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生まれてはじめて

守ってもらわなくて平気
あたしは大丈夫よ
ねえ エルサ行かないで
ねえ お願いよ
あたしから離れないで
そう 生まれてはじめて
わかりあえるの
生まれてはじめて 力になれる

Source: https://animesongz.com/lyric/3886/19852


 以前付き合っていた男性に「君を守りたい」と言われたことがある。歯の浮くようなセリフだなとかこんなこと実際に言う男がいるのかとか色々思うことはあったが、一番最初に頭に浮かんだのは、「アナと雪の女王」挿入歌「生まれてはじめて-リプライズ-」のこのセリフだった。


 「守る」ってなんだろう。何から守るの?
 私が女性の痴漢被害の話をしたら、あなたは「まぁ男も冤罪とかあるからね」ってサラッと言っていたけれど…仕方ないから私が酔っ払いに家まで付き纏われた話をしてあげたら一気に青ざめて、苦虫を噛み潰したような顔をしたあなたはどうやって、何から私を守るつもりだったの?守るというのは、私はあなたの所有する「モノ」だから、それが傷つかないように「守る」ってことだったのかしら。穿った見方だったらごめんなさいね。あなたはそこまで考えていないのかもしれないけれど

…守るっていう言葉の意味、君はちゃんと考えたほうがいいよ



 「守ってもらわなくて平気 私は大丈夫よ」これはアナの心からの叫びだ。守ってもらわなくても、アナはもう自分の頭で考えて行動して、自分の足で立てる。それは少し不安定で、周囲からしてみれば危なっかしいものに見えるかもしれない。でも、だからこそ、一番大切なエルサには、側にいてほしいと思った。道を踏み外しそうになった時、一緒にその先について考えてくれる存在、対等な立場でお互いを思いやり、エルサが辛い時はただ側にいてあげたかった。二人は唯一の姉妹で、愛する家族だから


   少女たちの成長物語は多くの女の子たちに勇気を与えた。アナは初めての城の外の世界と、初めての異性に浮かれてクズ男に引っかかるけれど、アナとエルサが導いた答えは、お互いを思い合う心こそが「愛」ということ。クリストフは自由奔放で心優しいアナを尊重し、共に旅をしていく上で彼女の芯の強さに惹かれていく。そして何よりエルサに適当な男があてがわれなくてよかった。愛の形は「恋愛」だけじゃない。それをディズニーが発信したことで支えられたのは、子供だけじゃないはずだ。


 私たちは誰かに守ってもらわなくても、自分の体一つで、自分の意志で、どこへだっていける。正直そんなに柔な存在じゃないし、「守ってもらいたい」なんて図々しいこと思っちゃいない。だから私たちを、一人の同じ人間として、対等な立場として扱ってほしい。「相手を守る」ことと「相手を大切にすること」は違う。私たちはお互いの意見や気持ちを尊重しあい、同じ歩幅で生きていきたいの。確かに世の中には誰かに頼って生きることが上手な女性もいるのかもしれないけれど、「女性」と一括りにされるのはごめんだよ。同じ女性でも、考えていることも性格も見た目も全然違うでしょ?そんなカテゴライズにはなんの意味もないということから、目を逸らさないでほしい。女を利用して「男らしさ」に自己陶酔しないでほしい。

愛=恋愛じゃないということを強く主張したい。私は誰かに恋愛感情を抱いたことはないけれど、他人に愛を感じたことはたくさんあったもの。「ちがう」ということに、あまりにも悲観的にならないで。「愛」って、お互いの存在を認めて、大切に想うことなんじゃないかなって最近自分なりに考える。


 アナとエルサはそれぞれの場所で生きていく。アナはアレンデールの女王として、エルサは魔法の森で、自分らしく、ありのままの自分を生きるためにお互いの道を歩んでいく。『もののけ姫』ではアシタカが、「サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。ともに生きよう。会いにいくよ。ヤックルに乗って。」って言う。「ありのままの自分」でいられる場所を見つけた2人にとって、距離は障壁ではない。ずっと誰かのそばにいなくても、誰かに守ってもらわなくても、自分の足でどこへでもいけるのだから。

Love my self が Love somebodyを連れてくる




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#アナと雪の女王 #生まれてはじめて #松たか子 #神田沙也加 #フェミニズム #ディズニー #feminism   #エッセイ #ジブリ #もののけ姫

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