筑波大駒場5名、灘6名、桜蔭6名、豊島岡9名、女子学院1名、麻布5名。

最近の記事

思考力問題が解けない理由(3)

受験指導を始めた頃、私は「テクニックを教え込む」指導を積極的に行っていました。 例えば「各位の数の和が5になる整数の中で、0を含まないものは何個ありますか」という問題に対して、標準的な解法は次のようになります。 1桁:5のみ 2桁:(1、4)→2個(14と41)、(2、3)→2個 3桁:(1、1、3)→3個、(1、2、2)→3個 4桁:(1、1、1、2)→4個 5桁:11111のみ 以上より、1+4+6+4+1=16(個) ここでテクニックを使えば「2×2×2×2=16

    • 思考力問題が解けない理由(2)

      受験指導を開始した初期の頃、私は下記の方法で「復習テスト対策」を進めていました。 ・塾課題について、解けない問題がなくなるまで解説する(算数が苦手な生徒の場合は難易度の高い問題を一部カットする) ・テスト範囲を徹底的に反復する(解けている問題についても反射的に解答できるまで反復する) ・過去問(昨年度のマンスリーテスト、組分けテストなど)によるシミュレーションを行う(解き直しまで行い、全問題が解ける状態まで仕上げる) この対策のメリットは、短期間で「わかりやすい結果」が出

      • 思考力問題が解けない理由(1)

        以前「マンスリーテスト対策を行わない理由」という記事の中で、私自身の初期の失敗談を書きましたが、もう少し深掘りした内容を4回に分けて書いていきたいと思います。 受験指導を開始した初期の頃、私は次の指導方針で授業を行っていました。 ・復習テスト(マンスリーテスト、組分けテストなど)対策を徹底する ・「テクニックを含む解法」を多用する ・「完成した解法」を解説する 一方、現在は次の指導方針で授業を行っています。 ・復習テスト対策は行わない ・「テクニックを含む解法」を多用

        • 新刊『難関校合格への99の戦術』内容紹介(目次)

          1章:予習の進め方 1:塾から言われる「予習禁止」は守らなくていい 2:自宅学習の効率は「授業を何%理解して帰宅するか」で決まる 3:予習は「昨年度の塾教材」を使用するのが手っ取り早い 4:予習では内容の2、3割を理解できればいい 5:予習は「仕分け」する感覚で行う 2章:先取り学習の進め方 6:成績が安定してきたら、予習から「先取り学習」に切り替える 7:偏差値55を超えたら、先取り学習を開始する 8:先取り学習は自宅学習でも十分できる 9:先取り学習の教材は『予習シ

        思考力問題が解けない理由(3)

          【中学受験算数】正答率の低い問題をどれだけとれているか

          塾の月例テスト(※1)や実力テスト(※2)で好成績をとるためには、正答率の比較的高い問題を落とさないことがポイントになります。 例えば、正答率40%以上の問題をミスせず全問正解すれば、仮に正答率40%未満の問題をすべて落としても、大体は偏差値55以上になります。 ただ、難関校を目指す場合は、正答率の高い問題を落とさないことよりも、正答率の低い問題をとる(とれるようにする)ことに意識を向ける方がいいかと思います。 正答率の低い問題をとれている受験生は、正答率の高い問題を落

          【中学受験算数】正答率の低い問題をどれだけとれているか

          【新刊】開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術

          新刊『開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術』が6月19日に発売されます。 https://www.amazon.co.jp/dp/475393568X/ 今回の本は、過去の開成合格者(21人)をはじめ、多くの難関校合格者が実践していた受験ノウハウを体系的にまとめたものとなっております。 新刊をAmazonで予約購入していただいた方には、オンライン面談の面談料を割引させていただきます。 期間限定となりますので、ご希望の場合は早めにお申し込みく

          【新刊】開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術

          【中学受験算数】夏休みに取り組みたい教材

          受験生にとって、夏休みは「プラスα」の学習に取り組むための絶好の機会です。 夏期講習で塾の授業は増えますが、それでも普段に比べれば時間は確保しやすくなりますので、プラスαの学習を行って秋以降に備えたいところです。 今回は「夏休みに取り組みたい教材」として、5年生、6年生におすすめの教材を紹介したいと思います。 少し気が早い話になるかもしれませんが、興味のある方はご一読ください。 <5年生> 既習範囲(塾で5年生7月以前に習った範囲)を効率的にレベルアップしたい受験生には

          【中学受験算数】夏休みに取り組みたい教材

          【中学受験算数】ピークをどこに持っていくか

          中学受験において「ピーク(※)をどこに持っていくか」ということを、はっきり意識しているケースは少ないかもしれません。 もちろん、改めてそう聞かれると、ほとんどの受験生や親御様は「入試本番にピークを持っていきたい」と回答されますが、実際の取り組みに反映されているケースは少ないと思います。 (※)受験生の中でのポジション(偏差値、順位)が最も高くなる時期。 例えば、偏差値が5年前半56→5年後半59→6年前半63→6年後半61の場合は、6年前半がピークということになります。

