思考力問題が解けない理由(2)

受験指導を開始した初期の頃、私は下記の方法で「復習テスト対策」を進めていました。

・塾課題について、解けない問題がなくなるまで解説する(算数が苦手な生徒の場合は難易度の高い問題を一部カットする)
・テスト範囲を徹底的に反復する(解けている問題についても反射的に解答できるまで反復する)
・過去問(昨年度のマンスリーテスト、組分けテストなど)によるシミュレーションを行う(解き直しまで行い、全問題が解ける状態まで仕上げる)

この対策のメリットは、短期間で「わかりやすい結果」が出ることです。
例えば、偏差値50台前半で伸び悩んでいる受験生でも、この対策を徹底すれば偏差値65前後になります。

実力テスト(サピックスオープン、合不合判定テストなど)の場合は、明確な範囲がないため「テスト範囲の反復」はできませんが、それでも過去問を行えば(行わない場合に比べて)偏差値5~10の上積みが見込めます。

当時は(成績向上により)生徒や親御様からも喜んでいただけることが多く、私自身、何の疑いもなく「復習テスト対策」に終始していました。

どの生徒も6年生前半までは順調でしたが、6年生後半に過去問演習を開始すると難関校の問題に苦戦するケースが多く、特に思考力問題に歯が立たないことが明らかになってきました。

算数の問題は「知識処理系」(パターン化された解法で対応できる問題)と「思考系」(パターン化された解法で対応できない問題)に分けられますが、難関校では「思考系の応用問題」が多く出題されます。

しかし、塾の復習テストや実力テストは「知識処理系の基本・標準問題」が中心ですので、復習テストに照準を合わせた学習を続けている限り、思考系の応用問題に触れる機会は明らかに不足してしまいます。

例外的に、元々の思考力が高い受験生であれば、経験値が不足していても思考系の応用問題に対応できるケースもありますが、大多数の受験生にとっては難しいのではないかと思います。

本来なら、難関校の入試問題を最初に分析し、逆算して指導法を設計する必要があります。
ただ、当時の私は非常に初歩的なミスを冒していまい、初年度は難関校入試で合格者を出すことができませんでした。

そこで、次年度からは復習テスト対策を最小限にして、早い時期から思考系の応用問題を実施しようとしましたが、今度は親御様から「復習テスト対策を優先してほしい」というリクエストが多くなりました。
理由は簡単で、復習テスト対策が手薄になると、すぐに成績が下がってしまうからです。

語弊があるかもしれませんが、復習テスト対策の徹底は「ドーピング」に近いものがあります。
普通に考えて、1ヶ月で実力が偏差値10~15伸びることはあり得ませんが、成績をそれだけ上げることは可能です。
逆に、1ヶ月で実力が偏差値10~15落ちることもあり得ませんが、復習テスト対策を中止すれば、成績がそれだけ下がることもあります。

一度、復習テスト対策の徹底で結果が出てしまうと、途中で中止することは難しくなります。
そのため、現在は「復習テスト対策を行わない」という方針を最初に伝え、納得いただいた方のみをお引き受けしています。

考察の続きを(3)以降の記事で書いていきたいと思います。



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