見出し画像

おすすめ家電 第1005話・10.26

「まるでこれじゃあキズキズマンだな」昨日フリマで手に入れた中古の家電を改めて眺めながらそう思った。もちろん家電としては使えるから問題はない。だけどやはり中古で使用歴のあるもの。だからよく見るとあちらこちらに傷がある。

「だから新品にすればよかったのに」同居しているパートナーがつぶやく。それを聞きながらも。「新品の4分の1以下の値段で手に入れたのになってこと言うんだ」と反論。だけど「だったら傷のこと言うな」とさらに反論される。それはそうかもしれないが、傷が多いのは確かでちょっと見栄え的に気になった。

「もう少し昭和レトロなのだったらいいけど、これって多分平成時代のものだよな」と、改めて家電を見る。どこかに製造年月日が書いてあるのだろう。けどわざわざ探そうとは思わない。
「使えるんでしょ」パートナーがこっちに来た。「うん、けど、これだよ」と、家電を見せる。「確かに傷だらけ。でも使えるしね。だったらもうひとつの家電は新しいのを買ったら」

 パートナーの意見には同意。実はもうひとつ買い換えたい家電がある。当初は、同じようにフリマあたりで売られている中古品を手に入れればよいと思っていた。あくまで使えることが前提だから。けどこうやっていくら使えるからと言って、傷だらけの家電を見ると何となく、次は新品が欲しくなるもののようだ。

ーーーーーー
 次の日曜日ひとりで家電量販店に来た。パートナーはシフトの関係で仕事である。だから「任せる」と言われていた。さて家電量販店が数多く並ぶ有名なエリアに到着。「まずはどの店にするか、そこからが重要だ」そうつぶやきながらも、どの建物に入るか迷ってしまう。

「片っ端から入ろうか、けど営業がうざいと他を見る前に、即決しちゃいそうだな」パートナーから一任されているとはいえ、それなりにする家電を安易に決められるものではない。さてどうしようかと頭をひねる。
「そうだ」ここで妙案が浮かぶ。家電量販店では商品の品番と価格だけを押さえておき、家に帰ってからネットで買おうと考えたのだ。
 これが片手で持てるような小さなものなら、なんとお店に対して失礼な奴となるかもしれない。だが今から買おうという家電は片手で持てるような代物ではなかった。両手で思いっきり抱えれば持てるかもしれない。だがそれを抱えながら量販店から電車やバスを乗り継いで家に戻るとなるとちょっと違う。

「送ってもらうのが筋だけど、だったら別にネットでも良くないかな」と考え、片っ端から店に入った。
 店に入ってやることはお目当ての家電コーナーに行くことだ。結論から先に言えばこの日最終的に7・8軒の店を巡回したが、そのうちの半分の店ではお目当ての家電が置いていなかった。

 入ったお店によっては特定分野に強いところもある。そうなるとその分野から外れている今回買おうとしている家電は、分野が違うと置いていない。結果的に4軒だけその分野の家電が置いてあった。
 その中で最初に入った店でおおよその金額をメモする。同じ家電でもメーカーの違い、あるいは用途の違いによって価格はピンキリだ。「どこまで必要な性能かを見極めなけれならん」余計な機能が多くて高すぎるのも嫌だし、かといって安いからと言って機能が無さ過ぎるのも嫌。なかなか難しい品定めになった。
「次の店は」と言って次の店に入る。そこでもピンキリの商品が置いているが、微妙に前の店と値段が違う。だが全体的に安いとかではなく、アイテムによって高かったり安かったりしている。あまり露骨にメモも撮れないので半ば頭の中でおおよその金額を思い浮かべ、人目のつかないところでメモを取るスタイルにした。

 3軒目、ここでちょっとした戸惑いごと。口の旨い営業担当がいて、彼に振り回されかける。「ここで買ったらこの値段にします。他店よりも」と来た。ここでこの営業は「今、俺のもとから離れたらもうこの値段はないな」とでも言いたげそうな表情をしている。「つまり即決するか否かか」と思い、しばらく唸った。

「賭けに出るか。だがここで即決して、次の店でもし......」数秒迷ったが、やはりほかの店を見たかったので営業を振り切る。営業はまだ何か言おうとしているがそれを無視。こうして4軒目に来るとやはり商品によって価格が違うようだ。3軒目の営業が述べた安い金額と比べると割高。だが、この店は客に余計なプレッシャーを与えそうな店員はいない。だが割高なのが気になった。 

「やっぱりもう少し検討だな」結局この日購入することなく、おとなしく家に帰る。「そっか、しまったな」帰りの電車の中で今さらながら気づいた。  
 よく考えれば買い替えようとする家電が何か決まっていたから、量販店回る前に事前調査したらよかったのではということを。

https://www.amazon.co.jp/s?i=digital-text&rh=p_27%3A%E6%97%85%E9%87%8E%E3%81%9D%E3%82%88%E3%81%8B%E3%81%9C
------------------
シリーズ 日々掌編短編小説 1005/1000

#小説
#掌編
#短編
#短編小説
#掌編小説
#ショートショート
#スキしてみて
#おすすめ家電
#迷い

この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,761件

#おすすめ家電

1,392件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?