          【中学受験算数】ピークをどこに持っていくか

          【中学受験算数】聖光学院2024年1回の新傾向問題の解き方

          今年度の入試も終盤に差し掛かりましたが、特に注目を集めたのは聖光学院の新傾向問題(第1回大問5)ではないでしょうか。 大学入試の共通テストを意識した出題かもしれませんが、中学受験塾でこういった問題を指導するケースは少なく、大多数の受験者は戸惑ったのではないかと思います。 ここでは(1)(2)の解き方を紹介しますので、興味のある方はご参考ください。 選択肢を見ると、2月と3月が①~③は「30%→10%」、④~⑥は「20%→30%」となっていますが、後者だと図1のグラフの形にな

          【中学受験算数】聖光学院2024年1回の新傾向問題の解き方

          【中学受験】学校別模試の判定はブレやすい

          多くの難関校受験生にとって、合格可能性を確認する最も有力な判断材料となるのは学校別模試です。 首都圏の場合、学校別模試の中でも信頼性が最も高いのは学校別サピックスオープン(以下「学校別SO」)で、主な難関校(開成、桜蔭など)については11月23日に2回目の学校別SOが実施されました。 学校別SOの最大の特長は「圧倒的な受験者数」で、例えば2020年11月の開成SOでは920人(本番受験者1051人の約88%)が受験していました。 問題そのものは難易度が高すぎる場合もあります

          【中学受験】学校別模試の判定はブレやすい

          【中学受験算数】過去問演習では、複数の分析記事(難易度評価)を確認する

          過去問演習を行う際、ネット上に公開されている分析記事(難易度評価)を参考にされている方も多いのではないでしょうか。 私も今年(2023年)の入試直後に渋幕、開成、桜蔭、聖光学院の分析記事を書きましたが、特に有名校の場合は業者、個人を問わず、多数の分析記事が公開されています。 その際におすすめしたいのは、1つの分析記事だけでなく、複数の分析記事を確認するということです。 同じ問題についても難易度評価が分かれることは意外に多く、複数の記事を確認することで、過去問演習の結果を正し

          【中学受験算数】過去問演習では、複数の分析記事(難易度評価)を確認する

          判断ミスの多くは、データを確認しないことが原因になっている

          中学受験において、塾選びに始まり、学習法の設計、受験校の選択など、親御様が意思決定を迫られる機会は多々ありますが、その際、データを十分に確認せず、直感で判断を下しているケースも多いのではないでしょうか。 データの活用状況と判断の精度について傾向を分類すると、次のようになります。 A:データを十分に確認し、判断ミスも少ない B:データを十分に確認するが、判断ミスは多い C:データを十分に確認しないが、判断ミスは少ない D:データを十分に確認せず、判断ミスも多い 私が過去に

          判断ミスの多くは、データを確認しないことが原因になっている

          開成模試の成績と合否分布

          私は開成模試の結果を分析する際、算数と算数以外(国語、理科、社会)の結果をそれぞれ7段階で表し、その組み合わせを見て判断しています。 2010年~2023年開成を受験した30人について、その分布をまとめたのが次の資料です。 縦は算数、横は算数以外の結果(複数回受験している場合は平均値)をA~Gの7段階で表し、それぞれの組み合わせについて合否結果(「3-1」であれば、合格者3人と不合格者1人)を記載しています。 算数は30人中26人がボーダー以上(A~D)ですが、実際の合否

          開成模試の成績と合否分布

          『プラスワン問題集』を使う理由

          算数の定番教材は色々とありますが、その中でも代表的な教材の1つが『プラスワン問題集』(東京出版)です。 実際に使用していなくても、存在は知っているという方は多いのではないでしょうか。 ただ、2000年の発売ということで扱っている問題自体は古く、その点で不安を感じる方も少なくないかと思います。 最近の入試傾向に対応していないことを指摘し、使用効果に疑問を呈している受験指導者もいます。 教材の使用効果を正確に測ることは難しいのですが、私は生徒に実施している実力テストの結果から

          『プラスワン問題集』を使う理由

          【中学受験算数】問題集は「仕分ける」ことで効率的に進められる

          問題集に取り組む場合、1つ1つの問題を順番に解き進めていくというのが標準的な方法です。 ただ、途中で難しい問題に詰まって考え込んでしまったり、解説を読んでも理解できずに時間を浪費してしまうなど、効率的に進められないケースも多く見られます。 そのような相談を受けた際、私がおすすめしているのは「仕分ける」感覚で取り組むということです。 真面目なお子様ほど、時間がかかっても「自力で解く」ことにこだわる傾向がありますが、無理に解こうとするのではなく、各問題に対する自分自身の状況を評

          【中学受験算数】問題集は「仕分ける」ことで効率的に進められる

          【新刊】「比」を使って算数の文章題を機械的に解く方法(8月3日発売)

          新刊『「比」を使って算数の文章題を機械的に解く方法』が8月3日に発売されます。 2007年に初めて本を書かせていただいてから、本書は13冊目(改訂版を含めれば28冊目)の出版ということになります。https://www.amazon.co.jp/dp/4753935485/ 本書は、15年前(2008年)に発売された『「比」を使って文章題を速く簡単に解く方法』のアップグレード版として、旧版のコンセプトは残しつつ、全体を書き直したものです。 内容のサンプルを公開いたしますので

          【新刊】「比」を使って算数の文章題を機械的に解く方法(8月3日発売)